今回読んだ本。
「陰日向に咲く」劇団ひとり

「永すぎた春」三島由紀夫





「陰日向に咲く」劇団ひとり

短編集。世界観は同じで、ゆるく繋がっている。

所々で、他の話の登場人物と接点がある。

著者が有名なのと、出版された頃に話題になっていた記憶があって手に取った。

以前に映画を見た。そこまで強い印象はなくて、途中まで読んでから「そういえばこの話、映画で見たな」と、思い出した。

本はとても面白かった。これは傑作だと思う。

著者の他の本は読んでないけど、このレベルで書き続けているんだったら一流作家だ。素晴らしい。


「道草」
ホームレスの話。最後はどんでん返し。


「拝啓、僕のアイドル様」

地下アイドルの濃いファンの話。

話も面白かったが、細かいところで↓が印象に残った。

いくらアイドルを愛しても、ファンという壁を越えて、一人の男として愛されることは決してない。(中略)しかし、アイドルは僕の愛に応えてくれないが、逆に僕の愛を拒みもしない。それが一般の女性を愛することとの大きな違いだ。(後略)

ミャーコお決まりのギャグ「空席除けば、超満員」


「ピンボケな私」

一応、カメラマンを夢見る20歳フリーターの女性。
アホすぎ。憎めないキャラで、笑ってしまう。

親友の叙述トリックには少し驚いた。

この本、話はバラエティに富んでいるし、色々と凝っている。


「Over run」

ギャンブルで借金まみれの男。

こちらもアホ。

競馬の方程式が可笑しい。神様のレール。笑

その次は、振り込め詐欺の神様コール。笑

しかし、そこからが意外な展開で・・とても良い話だった。

ちょっと泣ける。


「鳴き砂を歩く犬」

中学生の頃に出会った芸人志望の「ソイツ」を探して東京に出てきた不幸で馬鹿な鳴子。

鳴子も、ソイツこと雷太も憎めなくて可愛らしい。

映画は雷太が伊藤淳史、鳴子は宮崎あおいが演じていた(wikiを見るまで忘れていたけど)。

頭の中ではなぜかトンツカタン森本、森七菜で再生されていた。

たぶん、最近見た動画や映画のせいだろうと思うけど。




「永すぎた春」三島由紀夫

T大学法学部に通う宝部郁雄と大学近くの古本屋の娘・木田百子は婚約し、郁雄の卒業を待って結婚することになった。

卒業までの1年強、周囲の騒動や2人の気持ち等を描く。

これまでに読んだ三島由紀夫作品の中ではとても分かりやすかった。

「潮騒」と並ぶくらい。

三島作品の中では特に有名な方ではないみたいだけど、入口として丁度良い本じゃないだろうか。







今回読んだ本。
「知らないと恥をかく世界の大問題16 トランプの“首領(ドン)モンロー主義時代”」 池上彰

「世界を変えた10人の女性 お茶の水女子大学特別講義」 池上彰





「知らないと恥をかく世界の大問題16 トランプの“首領(ドン)モンロー主義時代”」池上彰

このシリーズは毎年買っている。このブログにも「10」から記載があった。

読み返すと毎年、同じようなことを書いていた。笑

普段見ているニュースがよくまとまっていてありがたい、とか。

今回も感想は変わらない。毎年、重宝している。




「世界を変えた10人の女性 お茶の水女子大学特別講義」 池上彰

著者がお茶の水女子大学で行った集中講義をまとめた本。

冒頭で、“本当の意味で男女が平等であるなら「世界を変えた10人」というタイトルでいいはず。”という話が出てくる。

何でもジェンダー問題へ持っていくのは違うだろうけど、これは確かにその通りだと思った。

著者はこの部分に限らず随分気を使った表現をしていた。

本書で取り上げられていた女性は以下の10人。

アウンサンスーチー(ミャンマーの民主化運動指導者)
アニータ・ロディック( 「ザ・ボディショップ」を起業)
マザー・テレサ(インドで貧困に苦しむ人の救済に生涯を捧げたカトリックの修道女)
ベティ・フリーダン(フェミニズム運動の先駆者)
マーガレット・サッチャー(元英国首相)

フローレンス・ナイチンゲール(近代看護の母)
マリー・キュリー(物理学者・化学者)
緒方貞子(国連難民高等弁務官)
ワンガリ・マータイ(環境保護活動家)
ベアテ・シロタ・ゴードン(元GHQ職員。日本国憲法草案作成に尽力)

著者は講義で、大学生なら自分で考え、意見を持つべきと繰り返し述べている。

こうした偉人に対しても単に褒め称えるだけでなく客観的に見ること。

アウンサンスーチーの講義で、あえて世間の評判とは異なる評価もあることを話していたのが印象的だった。

また、最後にはレポート発表の講義が収録されていて興味深い。

文章の構成、表現について一緒に勉強しているようだった。

その他
P273 「未来を手渡す」 良い表現だと思った。


今回読んだ本。

「さぶ」 山本周五郎
「青べか物語」 山本周五郎
「栄花物語」 山本周五郎




「さぶ」 山本周五郎

江戸下町の表具店で働くさぶと栄二。どんくさいが誠実なさぶと、何でも器用にこなす色男の栄二は親友だった。

ある日、栄二に上得意先で窃盗を働いた容疑がかかる。

濡れ衣だと抵抗する栄二だったが、表具屋を首になって自暴自棄になり、ついには人足寄せ場に送られてしまう。


「さぶ」より「栄二」の方がむしろ主役。

手塚治虫の「どろろ」を思い出した。

あのマンガも「どろろ」より「百鬼丸」が主役みたいな話だった。

本作は傑作だと思う。

文章は本当にきれいで上手いし、話も面白かった。




「青べか物語」 山本周五郎

世界的な(ネズミのキャラが有名)テーマパークが建つよりはるか昔、昭和初期のうらぶれた漁師町・浦粕(モデルは浦安)。

作家志望の青年「私」は“沖の百万坪”と呼ばれる風景が気に入って住み着く。

ぶっくれ船“青べか”を体よく買わされたり、町の人々と交流する様子を描く。


「自伝的小説」とあったので、尋常小学校から丁稚奉公をした時代など半生が描かれているのかと期待したら、漁師町「浦粕」での暮らしや地元の人たちとの交流がメインだった。

小説自体は面白いんだけど、「自伝的」ではないので騙された気分だ。

最初は「居心地の悪い感じがする」話だと感じた。田舎へ入っていく作者の気持ちが伝わってきたのかも。

沢木耕太郎の解説(なのかな)が、読み応えがあって良かった。


印象に残ったところ。必ずしも本筋で重要な部分ではないけど。ページは新潮文庫。

P53他 「私は答えた」という表現がよく分からなかった。前後がつながってない気がするんだけど。

P99 「えんがちょ」こんな昔から使われていたのかと。

P161 「経済原理」この話は昔、教科書かサブテキストで読んだことがある。

子供たちとのやり取りが印象深くてよく覚えていた。とても懐かしかった。




「栄花物語」 山本周五郎

新潮文庫で657ページもある大作。

巻末の注釈や解説「山本周五郎を読む」を含めると700ページ超え。

「令和元年五月一日新版発行」なので、昔と違って活字は大きいですが。


田沼意次の話、と裏表紙の紹介に書いてあったので期待して読んだ。

しかし、残念ながら肩透かしだった。

ちょっと書き写してみる。


「収賄は事実か。近づく程、
彼は高潔に見えるのだが。

徳川中期、農村が疲弊し、都市部
の商人が力を持ち始めた転換点。
老中首座の重責を担う田沼意次は、
貧者への重税、収賄政治、恣意的
人材登用と非難にまみれていた。

一悪政の噂は本当なのか。出所
はどこなのか。絶望の淵にあって
も、孤独に耐え、改革を押し進め
た田沼意次という不屈の人間像を
新しい視点から描く傑作歴史長編。」


こんな紹介ながら、田沼意次が活躍する話ではなく、田沼意次を取り巻く無名の人たちが中心の話だった。

体感だけど、8 : 2くらい。田沼意次が2。

そこから、田沼政治の輪郭が浮かび上がってくる・・みたいなことも、特に無かった。無くはないか。

それでも正直、紹介文と内容がずれていると思う。期待外れだった。

分かってればスルーしたのに。

経済政策とか、外交とか、もっと書けることはたくさんあると思うけど。

ロシアの話が少し出てきたけど、物足りない。


“新しい視点”と付け加えることでごまかしているようにも見える。

これは作者が悪いというより、紹介文を書き直した方がいい。