ひ ふ みわか -4ページ目

ひ ふ みわか

ちょっとした歌とお話

ガンガンテキテキ テキテキムシムシ

 

ガンガンガン無視 敵だよガンテキ

ステーキ食べても 素敵は注意

 

爽やか冷静 (かん)(せい)

極めて霊性 (かん)(せい)

時さえ超えて (ツキ)(まにま)

 

 

 

 

 

満月の日の、ある日のこと。

ただいま、戦争中。

 

ジャポニカ帝国軍は、核実験を行った。起爆装置を発動させてから数秒後に、きのこ雲が立ち昇り、実験は見事に成功した。

放射能スーツに身を包んだ研究員たちは、爆心地近くの様子を調査した。すると、そこで直径1メートル半くらいの黒いトンネルを調査員たちは発見した。調査員たちは、核爆発により時間と空間になんらかの歪みが生じる可能性があることを、予め予想はしていた。だから

「このトンネルをくぐると、違う軸へと移動するに違いない」

 と、研究員たちは確信した。そして

「このトンネルをくぐるか、どうか」

 と、議論が交わされた。

 

 トンネルをくぐる人物候補に選ばれたのは、ジャポニカ帝国軍のある諜報員であった。実際

「この黒いトンネルをくぐったらどうなるのか?」

「くぐってから、元の世界へ戻ってこれるのか?」

などは、誰にもわからない所であった。しかし

「自分はお国のために行って参ります」

 と、諜報員は自らの意を表明し、トンネルをくぐることを決断したのであった。しかしながら、諜報員の本音としては

「まぁ、それほどここに未練もないしなぁ」

 というのが本音であった。

 そう、このようにジャポニカ帝国では本音と建て前を使い分けるのが伝統文化なのであった。

 

 諜報員がトンネルを抜けた世界は、70数年後の未来であった。しかし、彼がトンネルを抜けてからというもの、トンネルの穴が少しずつ小さくなっていくのが目に見えてわかった。

「あぁ、これは元の時代に戻れそうにないな」

 と、諜報員は思った。でも

「せっかくなので、自分がここに来た証を残しておきたい」

と、彼は思った。そして、この時代で調達したあるものを自分がいた時代へ、小さくなったトンネルを使って、それを送ることにした。

 

研究員たちが、トンネルを通して諜報員から受け取ったもの、それは丸いキラキラ光る円盤のようなもの数枚と、小さな箱型の精密機械、そして

「20XX年より 〇〇諜報員より」

 と、書かれたメモ書きであった。研究員たちは最初、その光る円盤と箱の機械が何なのかがわからなかった。しかし、いろいろ試しているうちに、それはどうやら今の時代で言う所のレコードと蓄音機であることがわかった。

 

 未来の音楽を聴いた、ジャポニカ帝国軍の参謀たちは、ある者は激怒し、ある者は憂い、そしてある者はふっきれたように爆笑した。

 とにかく

「未来の音楽というのは、主義主張だらけである」

というのが、参謀たちの率直な感想であった。それは、本音と建て前を尊ぶジャポニカ帝国の文化とはかけ離れているかのように参謀たちには思えた。しかし

「これも、時の流れであろう。時代が変われば文化も変わろう」

 と、言う者や

「こんな恥さらしな国になるのなら、今のうちに国を解体しておこう」

 と、強硬な意見を言う者までいた。

 結局、参謀たちの間で、様々な意見が交わされて出た意見は

「今のうちに、核の力を使って出来るだけ未来の国民が呆けないようにしておくことは出来ないか」

 ということであった。

 

 よって、ジャポニカ帝国は核を使い、自らの国を自らの手で二度、起爆することにした。しかもそれは

「敵国のアマッタレ合衆国が、核を投下して爆裂させた」

という筋書きで事は進められていった。

 それにより、建前上はアマッタレ合衆国が戦勝国、ジャポニカ帝国軍が敗戦国で占領される、ということになった。しかしながら、ところがどっこい実は・・・、という図式ではあった。

「勇敢に戦い、勝つこと」

 これを、表向きの良訓としながらも、長い歴史の中で

「負ける方が何かと好都合」

 というのを、ジャポニカ帝国は身に染みていたのだった。

 

 ところで、20XX年に取り残された諜報員のことである。

彼は彼なりに、その時代に馴染んでいこうとしていた。しかし、彼がどうしても馴染めないのはその時代の音楽であった。こればっかりは、自分でもどうしようもないことであった。

 そんな彼は、かつて自分がいた時代の歌を一日に何度も口遊むようにしていた。

 そう、それはまるで、なんとか呆けないでおくためかのように。