こんな日がいつかは来ると思っていた
ただ、もう少し違うカタチで、もう少し先の事だと思っていた
数日前から調子の良く無いチビタを病院に連れて行った
一通りの検査を終えて緊急手術になり
術後の先生の話を聞いた時
ガラガラと音を立てて何かが崩れていくような感覚に陥った
「腸の周りに腫瘍が張り付いて、取り切る事が出来ませんでした
病理検査の結果で抗癌剤を決めましょう」
これが天の采配だとしたら何の意味が有るのだろうか
家に帰って無邪気に遊ぶ子猫を見ていると
私は何か重大な罪を犯してしまったのだろうかと、ふと思った
生と死はいつも私達のすぐ傍に在るのだと感じる
何かの拍子にそこへ引き込まれたのかも知れない
ならばチビタを連れて全力で這い上がる事だけを考えて
後ろで誰かが囁いても決して振り向かないように
蝉の声が遠くで聞こえる
汗か泪か分からないものが私の頬を伝い落ちて行く
チビタ 13才の夏