いよいよアイルランドの危機が本格的になってきました。既に欧州の金融機関の多くは欧州中央銀行から資金繰りの面倒を見てもらっているので、とりあえず日々の経営は続けられます。しかし増え続ける貸し倒れを埋め合わせるための利益や積み立てが枯渇し、実質的に債務超過状態になるところが続出。それを事実上の粉飾決算でみな乗り切ろうとしているのですがそれも限度があります。アイスランド、ギリシャに続いてアイルランドも国家による銀行の支援が行き詰まり、欧州委員会と国際通貨基金から最高で10兆円の金融支援を受けることになりました。これで、実質的な欧州国家破綻の3件目です。
しかしこの10兆円の支援で問題が解決すると考えている人は誰もいないようで、金融市場も数時間相場が上昇しただけで再び下落。今度はスペインとポルトガルが金融支援を要請することになるだろうとの観測が広がっています。そもそもアイルランドは欧州域内の金融機関に対する債務だけで50兆円も抱えていて、なかでも英国が15兆円、ドイツが14兆円と突出した債権を持っており、米国も7兆円、日本も3兆円の債権を持っています。ですからわずか10兆円ほどの救援で問題が解決するはずはなく、アイルランドの破綻はそのまま英国の破綻の引き金となりかねません。実際に英国はアイルランドに対して8千億円近い支援を行うと発表。英国もアイルランドも過去30年間の世界の金融自由化の波に乗って大いに世界から資本を呼び込んでここまで成長してきましたが、もはやそれも一巻の終わりです。
そして銀行の自己資本規制を決めている国際決済銀行も金融危機時には資本規制に例外を設けると発表。もはやなりふり構わず銀行を救済するしかない状況がうかがえます。さらにアイルランドは産業振興を図るために法人税率を大幅に引き下げて外国からの企業誘致を盛んにしてきましたが、今回欧州各国はアイルランドに増税を求めており、今のところ、アイルランド政府は法人税率の引き上げはなんとしても、行わないと言ってますが、欧州各国などの圧力によって、今後の展開次第では、法人税率の引き上げをやむなくのまされて、「アイルランドから企業が脱出する可能性」も大いにあります。
そして政府も追い詰められていて、来年早々に総選挙を行って諸外国が求める超緊縮政策を導入するかどうか、民意を問うことになりました。まさに踏んだり蹴ったりです。さらに後に他の格付け機関によって、現実のものとなりましたが、格付け機関ムーディーズが同国の格付けを大幅に引き下げるとの観測も広がり、ユーロは売られ、さらに西欧各国の債券保証コスト、すなわち国家破綻確率は新興国と同水準にまで上がってきており、欧州は90年代後半の日本と同じような巨大な金融破綻がいよいよスタートしたという状況です。