自分の感覚を元に行動できるようになると1歩成長です。
自分の感覚というのは、実際に自分の肌で感じた情報です。
自分の肌感覚が信頼できるようになると、臨機応変に無限のサービスを提供することができます。
たとえば、レストランなどへ行った際に室内の温度が適温でないと感じることがあります。
そこで、お店の人に『すみません。少し寒いんですけど・・・』といいます。
そのときの対応が残念な場合があります。
『そうでしたか。一応、設定温度は保っているみたいなのですが』
『すみません。上限なので、これ以上は暖かくならないんですよ』
肌感覚を大切にしていないと、悪気がなくてもついこのような対応をしてしまいがちです。
これは視覚から入る情報だけに基づいたサービスです。
『設定どおり27度だな』という数字を確認しただけです。
もはや、サービスですらありません。
たしかに、お店の空調では基準の温度を設けていたりします。
しかし、人それぞれ体感温度が違うのはもちろんのこと、その日の体調や気分にも左右されます。
『10月だから27度で固定だな』という感覚ではいけません。
10月でもまだ暑い日はあります。
お客様が暖かい服を着ていることもあります。
席によっても違ってきます。
そういった要素を考慮した対応をしなければいけません。
それ以前に、まずはお客様を気遣う姿勢を見せることです。
『そうですね。少し寒いかもしれませんね。申し訳ありません。今の温度が上限なので、よかったらブランケットをお持ちしましょうか?エアコンに近いあちらのお席も空いていますので、よろしければお席の変更も可能でございます』といった具合に自分の肌感覚とお客様の要望に対する提案をセットにした対応ができるのが理想です。
最悪、店内がお客様の適温にならなかった場合でも、気持ちには十分応えることができています。
決まった数値やデータに基づいただけの対応をするのは0点です。
もちろん、視覚から知識を得ることは欠かせません。
大切なのは、知識を押さえた上でそれを上回る肌感覚を身に付けることなのです。
この場合は、お客様の気持ちへの共感と寒さを和らげる提案が求められるのです。
肌感覚を研ぎ澄ませることによって、視覚からはとらえられない情報を手に入れることができます。
視覚に頼りすぎないことです。
逆に、視覚は普段より力を抜くくらいでもいいのです。
視覚への力を抜いた分、肌感覚の力が開花します。
全盲の人の聴覚が研ぎ澄まされていくのと同じです。
肌感覚を研ぎ澄ませていくことで、今までは見えなかった情報に基づいた新しいサービスを提供することができます。
真のサービスは、マニュアルを逸脱したところから始まるのです。