コンクールの季節になると、太田恵美子先生の美術室に通っていたことを思い出します。

全国の絵画コンクールで、凄まじい成果を上げていた太田先生なのですが、その指導の秘密を探るために取材に通ってみると、賞をとりたい、と言う次元の考えではとても到達できないような深さで生徒たちを導いていらっしゃいました。

何かに没頭して納得いくまで仕上げる。

それに尽きるんですよね。

通知表の数字は気になるけど、でもそんなものより
もっともっと大事なものがあるよと言いながら作品を仕上げていた、普通の中学生たち。

美術部とかでもなく、ただの授業で描いてる子たちですよ。普通の公立中学です。セレブエリアではありません。

当時インタビューの仕事を始めていた私は、アーティストの方々と話すようになって、やはりみなさん目先の事ではなく、自分の世界観を構築することに専念されている様子を目の当たりにしました。

20代の若い頃にこうした素晴らしい方々との出会いがあった私は幸運だったと改めて思っています。でも今たくさんのピアノの先生方とお話しするとそんな出会いに恵まれた方ばかりでもない。大切なことを伝えていかなければと思います。特にコンクールの季節には。

太田先生の話を本にまとめた「りんごは赤じゃない
は、桐朋中の入試問題に使っていただいたことがあり、以後、毎年、中学受験の塾から問題文許諾のお願いという連絡をいただきます。つい先日もいただきました。

中学受験のために、目先の数字でなく自分の知りたい学びを深めていく話を選ぶとは、、、名門校の見識に驚きました。

評価は気になります。

でもまぁそれより自分が「これでどうよ。これよくない? いいのできた」と全力を出し切ることの方が全然楽しいですね。執筆、ピアノの演奏、全部それです。
アマゾンで自分の本の順位がいつもついてますけど、そうですか、お世話様です!!ぐらいの感じです。

















大自然を観察することで感性を磨く方法も大田先生に教わりました。

散歩しながら季節の移ろい、いつも感じたり、お花を飾りながらお花の色や質感を見ていたり

そして感性を磨くことが、没頭する力、理想を描く力、仕上げる力を育てていきます。

指導者向けにライティングとピアノの個人レッスンを行っております。