チビタ 13才の夏 | 伽想詩

伽想詩

愛するものは猫と本と花......そしてantique

こんな日がいつかは来ると思っていた

ただ、もう少し違うカタチで、もう少し先の事だと思っていた



数日前から調子の良く無いチビタを病院に連れて行った

一通りの検査を終えて緊急手術になり

術後の先生の話を聞いた時

ガラガラと音を立てて何かが崩れていくような感覚に陥った

「腸の周りに腫瘍が張り付いて、取り切る事が出来ませんでした

病理検査の結果で抗癌剤を決めましょう」

これが天の采配だとしたら何の意味が有るのだろうか

家に帰って無邪気に遊ぶ子猫を見ていると

私は何か重大な罪を犯してしまったのだろうかと、ふと思った



生と死はいつも私達のすぐ傍に在るのだと感じる

何かの拍子にそこへ引き込まれたのかも知れない

ならばチビタを連れて全力で這い上がる事だけを考えて

後ろで誰かが囁いても決して振り向かないように



蝉の声が遠くで聞こえる

汗か泪か分からないものが私の頬を伝い落ちて行く


チビタ 13才の夏