女ですもの | アメリカでしのぐウエイトレスのブログ

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バカヤロー!って叫びたいときだってあるんです…。

忙しいときの、アメリカのスシレストランは、まるでのり巻き工場のよう。


ふだん、おしゃべりが大好きなスシマンたちも、ただ黙々とへなちょこロールを巻き続けるのり巻きロボットとなる。



これ、見たことがない人には伝わりにくいが、日本のすし屋から想像すると、かなり異様な光景だと思う。

その異様な光景のカウンター越しに、さらに異様な風景を作り出すカップル客。



スシバーの片隅で、なぜかさめざめと泣くおばちゃん客。そして、その隣には、ただ黙って彼女の背中をさすり続ける、おじちゃん客。たぶん夫婦なんだろう。



ケンカでもしたのか、とも思ったが、どうもそんな感じではない。2人の世界に浸りきっているし。



どうしましたか? 極悪非道のスシマンがあなたに何かしましたか?

(;^_^A


とでも、尋ねようと思ったが、というか、尋ねるべきなのだろうが、注文をとって、出来上がったものを運んで、お会計を出すだけで精一杯の忙しさ。それだけでも、せっかちな客は、テーブルを人差し指でトントンたたいて待っている。


余計なことなんて、してるヒマない。二人だけの世界に入り込んでるのなら、ずっとそうしててもらいたい。


ま、気にならないこともないが。だって、ガツガツスシ食ってる客のそばで、泣いてるおばはんがいるんだから。(-"-;A


彼らのすぐ後ろのテーブルに、オーダーを取りにいったとき、聞くともなしに、彼等夫婦の会話が耳に入ってきた。



うんうん、そうだね。かわいそうなことをしたね。(^_^;)



泣くおばちゃん客をなだめるおじさん客の声だ。



でも、彼等も忙しそうだし、仕方ないよ。


テーブル客のオーダーを取りながら、チラと後ろを振り返って見てみた。


おじさん客の肩に顔をうずめるおばちゃん。その背中をやさしくさすりつづけるおじさん。



で、彼等って? もしかして、うちらのこと?ワレワレが何か??

私もスシマンも忙しすぎて、アンタを泣かすヒマはなかったと思うが???



テーブル客の相手をしながらも、彼等の会話に聞き耳を立てる。



分かった。おばちゃんがなぜ泣いているのか。


おばちゃんは、



さみしくて、泣いていた。orz


せっかく、スシバーの、スシマンに近いところに陣取ったのに、話し相手になってくれない。

スシマンと楽しくお話ししながら、スシを食べようと思って、はりきってやってきたのに、店の誰も彼もが、バタバタと忙しそうで、かまってくれない。


それで、おばちゃんは、さみしかった。( ̄ー ̄;



はあ、そうですか。



アメリカ人の、特に、古きよき時代にお生まれになった、白人女性には、ときどきこんなのがいる。



女は男に頼るもの。女は男に甘えるもの。


というか、甘えるべき、と言った方がよいか。



多分だが、スシマンがかまってくれない、というのは、おばちゃんにとって、それほど大問題ではない。


さみしい、と言って、泣いて甘えることが彼女にとって、大事な仕事なんだ。




つきあってらんねえ。(-"-;A



しばらくして、私は、泣くおばちゃんに声をかけられた。


おばちゃんは、上目使いで、目をしばたかせながら、



お、お勘定をお願いするわ…。(ノ_-。)


と、言いながら、また感極まったのか、ハンカチで目頭を押さえた。



泣き虫で甘えん坊でも、財布の紐は握っているらしく、震える手で、それはもういっしょうけんめいに、財布からクレジットカードを出そうとしている。


それを、かいがいしく手伝うおじさん。もちろん、その間も、おばちゃんの背中をさするのを忘れない。



仕方ないので、おばちゃんが泣いていたのには気づかないフリをしたまま、最後に一声かけてみた。



なんだか忙しくて、申し訳ありませんでした。(;^_^A



おばちゃんは、水分を多量に含んだまつ毛をバサバサさせながら、うなずいた。



いいのよ。どうもありがとう、また来るわ。今度来るときは私、あなたたちにクッキーを焼いてくるわね。(゚ーÅ)


おじさんも、


妻の焼いたクッキーはとてもおいしんだ。楽しみにしてるといいよ。

(o^-')b


と、おばちゃんを応援した。



はあ、どうも。

クッキー楽しみに待ってるよ。


でも、


今度はぜひ、ヒマな日に来てもらいたい。また、泣かれても困る。

はりきってクッキー焼いてきたのに、相手をしてもらえなかったら、号泣するかもしれない。