「このチラシを手にしたアナタ…特別な島へご招待…」


ナガノがX(旧Twitter)で長く連載を続けている『ちいかわ』の初の長編ストーリーとなる、「島編」について紹介・考察する。
このエピソードは、ちいかわの漫画でも異例となる2023年3月14日〜11月26日にかけて長編連載された。
あらすじは、ちいかわ達が訪れた島でセイレーンというでかつよ族と出会う話である。
ちいかわ達に友好的な態度を見せるセイレーン。しかしセイレーンはとある理由から無差別に島のちいかわ族を襲っており、その理由も複雑かつ善悪がつけにくいもので、誰がどうすれば誰も傷つけず、失わずにすんだのか、考えさせられるストーリーとなっている。
島編を全くネタバレせずに、私がこの島編を読んだ意見をはじめに述べる。
島編は、弱いことは罪なのか、やられたからといって復讐をするのは正当性があるのか、奪い返そうとした結果、より多くの犠牲を出すくらいなら弱者は強者に服従し続けるしかなかったのか、などをとても考えさせられる物語となっている。
たとえ悪意がなかったとしても、誰かを無意識のうちに傷つけていることは誰しも経験していると思う。無自覚で人を傷つけ、それで誰かにやり返された時、報復をするのか、それとも相手に自分が何かしてしまったのかもしれないと自分の行いを省みれることができるかで、相手との今後の関係や周囲への影響が多きく変わると考えた。

 ​簡単なエピソードの紹介


ある日、ちいかわたちが暮らす地域に謎の鳥によってとあるチラシが配られた。

そこには、『このチラシを手にしたアナタ…特別な島へご招待…』『島でのカンタンな報酬で100倍の報酬をもらおう』『限定島ラーメンに甘いもの辛いもの実質無料』と魅力的なことが書かれていた。主人公のちいかわ、ハチワレ、うさぎはご馳走目当てに島へ行くことを決める。島に行くのはこの子たちだけではない。このチラシの影響力は凄まじかった。ちいかわたちが暮らす地域の多くのちいかわ族(モブ)が島へ行くことにしたのだ。当然、準レギュラーのラッコ、シーサー、モモンガ、かにちゃんも含まれる。

朝、ちいかわ達や他の大勢のモブちいかわ達は島に行くための船に乗った。島に到着すると、島民たちはちいかわ達をこころよく出迎えた。『島へようこそ』とかかれた大きなポスターをくぐるちいかわ達に、島民たちは歓迎の歌を歌う。



『おいし〜い屋台〜がて〜んこもり〜』

『わたあ〜め ビ〜ルに じゃがバタ〜』

『たこや〜き すきや〜き ケバブに〜』

『てりて〜り ソ〜スの 焼きそば〜』

歌を聞いている間に、ちいかわたちは島民たちとおそろいの衣装に着替えさせられ、歓迎の宴に参加することになった。島民たちによる美味しいご飯を食べ、ちいかわ達は大満足した。

夜。宴が落ち着いてきた頃、ちいかわとハチワレ、うさぎの三匹は砂浜の奥に洞窟を見つけた。その洞窟でちいかわ達はセイレーンというでかつよ族に出会った。



セイレーンははじめ、ちいかわ達を襲った。しかしちいかわ達が島民ではない部外者だとわかると、セイレーンは謝罪と共に襲ってしまった3匹を甲斐甲斐しく介抱した。

襲った理由は、セイレーンの大事な人魚の3匹のうち1匹がこの島の誰かによって食べられてしまったからだった。


『食べられちゃったの……だから食べてるの』


大事な人魚の報復のため、セイレーンは島民を襲っていた。犯人が名乗り出るまで、セイレーンはずっと島民を襲い続けていた。島民が犯人だという根拠は、集落の途中に人魚のウロコが落ちていたからだった。根拠の薄いセイレーンの推理に、島民たちは冤罪をかけられてしまっているかもという不穏さを残し、ちいかわ達はセイレーンと別れた。

朝、ちいかわ達や他の大勢のモブちいかわ族は島民に集められた。そこでは、島民たちがなぜチラシを配ってちいかわ達を集めたのかが明かされた。

チラシにあった『100倍報酬』は嘘であり、島民を襲うとあるでかつよ族を討伐してほしいためちいかわ達は集められたのだった。

そのでかつよ族とは、なんと昨日のセイレーンだった。

ちいかわ達は周りに流され、セイレーンを討伐することになってしまう。しかしセイレーンが島民を襲う理由を知っていたため、複雑な面持ちの3匹…。

突然悲鳴が聞こえ、声のする方に行ってみるとセイレーンが島民を襲っていた。




ラッコがセイレーンを倒そうとするも、戦犯モモンガによりラッコと島民は連れ攫われてしまった。ちいかわ、ハチワレ、うさぎ、モモンガ、かに、そして協力してくれた島民二匹(以下この二匹は一葉と二葉とする)と共にラッコと島民を救出に向かった。

救出をする前、ちいかわとハチワレは人魚の秘密について調べていた。なんと、人魚の肉を食べると永遠の命が手に入るという。





そして、人魚の肉を食べた相手にだけとある身体的特徴が現れるという。

セイレーンはこの“身体的特徴”を目印に犯人を探し、その犯人に報復をすることを決めていた。

犯人が自分の大事な子を手にかけてまで欲しがった永遠の命を味わってもらうために…。





ちいかわ達は紆余曲折を経てなんとかラッコと島民の救出に成功した。しかしセイレーンが黙っているはずもなく、セイレーンは再び島へとやってきた。

『いるんでしょ…この中に…犯人』

『ずーっと ずーっと ヒミツにしようなんて…許さないよ』

セイレーンは目を赤くして静かに怒った。それだけ、食べられた人魚が大事だった。しかしセイレーンの怒りの襲撃もちいかわ達による激辛カレー作戦によって沈められた。

セイレーンはあまりのカレー辛さに耐えきれずその場に転げ回った。ちいかわ族よりずっと大きな体をしたセイレーンが暴れたことにより、ちいかわ達に協力的だった島民の二葉が怪我を負ってしまった。セイレーンは水を求めて島から逃げていく。ちいかわ達はセイレーンを撃退したことを喜んだ。大怪我を負った二葉の治療も上手くいき、事態は一件落着となったと思えたが…。



ちいかわがふと二葉をみると、一葉が二葉のおしりに単三をいれていた…。


​真実


実は、人魚の肉を食べた犯人はこの二匹だったのだ。しかしその理由はどうしようもないものだった。

一葉と二葉が海に釣りへでかけると、セイレーンと人魚三匹が海で遊んでいるところに遭遇した。



セイレーンは近くにいた一葉と二葉に気づかず船に激突してしまい、その結果二葉は大怪我を負ってしまった。

⚠️自分のせいで船が壊れ二葉が怪我を負ったことにセイレーンは全く気づいていない。何か当たったかな?と思うくらいですぐに人魚たちとの遊びを再開した。




大事な二葉が瀕死の状態になり、一葉はセイレーンや人魚に強い憎しみを抱く。



そして一葉は人魚の肉を食べれば永遠の命が手に入るということを思い出した。



一葉は人魚を殺し、煮付けにした。二葉に食べさせると、瀕死だったはずの友人が全回復した。なにが起きたか最初はわからなかった二葉だが、自分が人魚の肉を食べさせられたことを知ると、永遠の命の恐ろしさにゾッとしてとっさに一葉にも人魚の肉を食べさせた。孤独に永遠生きるのは絶対に嫌だったからだ。そして二匹のお尻には単三電池をいれるところができた。機械のように、電池を変え続ければいつまでも生きることができて逆に電池を外せば動けなくなるようだった。



一葉と二葉は、人魚を殺して永遠の命を手に入れたことを二匹だけの秘密にした。セイレーンが怒り島民に襲うようになってそれは変わらなかった。二匹は島民たちを見殺しにして自分たちの安全を選んでしまった。

結末​


そして現在。ちいかわ達はセイレーンを撃退したことによるお祝いパーティーに参加していた。

ちいかわは二葉の単三電池を見てしまい、もしかして…と二匹を怪しんだ。しかし、ちいかわは二匹の緊張した様子に何も聞かなかった。聞くのをやめた。知らずにいた方がどちらにとっても楽だし幸せだった。



翌朝、ちいかわ族は船に乗り自分たちの家に帰ることになった。島民たちに見送られ、ちいかわ達は帰って行った。

見送りの場に一葉と二葉はいなかった。実はその晩二匹はセイレーンが人魚を食べた犯人に気づいたことを悟っていたのだった。激辛カレーでセイレーンを撃退した時、二葉はちいかわ達を庇った。セイレーンの尻尾の衝撃で二葉の単三電池が外れ地面に転がった。それをセイレーンは見ていた。



二匹はセイレーンに捕まった後の自分たちを想像しながら家に帰って行った。そして実はちいかわ達が帰るより少し早く二匹は島を出ていた。セイレーンから逃れるため、二匹は船で別の島へ移ってそこで暮らすことにした。しかし、二匹のいる島に向かって泳ぐ誰かの影があった…。



以上で、ちいかわ「島編」は終了した。二匹がどうなったのか最後まで書き切らない後味の悪いラストとなった。

次は一葉二葉、セイレーンの二つの立場から物語を考察していく。


画像の参考資料

出典: https://x.com/ngnchiikawa?s=21&t=Gs7X3bTF2yXa37gBJpRFFA