少年野球の母当番をしていたときに

雨に濡れた緑色のグラウンドを見ながら、ふと



文章を書き続けて、ここにいまいるんだ、と気が付いたことがあります。


 

子どものころから本を読んでお手紙を書くのが

大好きで

音楽とか好きな漫画やアニメについて語るのが大好きでした。

中学生、高校生のころは、手紙魔でした。

ちょっと書き始めると、すぐに便箋10枚ぐらい書いてしまう。

そんなすさまじいボリュームのお手紙をもらっても

嫌がらずお手紙交換してくれるマメな友達がいたんです。

高校時代はそんな友達と一緒に同人誌をつくってコミケで売ったりも

しました。絵が描けないので文章担当。

 

大学に入ってからはほとんど文章らしい文章は書かずに

ピアノの勉強やサークル活動に没頭していました。

サークルの先輩だった夫とは大学1年のときに会ったのですが、

スクェアのカセットテープを夫が貸してくれて、

それを返す時に

私がカセットテープに手紙を「こんな音楽聴いたことなかった!ありがとう」と書いて入れて、

それがきっかけで、現在に至ります。

早いもので30年近い時間が流れました。

 

ライターになろうと思ったのは、大学院を出てすぐに先生をしながら

パソコン通信のニフティサーブをはじめて、

スクェアファンの集う場所を

見つけ、毎日、スクェアへの思いを書き綴っておりました。

「きゃーーーーーーー!!!素敵!!!!!!」みたいな

なんのブレーキもないハイテンションな文体で投稿しまくり。笑

それをみなさんとても面白がってくださって。汗

私の文章のファンみたいなことを言って下さる方も出てきて。汗

 

このあたりから気が付くんです。

 

「書く」ことに対しては、ものすごく反応があるなって。

 

修士論文は書いたし、

「教育音楽」って雑誌から原稿を2回ぐらい「先生」として頼まれたし

お手紙はいくらでもスラスラ書けた。

 

でも、それでプロとしてやっていける、依頼がずっと来る

保証なんてどこにもなかったのに、

学校をやめてライターになるって思ってしまった。

公務員だったのに。笑 もったいない。

 

そのかわりに

憧れのミュージシャンに会ってお話しができる

音楽ライターという夢のような仕事が、ほんとうに日常になりました。

書き続けていたらそういうお仕事をもらえるようになった。

メジャー出版社さまから単著もいくつも出させてもらった。

セミナーで全国の楽器店さまから呼んでいただけるようになった。

全国に読者がいる。

いまでも時々信じられない、と思います。

 













そんな夢のような非日常が入り込んでいる

仕事だけれど

早起きしてお弁当つくって家事子育てやりながら、

日常ももちろんあって。

 

夢のような仕事を持ってきてくれたのは、私が書いた文章。

家族ができたきっかけは、私が書いた手紙。

 

毎日、多くの人が「ありがとうございます」「よろしくお願いします」

「お世話になります」みたいな文章を、気持ちをこめる暇もなく

ラインのスタンプみたいに書いているに違いなくて、

 

それは別に悪いことじゃないけれど、

 

文章で本当に気持ちは伝わるということを、どれだけの人が経験しているのかなと思います。

 

うまいとかへたじゃない。

 

本当に思ったことを言葉にして書いてみると、伝わることもある。

それって言葉がどうこうじゃなくて、思いなんです。

 

本を出すようになって一番驚いたのは、

私が思わず泣きながら書いていた箇所を読んで、泣けたっていってきた

読者の方がたくさんいたこと。

そんなことはバレたくないからクールに淡々と描いたつもりだったけれど

やっぱりわかるんだなって。

 

インタビューで、自分がずっと悩んでいたことへの答えを

アーティストがぽろっと言ってくれて、

それを原稿に書いているときも、涙が止まらなくて、

でもそれを気づかれるのも嫌だから、さらっと書いているけれど

読んだ人がその部分にきちんと反応してくれることもある。

 

そういう気持ちのやりとりがあるときの文章が何かカッコいい

きどったすごい文章であったりとか、あまりしないんです。

淡々と普通に書いています。

でも伝わる。

文章って、言葉だけど、

それは、思いを映し出したものだから、

言葉であって、言葉じゃない。

 

もちろんどこかから言葉を借りてきてコピーペーストして文章をつくることはできる。

 

だけどたぶん、それで、気持ちのやりとりは、起こらない。

 

どうしてなのかわからないけど。

 

なんだかカッコいい文章だけど、それで?だから?

みたいな文章は、気持ちや考えを映していない。

 

難しい言葉でなくていい。

長くなくていい。

長すぎはよくないぐらい。みんな読むの嫌になっちゃうから。

 

自分の本当に思っていることを、自分の言葉で書いてみると

思っている以上に伝わります。

 

文章は、文章であるというより、

頭の中身であり、思っていること、と認識するぐらいでちょうといいかもしれません。

 

私は、若干の文章を書く力を神様にもらったから、プロのはじっこにいますけれど

べつにプロじゃなくたって、文章で思いを伝えることは、不可能じゃないと思います。


文章には、思いを伝える力があるから。


思いが伝わると、何かが変わることもある。


夢が実現することもあるかもしれない。

 

 自分の言葉で気持ちを書く。それが書くということです。