第三十回一筆啓上賞に入賞しました。 | ダウン症児のママはシンガーソングライター MIMOの「ギフト」な日々

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私ごとで恐縮ですがこのたび

第三十回「一筆啓上賞」に入賞しました。

 

 

これは日本郵政主催の

日本一短い手紙のコンクールで

40文字以内で

想いを伝えるというもの。

これがなかなか

至難の技なのです。

 

 

そして今回のお題は「挑戦」

 

 

ぶっちゃけ今の私が

顕彰式に参列すること

それ自体が「挑戦」

認知症の母、

指定難病が見つかった父を残し

(関係各所の

 みなさんのおかげです。涙)

知的最重度のダウン症の娘を連れ

はるばる福井県坂井市の会場へ。

 

 

なかなかのフォトスポット!

でもあーちゃんはそっぽ向くし。

 

 

上の写真パネル右に並んだ

お名前たちをご覧ください。

選者の先生方が恐ろしいほどすごい!

私が応募し始めたきっかけは

この先生方に自分の作品を

ひと目でも見ていただけるのならば

こんな幸せなことはない。

たとえ落選しても。

 

特にTBSプレバト

俳句のコーナーご出演の

夏井いつき先生。

夏井先生の言葉の世界に

恋して恋して恋い焦がれて・・・

先生に会えるのならば

何度だって挑戦しちゃる!

 

そんな想いで数年前から

チャレンジを始めたのでした。

 

 

 

そんな想いが通じたのか

応募を初めて三年後

第二十八回一筆啓上賞に

実は入賞しておりました。

 

 

その時の様子はこちらです。

 

 

第28回一筆啓上賞にて、「秀作」を受賞いたしました。

 

 

 

まさに夢のような出来事!

願えば叶うんだ!

神様仏様おとーさん!

本当にありがとーう!

 

と喜び勇んで

手配した切符とホテル。

 

あれは顕彰式一週間前でした。

一通の通知が事務局から。

なんとコロナ蔓延で中止に!!!

 

夏井先生と会えるチャンスなんて

一生に一度だったはず!

やっぱり神も仏もいないんだぁー!

とマジ泣きしました・・・

 

 

「また挑戦すればいいよ!」

家族は軽く言います。

でもそんな簡単なものじゃない!

 

 

ひとつ前の

第二十九回のお題は「こころ」

これだって出したんだってば!

でも箸にも棒にも引っかからず。

 

 

コロナで音楽の仕事は

ほとんど中止になり

介護が必要となった

親たちとの同居。

更年期もあり

なんとなく

「私」が「私」で

なくなっていくと感じる中。

 

 

今回のお題の「挑戦」

 

 

今の私に「挑戦」なんてない。

毎日「生きる」だけで精一杯だ。

というか親を「生かす」ことに。

 

 

そんな時にふと

フィギュアスケートの

羽生結弦選手

いつぞやかの

記者会見の言葉が蘇ってきた。

 

 

みんな生活の中で

何かしら挑戦している。

それが生きること。

家族を守ることだって

挑戦なんです。

 

 

この時私は

料理を作るを手を止め

嗚咽して泣いたんだった。

 

 

母が糖尿病を患って早20年。

今までずっと私が通院に付き添い

糖尿病の勉強をし

作り続けた糖尿病食の本は

表紙も無くなってボロボロに。

 

 

2020年冬。

母がおなかの風邪から

食べられず

起き上がれなくなった。

ほとんど

コミュニケーションも取れず。

それでもなんとかして

生きてほしくて

テレビで見かけた

辰巳芳子さんの

「命のスープ」もどきを作り

毎日母に届けた。

 

 

コロナ禍の間

私は一体

何をしていたのだろう?

そう振り返ってみると

とにかくご飯を

作りまくっていた。

 

 

美味しくて栄養のあるものを。

そうしたら母は

口に運んでくれるかもしれない。

そんな願いと祈りを込めて

無我夢中で作っていた。

 

 

そんなある日

母が私にこう言った。

 

 

「どれもこれも美味しくてね。

 何よりも味に

 ”絶対生かしてやる”って

 おねえちゃんの

 執念を感じるのよ。

 おねえちゃん

 ありがとね。」

 

そう言って母は泣き

私も泣いた。

 

 

奇跡的に母は持ち直した。

やっぱり口からの栄養って

大切なんだなぁと。

 

 

それからしばらくして

母に対して

「あれ?」

と思うことが増えていった。

 

 

私は実家の近所には住んでいたが

これ以上は父一人で

母の面倒は無理だ。

そして昨年同居を決めた。

 

 

今の母には短期記憶が無い。

15秒前の記憶が無い。

母から笑顔が消えていく。

生きることの意味さえも。

 

 

母を笑顔にしたかった。

私のするべきことは

何も変わらない。

美味しいご飯を作ろう。

毎日ちゃんと食べてもらおう。

 

 

ある日母がこう言った。

 

 

「何食べたかは

 忘れちゃったけど

 すっごく

 おいしかったってことは

 ちゃんと覚えてるの」

 

そう言って

極上の笑顔を私に向けた。

 

 

そしてその言葉を

私の中で消化吸収したあと

こらえきれずに、泣いた。

 

 

今の私は

華やかな舞台にも立ってない。

ただの「介護者」だ。

自分の顔を洗う余裕さえ

無い日もある。

 

 

でもちゃんと「挑戦」している。

いつか羽生選手が言ったように。

母や家族の笑顔を守るために

日々ちゃんと「挑戦」してる。

 

そうだ!これだ!

 

そう気がついて

応募締め切り日当日に出したのが

こちらの作品です。

 

 

 

物忘れするようになった母へ

 

「おいしかったぁ。

 で、何食べたっけ?」

 とおどけるその笑顔、

 明日もゲットするぞ!

 

 

たった40文字だが

ここまで書いてきたように

この文章の中には

たくさんのストーリーと

感情が含まれてる。

 

 

実はこれ

出した時には自信が無かった。

この短い文章で私の真意は

ちゃんと伝わるだろうか?

 

 

でもそれは杞憂に終わった。

選者の先生方はちゃーんと

行間どころか

想像の翼を膨らませてくださる。

そのことが分かったのは

顕彰式後のトークショー。

夏井先生はよく

「あまり語りすぎない」

「読者に想像の余地を」

とおっしゃっている。

 

 

あまりに語りすぎる

今の時代こそ

一筆啓上の文化が

必要なのではないか?

改めてそう考えさせられた。

 

 

 

そうそう!

恋い焦がれていた夏井先生!

顕彰式会場で

なんと私のすぐ左前方に

座っておられました!

先生が姿を現された時に

「本当に実在していたぁ!」と

思わず感動で涙が・・・

 

本当は握手を!写真を!

と願っていたのですが

大人気の夏井先生

あっという間に

受賞者たちという名のファンに

囲まれて身動きできなくなり

関係者の方達に囲まれて

会場を後にされてしまった。

 

 

だけどいいんだもん。

顕彰式の賞状授与時に

中央階段から座席に戻る時

夏井先生と目が合い

私に向かって

それはそれは

観音様のような穏やかなお顔で

大きく拍手をしてくださった。

それだけで一生頑張れる!

 

 

 

顕彰式の後に

一筆啓上賞事務局のはからいで

こちらへ案内していただいた。

 

一筆啓上 日本一短い手紙の館

 

 

 

ここに歴代の入選作品が

展示されている。

そして選考委員の先生方。

 

 

そしてそして!

夢にまで見た

この方との2ショット!

 

 

顕彰式でお話されていた先生の

ひとことひとことに重みがあり。

今の苦労もすべて糧にしよう。

そして誰かの力に変えられるように。

改めてそう決意しました。

やっぱり行ってよかったぁ〜!

やっぱりナマだよ!実物だよ!

言葉の生き神様だよぉ〜!

 

 

そういえば過去の私の作品も

検索可能になっていました。

こっちの方が秀作。

今回のは佳作だったので

本当はちょっぴり悔しい。

 

 

この館のすぐ目の間には丸岡城が。

あーちゃん抱きつかないで!

お願いお顔を出してくれぃー!!!

 

 

 

帰りはちょっと金沢へ寄り道。

 

圧巻の金沢城。

 

風情と情緒が溢れまくりの

ひがし茶屋街。

 

 

 

歩かせすぎたあーちゃんの

ご機嫌を取るべくスイーツ補給。

 

 

王様のブランチで

ちょうど昨日ここが紹介されてました。

 

 

私のチョイスは

味噌アイスの上に

たっぷりのモンブラン。

悶絶したのは言わずもがな。

 

 

基礎疾患がある家族がいるため

コロナ禍はずっと自粛してたけど

思いがけず四年ぶりの家族旅行。

忘れられない思い出となり‥‥。

 

 

夢のような日々が終わり

さてさて帰宅後は

現実に返るわけで・・・。

 

 

さっそくじじばばの

夫婦喧嘩が勃発していた。

 

我が家の果てしない

戦いの日々は続く。

でも大丈夫。

全部糧にしてネタにしてやる!

と前向きにとらえるしかない

今日この頃の私です。

 

 

さてさて来年のお題は・・・

 

 

第三十一回一筆啓上賞詳細

 

 

今回の顕彰式で思った。

大賞も唸るほどよいが

そのほかの作品も

あっぱれというほど秀逸。

受賞者お一人お一人の

人生を垣間見ることができ

ずーっと泣いていた。

私が泣き虫なだけじゃない。

選考委員の

夏井先生も宮下奈都先生も

選考中にずっと

泣いていたらしいもん。

やっぱり感受性豊かであるが故に

お二人とも

素晴らしい作品を

生み出せるのだなぁと。

 

感動したら泣いていい!

感受性のアンテナ

これからもビンビンに

立てて生きてこう!

 

 

一筆啓上賞面白いです!

言葉の楽しさと大事さを

再認識できるこのコンペ

皆さまもぜひぜひご応募を!