結婚していたけれど、パートナーのモラルハラスメントで、ひとりで生きる選択をされたピアノの先生から手記をいただきましたのでご紹介します。


パートナーとうまくいかないけれど、自宅開業していると離婚で教室も失うことになるため、行動できないという声は常にあります。

気が合わないぐらいならまだしも、暴力などがある場合は、音楽よりピアノより命と安全のために、決断しなければならないこともあります。

以下、お便り

美芽先生、いつも気にかけて下さって本当にありがとうございます。いつも温かく見守って下さってとても有り難く心強かったです。(以下中略)

少しでも給料が良い仕事をと思ってパソコンも好きなので、今の仕事を選びました。ピアノは環境的に置けないので、出張レッスンで数名レッスンを続けてます。

仕事と家事しながらなかなか練習が出来ないですが、細く長く演奏は続けていきたいと思ってます。

山本より

夫から逃げるために家を出て、なんとか離婚それから自活、場合によっては良いパートナーに巡り会う、または教室再開している先生が何人もいます。

参考までに教えていただければと思うのですが、
就職のタイミングが難しいと思うのですけれど、離婚の前か、後だったか教えていただけますか。

読者から

離婚を急いだのは生活費を入れてもらえなくなってきてたので、上の子が高校生になった時の授業料免除を受けるためです。


離婚する3年前は何の準備もなく役所に行って助けを求めました。離婚が成立してもない状態だと助ける事も出来ないと門前払いだったので、3年かけて徐々に準備していきました。

安全に離婚するには、時間が許されるのならしっかりと準備が整ってからが良いと思います。


子供の環境を極力変えたくなかったので、同じ学区での移動にしました。また夫のつきまといの可能性も考えて、予め警察と児相に長男に対する虐待の相談と調書を残して、何かあった時に保護してもらえるように、準備しておきました。

私は離婚の意思が固まってから、少しでも就職に役立つよう就職活動を始める前に2ヶ月間勉強をして音楽に関係ない資格をとりました。

同じく下準備として、引っ越してから、敷金礼金などの支払いも必要になってくるので、100万近くの貯金があれば安心だと思います。

あと、離婚してから公的な補助がどれくらい受けれるのか、どれくらいの期間から開始されるのかを、役所に行って何度か相談もしておきました。

就職ですが決まらないと部屋も借りられないので、まずは離婚前に仕事を探しました。就職する前に予めどの辺りにどんな物件があるかも探しておきました。

離婚してから安全に再出発出来るよう、離婚前に仕事も住居も見つけておくのが良いかと思います。


引っ越しは、終始旦那にバレないようにが鉄則でした。普通の話し合いが通じる相手ではなかったし(モラハラでした)、家を出るまでの2年半以上家庭内別居で口を聞く事もなかったので。

まず家を出る前に引っ越し先の鍵をもらい、夜になったら少しずつ荷物を車で運んでいきました。そして大きな家具は、ばれずに運べるものだけ分解しておき、旦那が日中仕事行ってる間に、友人が借りてくれた大きな車で一気に運び出しました。

離婚届は捺印もしてサインをするだけの状態にして、返信用の封筒も用意してあげました。新しい住所は知られたくないので、結婚当時の住所を記入して、転送手続きで引っ越し先に届くようにしておきました。引っ越す前に郵便局に早めに転送手続きをとっておくと良いと思います。

離婚届と一緒に手紙を書いておきました。生活費を入れてくれない事、子供に対する虐待(警察、児相に相談済みで虐待と認定されている事)が理由で離婚に踏み切ったこと。
離婚届は一週間以内に、返送すること。もし離婚に応じない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てるつもりでいること。
養育費を毎月口座にいくら振り込むこと、など書きました。


またもし応じなかった場合のために、離婚調停をするための準備もしておきました。家裁に足を運んで、調停に必要な書類や、方法、手数料、かかりそうな期間、相手に不利になるような証拠(虐待、生活費を入れない、飲酒運転など)も揃えておきました。

離婚届が返送されたら出来るだけ早く役所に提出しました。
提出しても実際に母子手当が支給されるようになるまで、長いと2、3ヶ月はかかります。ですので、それまでの間に生活出来るだけの収入、もしくは生活保護の申請などが必要だと思います。

離婚前にレッスンの生徒は10人以上いましたが、離婚する旨と、引越し先では電子ピアノでのレッスンになる事を伝えたら、3人退会する事になりました。

引っ越してからからのレッスンは、仕事から帰宅して平日は19:00から一人ずつ入れてあとは土日に入れてましたが、徐々に退会していきました。今では電子ピアノでも良いと言ってくれている生徒に出張で教えてます。電子ピアノの場合テクニックを指導するには限度がある事を理解してもらい、そのかわりコードや理論、リズムなどの指導に力を入れてます。

生活についてですが、2ヶ月に一回児童扶養手当が103000円、市から一人親手当が2ヶ月に一回18000円支給されています。給料は手取りで17万あります。もし離婚した時に収入が少なすぎて生活出来ないとなると、生活保護を勧められました。母子家庭だと受給されやすそうな印象を受けました。子供の年齢、数、扶養者の収入で、最低限の生活を保障してくれます。

持ち家は、夫が留守の時に不動産数社にきてもらい、売却した場合いくらお金が入ってくるかも試算してもらい、養育費や慰謝料などを取る際の参考にしました。あと給与明細をもらってなかったので、籍があるうちに旦那の納税証明を取って収入を把握しました。

私の経験が、誰かのお役に立てると嬉しいです。ありがとうございます。


お便り以上


裁判や引越し、離婚の手続きなど、乗り越える壁はたくさんあり、私にはとてもサポートできません。行政や専門家のサポートを受けて欲しいです。

ただ、このような事例も、決して珍しいものではなく、ときにはあること、知っておきたいと思います。

結婚して自宅でピアノ教室開業、そこからこのような場合もありえるのです。

この先生は、いまは家に電子ピアノでアップライトは置けていないそうですが、音楽に関係ないお勤めをしながら週末に演奏する穏やかな日々を過ごしていらっしゃいます。

生きていくためには、音楽やピアノを捨てなければならないことも、あるのです。

生きていれば、また音楽は、いつか、何かの形でできます。