いちにぃさんしぃ ゴーロクしちはちっ
にぃさんにぃさん イィにぃさん
いちにぃさんしー イィにぃさん
カコもゲンザイ ミライもボンきゅうっ
にぃさんいよいよ キュウっとイキましょ
イキましょかいな にぃさんキュウうっ
人形は思った
「いつも姿が違うなぁ、なんか」
と。
そう、鏡で自分の姿を見る度に、時には古びた人形に見え、また時には新鮮な人形に見えるのであった。
そこで、人形は思った
「これは、なんか仕掛けられているに違いない」
と。
そこで、人形は考えた
「この仕掛けを見破るのは、どうすればいいのか?」
と。
そこで、人形は閃いた。それは
「歌おう」
と。
そうなると、人形にとっては人間にランクを下げる必要があった。しかし、それは人形にとっては大変なリスクを伴うことであった。
そもそも、人形には音によるコミュニケーションの代わりに、テレパシー直感力が与えられていた。しかし、人間にランクを下げるとなると、そのテレパシー直感力が大幅に減少してしまうのであった。
そして、人間になったはいいが歌うのを忘れてしまうと、自らのクオリティーを下げて劣化させていくこという危険性があった。
「じゃ、歌えばいいのか」
と、なるとそこにもまた問題があった。それは、歌うにしても
「自らに捧げる歌」
で、あることが重要であった。そうではない歌なら、むしろ最初から歌わないほうがいいとも言えた。なぜなら披露する為だけの歌なら、はなから歌わないことよりもさらに疲労困憊、劣化を促進させる危険性があった。
正味な話、人形にとって人間へシフトするのはデンジャラスな冒険であった。しかし
「人形として、いつまで居られるのかわからないしなぁ」
と思った人形は、ここいらでいっちょ賭けに出ることにした。しかしながら、人形もただ賭けに出るだけではなく、準備を整えることを怠らなかった。
それは、今のうちにテレパシーを使って人形の頃の記憶の欠片を、出来る限り人間に残しておこうと思った。