セイレーンの人物像
顔立ちは猫や犬のようであり、下半身は赤い鱗で覆われた魚の尾鰭のような形をしている。まろ眉”がチャームポイントで可愛らしい顔立ち。
知能がとても高く、言葉を話すことができる。ゆっくり話し、のんびりとした穏やかな性格。またでかつよ族の中では珍しくちいかわ族に対して“ある程度”友好的に接している。誤ってちいかわ達を襲った際には、「間違えてごめんねー」と自分の非を認めて謝ることもできる。
しかしその反面、島民など一度敵と判断した相手には容赦なく襲ったり食べたりすることができる残酷な一面もある。また、意思疎通はできてもちいかわ達の説得の言葉にもあまり真剣に耳を傾けなかったりと、自己中心的・利己的な性格も強く伺える。
自分が強者であるという自覚がなく、自分の力が周りにどれだけ影響を与えるのか、もしくは傷つけてしまうかもしれないという可能性、そのような弱者への配慮が全くない。
セイレーンということもあって、歌声で植物を操ることができる。またセイレーンの歌声の影響で島の作物がよく育つようにもなった。
今作では歌声を使いちいかわたちを攻撃した。
人魚…丸い頭に赤い鱗の人魚のような尾鰭が特徴的。「ガジャガジャ」や「ギギギ」と機械っぽい鳴き声をしている。セイレーンの大事な存在であり、元々三匹いた。普段は歌のコーラスやセイレーンの体の虫をとったりする。
セイレーンの動向
セイレーンは元から島にいたわけではなかった。突然島にやってきて、味が濃くて脂っこい島の料理を気に入って島に住み着くようになった。
それからしばらく経ち、人魚たちと島近くの海で遊んでいた時にセイレーンは自覚なく二葉に大怪我を負わせてしまう。一葉と二葉にとっては船が破壊されるほどの衝撃だったが、セイレーンにとっては体に何かが軽くあたる程度で気にも留めないものだった。
「なんか当たったかな?」と首を傾げてすぐに遊びを再開させた。
そして寝ている間に、復讐にきた一葉によって大事な人魚の一匹を殺されてしまった。
集落の途中に落ちていたという鱗を根拠にセイレーンは人魚を食べたのが島民だと断定、犯人が名乗り出るまで無差別に報復を始めた。
一度、島に来た部外者であるちいかわたちも襲ってしまった。セイレーンはちいかわ達と別れた後も、再び島を襲撃する。その際ラッコと島民二匹を拉致した。巣に帰り、セイレーンは抗議するラッコの言葉を無視して淡々と犯人への報復について話した。
セイレーンは犯人を探し出し、永遠の命を味わらせることを目標としていた。海の深い深い暗い底で、体ぴったりの檻に入れて永遠の命を味わってもらうつもりだった。
ラッコと島民の救出に向かったちいかわたちを発見し、セイレーンはちいかわたちが犯人を連れて来たと勘違いする。それが間違いだとわかると、セイレーンの表情がすとんと無になる。
さらに人魚の肉(もとい永遠の命)を密かに狙っていたモモンガに人魚が襲われると、セイレーンは怒った。
『味方するし…さらに食べる気なんだ…』
セイレーンは歌の能力でちいかわ以外の、ハチワレ、うさぎ、かに、モモンガをワカメで拘束、拉致した。1人残されたちいかわは、島で『島二郎』という飲食店を経営する島二郎と出会う。
島二郎の活躍により、囚われた仲間を救出することに成功した。
しかしセイレーンはまた島を襲撃した。セイレーンはちいかわ達と完全に敵対する。
歌の能力でちいかわ達を襲うが、ちいかわ達が用意していた激辛カレーによってセイレーンはやられてしまった。
あまりの辛さにセイレーンはその場を暴れ回り、その尾鰭が二葉を吹き飛ばしてしまった。その時、セイレーンは二葉のお尻に「人魚の肉を食べるとできるやつ」を見つけた。
涙を流しながら「もうみんなを襲わないで!」と抗議するハチワレたちにセイレーンは首を横に振りながら「わかった!」と連呼した。
ハチワレたちはセイレーンがわかってくれたと考えたが、おそらくセイレーンの「わかった」は「(犯人が)わかった」の意で、襲うのをやめるということではない。その証拠に、ハチワレの抗議に対しセイレーンが首を横に振っている描写がある。
そして島編の最終回で、セイレーンは他の島へと逃避行した一葉と二葉を追っていく姿が描かれた。その後のセイレーンたちの動向は一切描かれなかった。
しかし、ちいかわ達が自分の家に帰る途中の船で談笑しているシーンにて、左下に「キャア〜…ハハ…」という謎の笑い声がかかれている。これは、一葉と二葉を捉えて報復を果たしたセイレーンの笑い声だと考察している。
セイレーンは作中で同じ笑い声をしているため、この「キャア〜…ハハ…」はセイレーンの声でほぼ間違いない。
加害者であり被害者
私の意見として、セイレーンは被害者であり加害者であると考える。しかし本人には加害者である自覚が全くなく、それがとてもタチが悪い。
『強者目線の主観では、自分の加害は一切見えていない』
セイレーン側だけで物語を見れば、美味しい島の料理を島民たちに振る舞われ、それが気に入って島に住むことに決めた。毎日美味しい料理を食べて人魚たちと海で遊んで暮らし、セイレーンの歌声で島の作物はよく育ち豊かになった。セイレーンは幸せだった。しかしその幸せは突然奪われ、大事人魚の一匹を殺されてしまった。セイレーンは何もしていないのに。
セイレーンは報復に走り何匹もの島民を殺した。犯人が見つかるまで、無関係の罪のない島民を無差別で襲った。そして報復は成功し、セイレーンは犯人を見つけて海底の檻に閉じ込めることに成功した。セイレーンにとってめでたしめでたしのハッピーエンドとなった。
しかし、自覚がないだけでセイレーンは加害者でもある。セイレーンに出される島の料理も島民たちがセイレーンを恐れて命乞いとして料理を振る舞っているだけに過ぎず(一方的な搾取関係)、人魚が殺されてしまったきっかけの事件もセイレーンが一葉と二葉の船を難破させたから引き起こされたものだった。そして犯人だけに報復すればいいのに、セイレーンは無関係の島民にも手を出してしまった。
私は、この事件の原因の一つは、セイレーンが自分が強い者であるという自覚がなかったことにあると考えた。
しかし自覚がないからといってちいかわ達のような自分より小さくて弱い存在に平等に接しているかというと決してそうではなく、ちいかわ達の抗議の言葉にも「エ〜?」と空返事をするだけで真剣に向き合うことはせず、島民やちいかわ達を簡単に襲うし食べることも平気でする。
これはちいかわ達を無自覚で下に見てるからこそできる行動である。セイレーンが他のでかつよ族のように悪意を持ってちいかわ族を傷つけていたらまだよかったが、セイレーンは悪意があったわけではなかった。しかしかといって大切にしているわけでなく、「蟻を可愛がることはできるけど、蟻を踏んづけたところで何も感じないし気づくことすらない」という無邪気な残酷さが、島民の怒りを買い、大事な人魚を失ってしまった原因だと考える。セイレーンは悪意のない悪である。
しかし、セイレーンはきっと一葉と二葉の船が自分のせいで難破したと気づけば助けただろう。なぜなら、セイレーンは島民と勘違いして襲ってしまったちいかわ達を甲斐甲斐しく介抱してさらに「襲っちゃって、ごめんね」と謝罪までした。しかし気づくことができなかった。セイレーンはそれをできなかったからこそ、大事な人魚を失ってしまったのだと私は考えた。
この『ちいかわ島編』を踏まえ私は、強い者(単純な力の差や立場、権威において)はもっと弱い者のことを思いやったり気を使う必要があるし、弱い者はただ強い者に服従するのではなく、自分の意思をしっかりと持つことが大切だと考えた。これは、今の現代社会でも同じことが言えると思う。たとえば、職場の上司や部活の先輩などそういった自分より立場が上の人間にただへりくだるのではなく、自分の考えを述べたり、新たに提案したり、それをすることが難しい状況もあるかもしれないが、そういったことをすれば環境はより良くなっていくと考えた。










