久しぶりに国内のホテルで
「心地よい」というホテルに泊まった。
人のホスピタリティがいい。
周りに配置されている調度品の
落ち着きにじつに溶け込んでる。
かならず
目を見て相手からのメッセージを受け取ろうとする。
明治初期にその起源をさかのぼるこのホテルには、あちらこちらにその当時の資料を掲げてる。
それは実にうまく客に対する自信と
プライドとなってスタッフの動きとも連動する。
朝食会場が素晴らしい。
また、キビキビとしたスタッフと
よく教育されたコンビネーションは、まるでその室内楽団を見るようだ。
客が席を立てば
すかさずテーブルクロスを変える。
そっとだ。
霧吹きでそのシワを伸ばし
数十秒後には客を迎える席が仕上がる。
バッフェ以外にもオーダーで
料理は客の期待にこたえる。
その間、
私たちは少しばかりのスパークリングワインを喉に流し込みながら、頭にへばりついた睡魔を追いやる。
厨房は多くの人数で静かなる
戦闘状態ではあるが
ひとたび料理が出来上がると
大きな掛け声が料理人から「ファー!」とかかり
近くにいるサーヴィスをする男たちは
すかさず「Yes!」と声を上げ
皿の冷めぬうちに客の前に置かれる。
そういえば
昨晩のホテルのBARも素晴らしい空間である。
マッカランのロックを頼んで待ったが、
果たしてそこに出されたのは貧相なお店の3倍はあろうかという琥珀の宝であった。
灰皿のガラスの透明度と厚みは
煙草を押し付けるときの心の落ち着きににもつながる。
オーナーシップとは
こういうことを言うのだろう、と
考えながら見ていた。
オーナーシップは
空間の空気を作ることだ。
ホテルとは
完全なる非日常の演出である。
それが手の届かぬほどの金額では
覚めてしまうけれども
そのホテルに泊まりたくて
出張が楽しくなるとすれば
最高である。
神戸の旧居留地に
いまは近代的な建物になってしまってはいるが
日本人のおもてなしの心を
海外の客に触れさせるには
素晴らしいホテルである。
オリエンタルホテルに
また泊まろう。





