今こそ移民について議論すべき | 21世紀のケインジアンのブログ

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 最近の少子高齢化の議論を聞いていて不思議なことがある。それは、以前は少子化対策の有力な手段として議論されていた移民の推進が全くといっていいほど議論されないことである。以前、移民推進を唱えていた人たちは口をつむぐか見かけなくなってしまった。私はこれからの日本の人口予測を見ると、日本は移民受け入れを推進するか、(移民受け入れを推進しないのなら)静かに衰退するかどちらかの選択肢しかないと思う。

 現在でも、少子化対策についていろいろと議論されているものの、小手先だけの議論でパワー不足だし、もはや手遅れである。これから生まれた子供が税金や社会保険料を納めるのは20年以上先のことである。その前に、日本では団塊の世代が全て後期高齢者になるという深刻な状況になってしまうのである。フランスでは成功したという指摘もあるが、日本とは女性が子どもを産み育てる条件・環境が違いすぎて参考にならない。もちろん、移民は経済を回復させるのにも有効だ。

日本経済が回復するための、1つのキーワードとなるのが「移民の受け入れ」である。日本の既存の人間だけでは、どうしても新しいエネルギーが足らないという面があり、ある程度の数の移民が必要である。もちろん、移民の数が多すぎると国内で賄うのが大変となるし、既存の国民たちの雇用が奪われてしまうのでバランスは必要である。



 

2050年まで現在の経済を維持するためには、ドイツでは移民を1100万人、イタリアでさえ900万人が必要だと試算されている。日本の場合、年間39万人程度の移民を10年ほど受け入れ続ける必要があり、少子高齢化の社会なので、じっとしていれば衰退国になるのは明らかである。これを反転させるためには、子供の数を増やすことが必要なのは異論がないところであろう。



 国家としてどのような成長戦略を描くのか。そして、そのために必要なことは何かを見極めて新しい産業を起こすために、少子高齢化の問題を解決するために、移民の受け入れ推進を成長戦略の中できっちりと描く必要があるのではないだろうか。




 フランスなどは国として子供の数が増えるよう制度を作っているが、このやり方はコストが高くなる。コストが安く、即効性があるのは移民の受入れである。日本では数年前から外国人看護師・介護士候補者の受け入れが始まっているが、資格取得が難しく、実際に看護師として働ける人は限られており、全くお話にならない状況である。制度として外国人看護師・介護士候補者の受け入れをする仕組みを作ったものの、外国人看護師・介護士候補者が殆ど合格できず、せっかく日本に来てくれたにもかかわらず本国に帰らなくてはならない状況となり、フィリピンやインドネシアからの外国人看護師・介護士候補者達も、日本は本音では自分たちを受け入れる気がないと見放し、日本の代わりに中国や欧州に向かいだしているという大変残念な事態まで起こっている。


 それでは実際のところ、海外、たとえば欧州ではこの十数年でどのくらい移民が増えているのかを見ると、その移民増加率は、スペインでは700%、フランス30%、ドイツ27%、スウェーデン・ノルウェー86%、フィンランド82%となっている。安い労働力の確保、場合によっては新技術の開発といった面もあり、移民(外国人)が増えるのは成長戦略に欠かせない。