神田に勤めていた頃、会社の先輩と食べに行った「万惣（まんそう）」のホットケーキ。
思い出すのは、その味よりも、サンプルのように綺麗に焼けた姿です。
そんな万惣が、突然の閉店。
ものすごく有名なあのホットケーキも、もう食べられなくなるというじゃありませんか。
ならば、閉店前にもう一度！と思ったのが、閉店の3月24日の一週間ほど前。
…過去の経験からいうと、これは完全に出遅れました。
でも！覚悟の上で、3月21日に行ってきました！
入口から入りましてフルーツ売り場なんですが、あきらかに品薄。
棚がスカスカです。
きっと、最低限の物しか仕入れてないんでしょうね。
このあたりでは、これから起こる長く厳しい旅について、知る由もない私なのでした。（笑）
さて、万惣は果物の販売と、喫茶「万惣フルーツパーラー」を経営しています。
1846年に開業し、1905年（明治38年）に、日本で初めてマスクメロンを販売しました。
1910年には、果物店として初めての宮内庁御用達になりました。
今回の閉店については、下記の事を理由としています。
●本店ビルが面している「中央通り」と「靖国通り」が昨年秋に制定された条例により、災害時の緊急輸送道路になった。
●この指定道路に面した建物は、耐震化をしないといけない。
●本店ビルは旧耐震基準で建設されていて、耐震確認をしたところ、建物を壊して建て直すしかないと判断された。
●ビルをすぐに建て替えて経営する状況に無いので、閉店する。
直接の被害が少なかった東京で、こんなところに大震災の影響が出てしまったのですね。
創業１６０年を超える老舗が、こんなことになってしまうなんて…。
切ないです。
せめて、この味を心に刻みたいと思います。
さてそれでは、お話は万惣の一階に入ったところからまた始めます。
フルーツショップの奥にはエレベータがありますが、そこがすでに、長い旅への入り口になっていたのでした。
万惣は、2階がレストラン、中2階がパーラーになっています。
なので、行列を2階のレストランへ行く人と中2階のパーラーへ行く人に分けているんですね。
そして、その列をよけて、階段を上がっていきました。
最後尾はどこかしら？
そして、たどり着いたのがこちら。
はい、４階でございます。
ただ今の時刻11時７分。
さて、私は何時にホットケーキを食べられるのでしょうか。
携帯をいじる人、本を読む人、お友達と話す人、音楽を聴く人…。
たまーに、動くんですよね。列も。
そして、少しずつ降りてきて、3階に着いたのが…
ちょうど１時間後の、12時でした。ははは…。
ということは、中2階に着くのは、あと1時間半くらいあとかなー。ははは…（涙）
こちらは2階の軽食レストラン。
オムライスなどを召し上がるにはこちらです。
ホットケーキはこちらでもいただけるそうですよ。
それほど古い建物に見えませんが、良く見ると…
こりゃあ、やっぱり年代ものですね。
やったー！！やっと喫茶の前までやってきました。
長かったよぉ…。
ああ、あそこに見えるのは。
きっと、フルーツパフェですね。
いいなぁ。
早く食べたい！！
そしてそして、やっと席に案内されました。
これをレトロと言わず、なんという。
メニューはこちら。
本来なら、もっとたくさんのメニューがあったそうですが、今はこれだけに。
長く待ったので、がんばった自分にご褒美を！！
ミニ フルーツパフェ。
イチゴ、パパイヤ、グレープフルーツ、バナナ、キウイ、パイン、バニラアイス、オレンジシャーベットなどなど。
これが、さすがにおいしい！
生クリームとか、コーンフレークの入ったパフェとは別物です。
ほとんどがフルーツ。
これこそ、ホントのフルーツパフェという感じでした。
あちらの方は…どなた？
台座には、「Ｌｏｔ Ｔｏｒｅｌｌｉ」と書いてありました。
作家の方のお名前でしょうか…ちょっとこわい。
「７０年焼き続けた 名物ホットケーキ」という、色もさめてしまったポスター。
そしてそして、本命のホットケーキの登場です！！（ただいまの時刻、14時でございます）
じゃーーーーん！！
綺麗！！
いい香り！！
正しいお作法がわからないので、きれいにできなくてごめんなさい。
ああー、早く食べたい。
コーヒーと比べると、大きさがわかりやすいでしょうか。
そして、シロップを…
ばっしゃーーーーーん！
キラキラキラ…
もちろん、きっちりシロップは甘いですが、そこがいい。
外側はすこしサクッとしたホットケーキ。
昔は贅沢でとってもオシャレな食べ物だったんでしょうね。
もっとおいしいホットケーキはたくさんあるかもしれないけれど、老舗のこの味が好きな方もたくさんいたでしょうね。
普段から、もっと来ておけばよかったな。
そして、このレトロな雰囲気を味わっておけばよかったな。
無くなると聞いてから来ちゃってごめんなさい。
3時間待ちましたが、とってもおいしく頂きました。
このおいしさと思い出を心に刻みます。
ごちそうさまでした。
これだけ行列していても、パーラーの中は席もゆったりしてて、別世界です。
待ってる間は、もっとたくさんテーブルを置けばいいのに…と思いましたが。
並んでいる人も、「相席にすればいいのに」とか言っている人もいました。
でも、実際自分がお店に入ってみると、このゆったりした空間を最後に楽しめてよかったという感じになります。
とりあえず、ホットケーキだけ食べて帰る…というわけでなく、このお店の雰囲気も味のひとつですから。
せっかく入ったのに、お店の中がごちゃごちゃして、流れ作業で食べたらすぐに出ていく！というのではさみしいですもんね。
右奥の人たちは、入店を待つ行列。
後の方への気持ちとして、食べ終わって少し余韻を楽しんだら、早々に失礼したいですよね。
見ていると、比較的若い人の方が興味を持っているようでした。
ネットで調べてきたのか、「ここだここだ」と言いながら入っていく人も。
万惣 ⇒ http://www.manso-kanda.co.jp/
これから万惣へ行かれる方に気付いたことをまとめてみました。
● 開店1時間以上前から行列ができているそうです。
● 特に最終日は、限定数があったり、早めに閉店したりとけっこう厳しいみたいです。
● とにかく、できるだけ早めに行った方がよいです。
● ３時間くらい待つのはよくある事です。時間に余裕をもって行きましょう。
● ミニフルーツパフェおいしいです（笑）
お時間に余裕をもって、ぜひ訪ねてみて下さいね。
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