私は永年の日経新聞の読者である(決して、日経の回し者ではない)。
そんな私が、朝一番に読むのが最終面の「私の履歴書」である。
やはり、経済紙らしく、著者は大企業のトップを務めた財界人が多い。
企業人でありながら、自分の伝記を毎日、決まったスペース内に1ヶ月で
キッチリ完結させるとは、さすがに、偉くなる人は違うと長らく感心しておった。
ところが、10年程前、日経記者の友人から真相を聞いて驚くと共に、
なるほどね。とも思った。
「私の履歴書」を書くのはその企業を担当する日経の記者であるのだ。
私の友人も担当する企業の会長の「私の履歴書」を書いた時の苦労談を
教えてくれた。
彼によると、まず、そのトップに延べ40時間程度のインタビューを
何回かに分けて行う。それと、同時にその企業の広報部にもいろいろな資料や
話のネタを提供してもらう。
それを基に、記者が「私の履歴書」を書いてゆく。書いている途中でわからなくなったり、新たに調べる必要が出てくれば、直接、本人に聞くか、広報部に調べてもらう。
私は、事前に一月分全部書いておくのかと思ったら、数日遅れの同時進行だそうだ。
それは、回が進む内に、読者から情報提供や誤りの指摘が結構あるので、それらを反映するためのようだ。時々見る、お詫びと訂正があった時は、まず、読者からの指摘と思っていい。
友人が一番苦労したのは、書いている途中で、肝心の本人が海外出張に行ってしまい、
聞きたいことが出たとき、メールなどで本人からの回答を得ることだったそうだ。なかなか回答が来なくてハラハラしたことも何度かあったとか。
友人によると、「私の履歴書」を絶対に全部自分で書く人種がいるという。答えは「作家」。なるほどなである。