異端の大経済学者ラビ・バトラの著書を私が初めて読んだのは1987年発行の「1990年の大恐慌」であった。
当初、その本を読んだ時にはその内容に半信半疑であったが、彼の予測通り1990年第1四半期から日経平均は下げ始め、日本のバブルは彼の予測通り確かに崩壊し、失われた10年と言われる長く苦しい大不況が続いた。
それ以来、バトラの著書は殆ど全部と言って読んできた。驚くことに、彼は大学の正統的な理論経済学の教授という立場にありながら、30近い予測を行ってきている。「イランのパーレビ王朝が崩壊する」、「イランとイラクの間で7~8年間の戦争が行われる」等の予測は私がバトラを知る前にすでに的中しているものであったが、上記の「1990年の大恐慌」の予測の的中により、彼への興味は限りなく強いものとなった。
その次に起こるであろう彼の大きな予測は「2000年までに共産主義は崩壊する」であった。内心のどこかで本当なのかなと思いつつも、本当にソ連は崩壊し、私は本当に驚いた。
そして、残された彼の最後かつ最大の予測は「2010年までに資本主義は崩壊する」である。資本主義の中で生活する者にとって、この予測は決して他人事ではない。自分の身に振りかかってくるのだ。共産主義がソ連の崩壊により実現して以降、バトラの著書のテーマは殆ど常に「2010年までに資本主義は崩壊する」という予測に関する内容になっていく。正直なところ、1990年代に書かれた彼の著書の内容はその予測の実現をなかなかイメージできるものではなかった。
しかし、2010年が近づくにつれて彼の著書はだんだんとその予測の説得力を増してきた。
そして、ついに、著書「2010年資本主義大爆裂!」 によって、「2010年までに資本主義は崩壊する」のはどうしてなのか、そして、どのようにしてなのかを明快にしている。この資本主義の崩壊は、ある日、突然、花火が弾けるように現代的な金融恐慌によってもたらされるのである。
ここで読者に注意されたいのは、「資本主義の崩壊」といっても、バトラによれば「貪欲で、拝金主義的で、利己主義的な」資本主義が行きつくところまで行き、崩壊するのであって、残るべき企業、金融機関等は残り、企業間取引なども従来通り行われる。だから、一時的な大混乱の時期は覚悟しなければならないものの、バトラが「プラウト」と呼ぶ「新生資本主義」とも言うべき新しい民主主義的な形での資本主義はその後も続いていくのである。
だから、決して彼の予測をいたずらに恐れることなく、「プラウト」と呼ばれる新しい資本主義でいかに生きていくかの覚悟が出来たならば、それがバトラが託したメッセージを正しく受け取ることになろう。