美味しくて有名なカレー屋さんがあるらしい。


人気のお店でランチタイムは行列になるらしいけど平日ならそこまで混まないらしい。


夫からの情報はいつも、らしい、らしい、という不確実なものである。


行ったこともないのに、食べたこともないのに、美味しいよ、と言い切ることもある。


そんな自他共に認める天然の知ったかぶり夫に教えてもらったカレー屋さんへ、空いてるらしい平日の昼に先日一人で行ってきた。


お天気が良かったので自転車で行くことにした。


自転車に乗るのも平日の昼間に一人で出かけるのもすごく久しぶりである。



Googleマップで調べた道を行く。




え?




と、思うような登り坂を登ったところにそのお店はあり、カレー屋さん以外にも古道具屋さんや古着屋やさんがポツポツと並んでいた。



自転車を押しながら急な坂道を登った甲斐があった。


ロケーションが素晴らしく、近所にこんなに景色の良い場所があったのか、とびっくりした。



カレーもとてもおいしかった。



夫の、らしい、は嘘ではなかった。



洒落たインテリアのお店は空いていて、ご主人にカレー仲間の話を聞かせてもらったりして美味しいだけでなく楽しいランチタイムになった。


美味しいカレーを堪能した帰り、
お店の入り口に、


【向かいの古着屋の1000円引き券
※2000円以上のアイテム】


が置いてあることに気付いた。



1000円引きとは太っ腹である。
イオンのくじで泣く泣く諦めた1000円をここで取り返すことができるかもしれない。(執着)




予定してなかったがせっかくなので古着屋さんに寄ってみた。


この夏ご機嫌に過ごせるバカバカしいTシャツでもあれば買って帰ろう。



その古着屋さんはまあいわゆる古着屋で、


ラルフローレンのシャツ、バンドT、ミリタリーウエア、サッカーユニフォーム、ヴィンテージデニム、ワークウエア、などが置かれたいわゆる古着屋だった(2回目)


その一角に、見覚えのある服が並んでいた。


アパレルパタンナーとして勤めていた時に作った服達だった。




古着屋のご主人曰く

そのブランド、海外のラッパーが着たとかで結構今若い子に人気なんですよ、

とのこと。




懐かしい。
加工されたのか、経年でこうなったのか、どれも生地の育ち方が良い感じである。


服を作る人になりたいな、と10代の頃から夢みて専門学校に進学し就職した。できれば古着屋さんに並ぶような価値のあるタフな服を作りたい、と思っていた。



セカンドストリートみたいなお店ではなく、【いわゆる古着屋】に、自分が作った服が並ぶ日がくるといいな、と思っていた。
いつのどこのブランドか知らんけど可愛いから買い付けよう、みたいな感じで時代を経ても選ばれて欲しい。



作り手だった当時は当たり前だが新品の服を企画し作って売っていたので自分達の作る服が時を経て古着屋さんに並ぶ価値があるものかどうかは分からなかった。



特に生地作りにはこだわっていた企画部だった。
(パターンもこだわってましたよもちろん)



それらと今、こんなタイミングで古着屋で再会することになるとは。
こだわっていた生地が良い顔になっている。


(こだわりがありすぎてパタンナーは縮率に泣かされてたが古着になれば検寸も過去の話である)





あ、夢が叶った。と、思った。





アパレルから縁遠くなってしまってそんな夢を抱いていたこともすっかり忘れてた時に図らずも叶った(てた)ことを知った。



いつ、どんな形で夢って叶うかわからない。



小学生の時に友達のうちで食べたビワが美味しすぎてもっと食べたいと思い庭にその種を埋めたまま忘れてたのが気付かぬうちに芽を出し育ち実をつけ飽きるほど食べることができたみたいな夢の叶い方っていうのがある。と、40歳で知った。



いつ叶うかはわからないけど、夢の種は蒔ける時に蒔いておくと未来の自分が楽しい。



ちなみに


その古着屋さんで真っ赤なエルモのご機嫌なTシャツを見つけていいなと思い値札を見たら1900円だったので購入を見送った※1000円引きの条件は2000円以上のアイテム購入


しかも


家に帰って1000円引き券を見たら有効期限がとっくに切れていた。店先に置いておくなよ


つくづく1000円のお得に縁がない。


でも今思えばイオンの抽選で1000円もらいそびれた時からこの古着屋にたどり着く流れが始まっていたのかもしれない。


何かのご縁を感じるのでやっぱりTシャツを買いに行こうかとこれを書きながら思っている。





時々、こういうちょっと不思議な、日常の中に非日常がある。





この日も不思議な日だった