こんにちは。

きのこです。




滝行の話の続きです


前回はこちら




同姓同名がいるという驚きのあと、お寺で貸してくれる行着の説明があった。



女性は白い木綿の肌襦袢みたいなものと腰巻をするので、その下に透けても良いような水着などを着用。


男性は白褌(ふんどし)か、腰巻か、水着で。



この日、男性は小学生の長男、高校生の甥っ子の他に、高校生らしき男の子が二人いた。



長男は水着じゃないと嫌だといっていたので水着、甥っ子は



パンダ男なら一度は褌を締めたい



と言っていた。



お寺の奥様が褌の付け方をレクチャーしてくれたのだけど



ひらめき大丈夫?不安がある?



パンダ …  不安は … あります。



私も褌の付け方というのを初めて知ったのだが、トランクスやボクサーパンツで育った現代っ子にはたしかに心許ないシンプルさである。



もっと相撲取りのまわしのように


ぐるぐるぐるぐるぎゅっぎゅ


とするものかと思っていたが、


すっ きゅっ ハラっ


以上。

(世界一わかりづらい褌の付け方説明)



何というか、大事なところの守りが弱い印象である。本当にこれで守られるの?ポロリしちゃわない?という感じ。



滝行一つでも色々と初めて知ることが多い。




ひらめきじゃあ、腰巻にする?



パンダ…うーん… 


パンダいや!褌で!!



ちなみに、別グループの男子2名は腰巻チョイスだった。




その後、滝の打たれ方を教えてもらった。



✔︎頭のてっぺんで受けると脳震とうを起こす場合があるので後頭部〜首〜肩で受けること


✔︎和尚さんがもういいよ、と声をかけるからそしたら終了。和尚さんがその人の気が整ったと判断をして声をかけているので人によって時間にバラツキがある。我慢比べではない。



とのこと。




邪気だらけ邪念だらけでなかなか整わずずっと打たれることになったらどうしよう、とおそらくその場にいた人みんな思ったと思う。少なくとも私と姉は同じことを思った。



以上のチュートリアルを経て早速滝近くにある更衣室へ。


今回は参加者が多めらしく10人くらいで、女性は60代〜30代、男性は高校生と小学生、といった感じ。



着替えて外にでたら褌姿の和尚さんが塩と酒を撒いて準備をしていた。和尚さんの身体がツヤツヤである。そこに驚いた。



事前に持参して渡していた一人1kgの塩。それを土俵入りのごとく和尚さんが撒く。



塩を持ってきてください、と言われた時は体を清めるのに塩を擦り込むかかぶるのかと思っていたけど違った。自分の体を清めるのではなく、その場に撒いて結界を張っていたのだと思う。



そして、いざ滝行。



和尚さんから滝を浴びる手順を教わり、えいっと身体を滝の下に移動させる。








ドドドドぼぼぼぼぼぼ



和尚さんの念仏と水の音だけの世界に突入。




ケルヒャーで洗浄されている気分である。

されたことないけど






滝行で私は要らぬものを流し落としたかった。



それは物理的な汚れではなくもっと概念的なもので、一体それは何か、と聞かれたら、この40年間にこびりついた【何か】としか言いようがないのだけど、強いて言語化できる部分で言えば【プライド】かなあ、と考えていた。



プライドの全てが不必要というわけではなく、要らぬプライドだけを水圧で流し落としたい。



しかし滝に入って思った。




そんな繊細な作業は無理だなこの水圧




でも気持ちいい。


殴られるでもなく、叩かれるでもなく、感触的には大音量のスピーカーを触った時の低音の振動に質量がある感じ、それが不規則に絶え間なく肩にぶつかってくる。


痛くないパワータイプの肩叩き、と言った感じで万年肩凝りの私としては今まで受けたどのマッサージより心地よい、そんな気持ちでいた。



そして頭によぎるあの言葉



和尚さんが整ったと判断したら終了です



後から動画を見たら実際滝に打たれていたのは1分たらずの短い時間だったが、最中



…私長くない…?



という気持ちに段々なってくる。



そしてちょうど不安な気持ちになってきたところで和尚ストップが入った。



今思うと、不安になる=満たされた(整った) ということだったのかもしれない。



陰陽のどちらかが極まって転ずるタイミングというか、そんな感じ。



その日は酷暑日で晴天。



滝から上がったらとにかく清々しい。



1分足らずの間水圧を受けた肩はかかってた負荷がなくなった分異様に軽く感じるし、濡れた木綿の行着が体に貼り付いているのがいい感じに全身冷感湿布のようになり日差しが強くても暑さを感じない。



皆の滝行が済んだ後に姪っ子が撮ってくれた写真を見せてもらったら、私も姉も子どもらも白装束、白褌上半身裸でいい笑顔をし過ぎていて新興宗教の宣材に使えそうな雰囲気の仕上がりだったので姉と爆笑した。



線香の煙に太陽の光が乱反射したもやっぽい光とも相まって爽やかすぎる笑顔が爽やかさを通り越して胡散臭く見えるくらいみないい笑顔をしていた。



でもそれくらい、顔から邪気というのか、脂っぽさというのか、そういうのがなくなった感じで、植物油脂を使わず良質なバターだけで作られた焼き菓子のようなさっくり感のある笑顔に皆なっていた。



滝行の前、お寺の奥様がうちの長男に、



僕くらいの小学生もよく滝行に来るんだけど、みんないい顔になって帰っていくんよ



とお話してくれたが、大人ももれなく【いいお顔】になれる。








そんな滝行体験ができるのはこちらのお寺





偶然揃った必然メンバー

同姓同名

褌の付け方

ケルヒャー

いいお顔



色々な経験が ギュッ と凝縮された滝行体験でした。



異世界への扉は現れず、良くも悪くも現世界にとどまれたのでこれを書くことができました。





以上、一夏の滝行体験。


最後までお読みいただきありがとうございますにっこり





(たまたま壬申月に滝行っていうのも月干支の雰囲気に合ってて良かったなって思う!!)







なんで滝なんか浴びるの?

とでも言いたげなお寺にいたネコさま