私の家から1時間ほどの場所に
九谷青窯があります。

こちらは、分業せずに、
いちから全てをひとりで作りあげる
作家さんを育てる、
ちょっと珍しい窯元です。

しかも、あまり長くは
こちらに席を置けないと
聞いたことも。
次々と若い才能を羽ばたかせて
九谷の世界を広げることに
重きを置かれていたようです。

日下華子さん

内村七生さんなど、

私の大好きな作家さんも

在籍されていました。


私が九谷青窯を求め、

九谷茶碗祭りに親友と朝5時出発で

大行列に並んだのは、

2018年の米満麻子さんの卒窯の年。

レモンシリーズ買えるかな、と

行列の前後の方々とおしゃべりしながら

開店を待った楽しい回でした。

2019年は徳永遊心さんの色絵つなぎや

横井佳乃さんのミモザ、

高原真由美さんのものなど、

500円とかで購入できた夢の年でした。

そう、実を言うと、

ほぼ定価で購入したことはなく…

私の茶色料理を明るく見せてくれる

九谷青窯のお皿には

毎日毎回お世話になっているだけに、

多少の心苦しさを感じてはおりました。

が、

九谷青窯は石川県で作陶されていても

人気ぶりから

そのほとんどは都市圏、海外にまで

旅立ってしまい、

なかなか買うチャンスに恵まれなかったのです


その九谷青窯で2022年に火事があり、

せめてできることを、と足を運びました。


あれから2年。
火事から立ち直られたと思っていたのですが、
閉窯されるというニュースが耳に入りました。
(閉窯の理由はわかりません)


もう器は増やすまい、と決めていましたが、

最後の最後だから、と、

初日の今日、朝活と称し、

ビュンと行ってきました。

今回は、B級品ではないために、

消費税なしの定価販売。(撮影許可頂きました)


今日は横井佳乃さんの器が

多く並んでいたように思います。

私も選んだのは全て横井さんの器。

そして!奇跡の1枚、

2020年に独立された堀畑蘭さんの桃のお皿。

この柄が大好きだったのですが、

実物を見れたのは初めて!

53年分の器が倉庫にあるために、

まだ堀畑さんの器もわずかにあるそうです。


販売の器は、毎日補充されるらしく、

開催中にはまた堀畑さんの器も

並ぶかもしれません。

販売されている器には、マステ付きのものも。

これは見本として並べられた印とか 笑。


横井さんは早急には開窯の予定はないらしく

そして

九谷青窯さんを卒窯されると

皆さん描かなくなる柄も多いことから、

(堀畑さんの桃、米満さんのレモン、蝶々)

ミモザ納めにこちらの片口を持ち帰りました。

中国茶の茶海としても使いたいと

思っています。

先日の母の日に、

欲しいものをリクエストされたものの

何も浮かばないままだったので、

こちらを家族にお願いしました。

(事後報告の事後集金)


1971年。

たくさんの器と作家を世に送り出した

九谷青窯は、

新しい九谷を広め、

私の生活をも五彩で彩ってくれました。


こんなにも想いが深い器たちとは

これから先、出会うことはないと思うのです。


私のひとつの時代が幕を閉じるようで

今も本当に胸が苦しいです。

帰り道、徳永遊心さんの色絵菊の

雑な扱いに、ちょっとだけ笑えた販売会でした。


あー、でもやっぱり寂しい。

寂しくてたまりません。

相変わらず別れ下手の私なのです。