砂漠の国の物語 外伝4-1 | みむのブログ

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こちらはス/キップ/ビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全なる個人の妄想から産まれた駄文ですので、もちろん出版社等は全く関係ありません。
勢いで書いていますので時代考証等していません。素人が書く物と割り切ってゆるーく読んでください。

よかった、エディターを古い方に変えたらUPできました!

新エディターだと、今回UP分すら二分割しなくちゃUPできませんでしたからね。
よかったよかった。

ではでは、
この話はパラレルです。しかも外伝です。苦手な方、本編をお読みでない方はバックプリーズ。



砂漠の国の物語外伝4-1




いつものように自分のベッドメイクをしていたカナエは、背後に人の気配を感じて振り返った。
そこに居たのは自分の主であり、親友であるこの国の王妃さまだ。半身を隠して入り口からこちらを覗き込んでいる。

「……なにやってるの?」

すでに王宮の灯りも最低限まで落とされた時刻。いつもならば王夫妻も王宮再奥の寝室に引っ込む時間だ。
カナエの質問はもっともだが、彼女は答えの想像がついていた。

「モ、モー子さん…」

「なによ。とりあえず中に入りなさいよ。」

「うん…」

おずおずと入室して、しかしなおも言い淀むキョーコの姿に、カナエは腰に両手を当てて盛大に溜息をついた。

「…寝る支度は持ってきてるのね。ほら、じゃあイツミのベッドを動かすの手伝いなさい。」

同室の同僚は、女官長に今日一日の報告に行っている。もうすぐ戻ってくるだろう。それまでに二つのベッドを並べて一つの大きなベッドにするのだ。

夜着を抱えて佇むキョーコに皆まで言わせず、ベッドメイクに戻ったカナエにキョーコの顔がパァッと華やぐ。

「モー子さん大好き‼」

「はいはい。わかったから早くする!いちいち抱きつくんじゃないわよ!」

「ただいま~…って、あら?キョーコちゃん。今夜はお泊まりの日?」

抱きついてくる主を容赦無く引き剥がそうとしている同僚の姿になんのツッコミも入れず、部屋に戻ってきたイツミがにこやかに言った。




月に二日から三日ほど、キョーコはカナエとイツミの部屋を訪れて一緒に眠る。
最初は理由を話さないキョーコに、何か王と喧嘩でもしたのかと慌てて王の所へ様子伺いを立てたイツミだが、王からは「大丈夫だから、キョーコの気が済むまで部屋に置いてやって」と言われてしまった。
首を傾げて伝言を持ったきた召使いを帰せば、恐る恐ると言った風でキョーコが「陛下、怒っていらっしゃる…?」と尋ねてくる。
驚いてイツミはキョーコの顔をまじまじと見てしまった。
王は彼女の行動の理由がわかったうえでの言葉かと思いきや、彼女はただ、「今夜はカナエ達と一緒に寝たい」とお願いしただけだと言う。

理由も言わずに。

「………」

「………」

思わず黙ってお見合いしてしまった二人の横で、カナエが盛大に溜息をついて、ベッドを動かすわよと号令を出した。

こんなことが三回も続いて、カナエもイツミも、なんとなくキョーコの心中を察してしまった。

何故、彼女が最愛の君主から離れて眠るのか。

カナエと視線を交わして、イツミは肩をすくめて見せた。カナエは少し怒ったように眉間に皺を寄せている。

イツミが灯したアロマキャンドルの香りを誉めて、うっとりとその炎の揺らぎに見惚れているキョーコの後ろ頭は、なんの悲壮感も感じさせない。

しかし、カナエもイツミも、自分達の主がどれだけ秘密主義か知っている。

彼女を挟むようにして寝台に座った侍女たちは、今夜こそは逃すことなく話を聞かなくてはならないと決心し、まずはしかめ面のカナエが口火を切った。

「あんたが隠してる外泊の理由。たぶん陛下は察してるわよ」



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