誰にも名前を呼ばれずに

通りすぎていったものたちがいます。


見向きもされなかった優しさ。

気づかれなかった悲しみ。

言葉にならなかった願い。


なかったことのように扱われ、

やがて自分でも、なかったことにした。


けれど、それらがなかったわけではなく、

ずっとそこに、そっと息をしていたのだと思います。


誰かにわかってもらわなくてもいい。

誰の記憶にも残っていなくてもかまわない。


ただ、今日はふと、

その存在に触れたくなりました。


名前を呼ばれなかったものたちへ。

ここに、確かに在ったと、

そっと手を添えておきます。