ソフィーという小さな女の子とお母さんが台所でお茶の時間にしようとしていたら、いきなりベルが鳴って、ドアを開けたら、なぜかとら。
しかも、ドアより背が高いくらいのこんなに巨大なとら。
「僕とてもお腹が空いているんです。お茶の時間にご一緒させていただけませんか?」
こんなふうにトラに言われたら、
あなたなら、どう答えますか?
主人公のおかあさんは、なんと
「もちろん いいですよ。どうぞ おはいりなさい」と、
招き入れるんです。
用意していたサンドイッチ全部ひと口で飲み込んでしまった後もまだお腹が減っていたようなのでパンを差し出したり、飲みものはいかがとお茶を勧めたり、
突然の招かざる客にもかかわらず2人は丁寧にもてなします。
とらは テーブルの上の食べ物飲み物だけでなく、作りかけの夕ご飯も、戸棚の中のつつみ、缶詰、冷蔵庫の中、全部食べ飲みつくし、
しまいに水道の水まですべて飲みつくすのです。
(それでも、こんな絵!
なんか とらのしっぽを可愛かわいいしてる感じで、怒ったりショックを受けている様子は、全然感じられないですよね…)
そしてとらは、「僕はそろそろおいとまします」と、帰っていきました と。
あまりにも 悲惨な状況だと思いませんか?
お母さんはいいました「どうしましょう 虎が全部食べてしまってお父さんの夕ご飯がなくなってしまったわ」
そしてソフィーもお風呂に入れないことに気づきました。虎が水を全部飲んでしまったからです。と。
ちょうどそこにお父さんが帰ってきて、
「お父さんにまかせなさい、良い考えがあるよ」と。
そして3人はレストランに出かけソーセージとフライドポテトにアイスクリームつきの食事で幸せなひとときを過ごしました。
次の朝お母さんとソフィーは食料品の買い出しに出かけます。
そしてタイガーフードのとても大きな缶詰も買います。 虎がいつまたお茶の時間に来てもいいようにです。けれど虎はあれから1度も現れませんでした。
というお話
昔読んだときには、かわいい絵の絵本だな。
ツッコミどころ満載の絵本、
荒唐無稽のストーリーだけど、あのレストランの食事のシーンが素敵でなんかほのぼのするな…
くらいにしか思わなかったのですが、
病気になって、50余年生きてきて、
様々なことを学んだあと、振り返ってみると、
この絵本には私が学んで子供たちに伝えたいと思うこと、全部詰まってるんじゃないかなと思うんです。
この本の作者 ジュディス・カーは、ナチスの迫害をのがれ、スイス、フランスに移住したのち、1936年渡英されたそうです。
彼女は、ナチスの迫害という
耐え難い苦難、許しがたい理不尽に遭遇したからこそ、このようなすばらしい絵本を書くことができたんじゃないかなと思います。
そんな時に徒らに
自分を責めたり周りやその出来事を責めたり、
不運を嘆き悲しむのではなく、
淡々と接して、
そんな中で自分にできること、
自分を幸せにできることを見つけて、
そしてまたそういうことが起こった場合に備えて対処すればいいんだよ。 と。
そんな逆境とうまく付き合う人生の奥義が詰まっているような気がします。
これからの世の中変化が激しい世の中になると思います。
子どもたちには、
*いろいろなことが起こってもめげずにしなやかに立ち直れる力
*どんな境遇でも幸せになる力
*災い転じて福にする力
を身に付けてほしいなと、思っています。
招かざる不運がやってきても、
悲嘆にくれることなく、
その中で自分ができる楽しいこと幸せなことを
見つけていってほしいな、
そして、その逆境の中から何かを学び、
強く優しくなっていってくれたらいいのになと
思っています。
今いろいろと辛い思いをされている方も
どうか災い転じて福となりますように…。💕