11年前のクリスマスイブは、
あたしたちみんな泣いてたっけね。
今夜のクリスマスパーティーで、
私の母が懐かしそうに言った。
そう、過ぎれば思い出なんだ。
でもあの時は、
あの暗く長いトンネルが、
一生続くような不安で、
押しつぶされそうだった。
妊娠8ヶ月の早産で、
超未熟児として生まれたあーちゃん。
NICUの保育器で二ヶ月、
GCUで二ヶ月お世話になり、
生後4ヶ月で退院してきたのも束の間、
生後六ヶ月で合併症を発症。
また入院生活を余儀なくされた。
クリスマスの時期になり、
入院患者さんたちも一時帰宅をするのに、
あーちゃんは外出どころか、
病室から出ることさえも許されなかった。
初めてのクリスマスだよ?
私は愛するあーちゃんに、
なんにもしてあげられないの?
親として情けなかった‥‥。
こんなに切ない、
悲しいクリスマスはない。
そう思っていた時のことだ。
病棟が暗くなった。
一瞬「停電?」と。
そうすると、
ナースのみなさんがキャンドルを手に、
あーちゃんの病室に入ってきてくれた。
ナースの聖歌隊だ。
あたたかいその歌声に、
あたたかいものが溢れて、
止まらなくなった。
どんなイルミネーションよりも、
どんなクワイヤーよりも、
これ以上に、
その時の私とあーちゃんを、
包み込んでくれるものは、
なかっただろう。
大丈夫、
支えてくれる人たちはいる。
どんな人たちにも、
クリスマスは平等にあったかいんだ。
そう信じられた。
そしてきっと、
病気にも打ち勝てると思った。
あれから11年‥‥。
めっきり病院とも縁遠くなった。
今では我が家全員で、
「あーちゃんが一番元気だね!」
と口を揃える。
時はやさしく流れてくれる。
幸せのある方向に。
今夜は家族みんなで、
キャンドルを囲み、
「きよしこの夜」を合唱した。
キャンドルとケーキを、
笑顔で交互に見つめるあーちゃんが、
私にとっては、
何より美しい風景。
何よりのプレゼントだ。
2015年のクリスマスイブ。
みなさんにもどうか、
素敵な物語が刻まれますように‥‥。
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