さて、今回は次回に書く記事をより深く理解しやすくするため、また知っておくとこの先プチ知識として使えるかもしれない心理学をご紹介しておこうと思います。

 

$ 勿体ないの基礎知識 $

 

心理現象の一つにコンコルド効果というものがあります。

 

これは2003年まで営業飛行していた超音速飛行機コンコルドにちなんでつけられたものです。

 

コンコルドは翼と胴体が一体化していてそれはそれは優美な飛行機で、そしてどの旅客機よりも高く、速く飛ぶことが出来ました。

 

現在でも飛んでいるボーイング747型機がジェット気流に乗ってニューヨークからロンドン間を約5時間かかるのに対しコンコルドはボーイング機などが飛ぶ10000万メートルの倍の高さの20000メートルという成層圏をマッハ2.2で飛行し約3時間で飛べたのです。

 

2時間も節約出来るわけですからビジネスマンや富裕層には人気があったのですが、いかんせんこの飛行機・・・金食い虫ならぬ金食い機だったのです。

 

それは既に開発中から「もう既に金がかかり過ぎているあせる飛ばしても回収するどころか飛ばせば飛ばすだけ赤字になるあせる」と会計方から何度も言われていたのですが、経営側はのらりくらり開発を進め途中から「ここまで来たんだし・・・時間もお金もつぎ込んでるし・・・勿体ないじゃんビックリマーク」と撤退しなかったのです汗

 

元々収益が見込めないところに、2000年7月25日の墜落事故や2001年9月11日のアメリカ同時多発テロなどの影響で2003年に撤退。

それでも28年ほどは赤字まみれになりながら飛んでいたわけです汗

こんな背景から「このまま続けても損をするとわかっていながら、それまでにかけた手間暇やお金を惜しんで諦められず続けてしまう事をコンコルド効果と名が付けられたわけです。

 

ちなみに、このコンコルド効果をビジネス用語では「サンクコストバイアス」といい、コンコルド効果も含め別名「勿体ない心理」とも言われます。

 

もう一つちなみに、「勿体ない」は日本語ですが世界共通語です。

2004年にノーベル平和賞を受賞したケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイさんが来日した際に日本人の自然や物に対する敬意や姿勢に感銘を受けて世界に広めた言葉です。

 

「サンクコストバイアス」や「コンコルド効果」はいいのですが「勿体ない心理」と言われるとちょっともやもやしますね。

 

さて、次の(↓)お話は日本がそのネーミングにガッツリ関わることになった話しです。

 

 

りんご 朱に交われば赤くなる心理のお話し りんご

 

皆さんは「ストックホルム症候群」という言葉をご存じでしょうかはてなマーク

 

これは精神医学用語の一つで、被害者が誘拐や監禁、拘束など自由に発言や行動が出来ない状態で犯人と長時間一緒にいる事で犯人に対して同調、共感し中には恋愛感情を持つ事さえある心理状態のネーミング。

 

1973年、ストックホルムの銀行で2人組の強盗が4人の人質をとって立てこもる事件が発生し被害者たちは命の危機と長時間の緊張、拘束の中、食事やトイレなど犯人側へ許可をとらねばならず許可される事で被害者たちは犯人に感謝の念を抱くようになり同調、共感していった結果、拘束中にもかかわらず犯人の代わりに警察へ銃を向けたり、保護された後も犯人を擁護し警察の取り調べにも非協力的だったそうです。

 

被害者が加害者に対して感情移入し、親に抱くような愛情や尊敬や敬意を持ってしまい、その関係を引き離そうと(この場合は警察の事)する人物や団体に対して敵意を見せるストックホルム症候群に対して「リマ症候群」というものがあります。

 

これはストックホルム症候群とは真逆のもので、このネーミングには日本人が大きく関わっています。

 

1996年、今から26年ほど前にペルーのリマで「日本大使公邸占拠事件」というテロリストによる占拠事件が起きました。

現在40歳以上の方は覚えている方は多いのではないでしょうかはてなマーク

 

解決まで127日という長期間を要し連日各局は番組枠はあるものの殆ど長時間特番のように放送し、それは日本だけでなく現地ペルーでもセンセーショナルに報道された事件でした。

 

結果、事件自体はペルーの特殊部隊が突入しテロリストは全員殲滅、人質は全員解放となったのですが、この時、作戦を指揮した当時のフジモリ大統領は後にあまりにも人質に配慮しない強引な作戦と一度は逮捕したテロリストを公邸内で斬殺した事で裁判にかけられました。

 

大変残酷で残念な終わり方だったのですが、結果的にこの127日という長期間の拘束が人質の命を救う事に繋がりました。

 

はじめは緊張し敵対心剥き出しだったテロリストたちでしたが、事件が長期化の様子を見せ始めても、なるべく日頃と変わらないルーティーンをする日本人に興味をしまし始めたそうです。

 

朝起きて、掃除や体操を終わらせると、本を読んだり、ピアノを弾いたりとする姿にテロリストたちは心を許し始め次第に交流しはじめます。

 

テロリストたちは若者が多く、日本人を主に監視していたのは子供や女性のテロリストだったようで貧しい家庭からテロリストに売られた子供たちだったようです。

 

銃の扱い以外学ぶという事をしたことが無い彼らは人質と交流するうちに世の中には自分たちのまだ知らない世界があり学ぶという事がいかに大切で、きちんと教育を受ければ自分達も未来を選ぶことが出来るという事を知るようになります。

 

こういう経緯があり特殊部隊が突入した時にテロリストたちは人質を撃つ事が出来ず殲滅したという何とも後味の悪い事件だったのです汗

 

この犯人側が人質へ感情移入していったのには幾つかの条件があるとされます。

 

人質には商社の現地法人の社長や外交官などのエリート達がおり人数もテロリストよりも多く自分たちの知らない知識が豊富で色々な話を聞かせてくれる事、また自分たちが人間らしく扱われた事などから「自分たちもこの人たちのようになりたい」という子供ながらの憧れのような感情をもったので日本人を処刑できなかったと分析されました。

 

この事件をきっかけに犯人が人質を考慮し歩み寄る状態を「リマ症候群」と名づけられ「ストックホルム症候群」と対比するものとして使われるようになりました。

 

ストックホルム症候群のように恐怖と緊張感で従わなければ生き残れないかもしれないという究極の状態に置かれたため犯人の方へ感情を持って行き共感し行動してしまうものもあれば、リマ症候群のように知識も経験も豊富で自分たちの知らない世界の事、学ぶ意欲に繋がる話が出来る人が近くにいると例えテロリストでも影響を受け変わろうとする事がこの二つの事件で分かります。

 

「朱に交われば赤くなる」とはよく言ったものです。

 

どんな環境に身を置き、どんな人と交流を持つかで未来は変わります。

 

自分の周りを見渡して、惰性やノリで付き合っていて心が疲れるような人がいたら人間関係を見直しましょう。

 

お付き合いするなら心に栄養をくれる人の方がいいでしょうはてなマーク

 

 

 

このお話が誰かの心のヒントになれば幸いですラブラブ

 

 

 

 

下矢印 今回のおすすめ記事はこちら 下矢印