【今回読んだ本】

「けさくしゃ」 畠中恵

「冤罪」 藤沢周平
「夏姫春秋」 宮城谷昌光
「天馬、翔ける 源義経」安部龍太郎




「けさくしゃ」 畠中恵

二百俵取りの旗本・高屋彦四郎知久。趣味事の同好者の間では柳亭種彦と名乗っている。

腕っぷしは弱いが、見た目は役者と見紛うばかりのいい男である。

そんな種彦の才能を見込んだ版元の山青堂は、彼の戯作で一山当てようと誘い込む。

最初は相手にしなかった種彦だが、徐々に戯作の世界に引き込まれて行き…。


これは面白かった。傑作。

江戸時代の作家(戯作者)という題材は興味深く、話も面白い。

キャラも立ってる。

柳亭種彦という戯作者は実在したそうだ。代表作「偐紫田舎源氏」など。

以前に3冊ほど読んだ「しゃばけ」シリーズと違って、「妖」(あやかし)のような人外のキャラは出てこない。

こちらもシリーズ化するだろうか。もし続きが出るなら、また読みたい。




「冤罪」 藤沢周平

短編集。

著者の本は初めて読んだ。「たそがれ清兵衛」「武士の一分」など映画は何本か見ている。

話はどれも面白かった。さすがに、たくさんの本が書店に並び続けてる作家だ。

ただ、冒頭の説明はごちゃごちゃと先を急ぐ感じ、あまり分かりやすくなかった。

この辺りは、これまで何冊か読んだ山本周五郎作品がやっぱりすごかった。名文にして読みやすく、あっという間に引き込まれる。

大家同士を比較するのも何だけど。

お陰で本作を読み進めていると、どの作品も冒頭はつまらなくて徐々に面白くなり、終わるのが惜しくなってきた頃に終了、また次の話でつまらない冒頭が始まる、というパターンの連続だった。

本書は代表作でもないようなので、この1冊だけでなく機会があれば他にも読んでみたいと思う。

証拠人
唆(そそのか)す
潮田伝五郎置文
密夫の顔
夜の城
臍曲がり新左
一顆の瓜
十四人目の男
冤罪




「夏姫春秋」 宮城谷昌光
第105回(1991年上半期)直木三十五賞受賞作。

春秋時代、小国鄭の公女である夏姫は類稀なる美しさで関わった者たちに波乱を巻き起こす。

夏姫の数奇な運命を描く。


春秋戦国時代にはあまり馴染みがなかったので、興味深く読んだ。

(先日見た映画の「キングダム」も春秋戦国時代が舞台。これくらいしか触れた記憶がなかった)


話は上巻が長いプロローグで、後半が本編といった感じ。

上巻は正直つまらなくて、投げそうになった。 

下巻でようやく面白さを感じたけど、もっと夏姫とその周囲の話を読みたかった。主題がぼやけている気がする。

(講談社文庫で読みました)




「天馬、翔ける 源義経」安部龍太郎


タイトルに惹かれて読んだ。

義経は時代小説の中でも好きな題材なので。

文章は簡潔で、内容はオーソドックス。読みやすい。

その代わり、新鮮味はなかった。

本作は義経やこの時代のことを知らない人向けだと思う。






【今回見た映画】

マルコムX(1992米)

FLEE フリー(2021デンマーク・仏他)

マン・オブ・スティール(2013米)

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023日)

バトルフロント(2013米)


モリー・シンガー “2度目”のキャンパスライフ 最高な大学生活の過ごし方を教えます!!(2023米)

パラレルワールド・ラブストーリー(2019日)

ジョーカー・ゲーム(2015日)

ストレイヤーズ・クロニクル(2015日)

僕の初恋をキミに捧ぐ(2009日)





マルコムX ★★★☆☆

1992米。202分。スパイク・リー監督・脚本(共同)・製作(共同)。デンゼル・ワシントン。アンジェラ・バセット。アルバート・ホール。


「マルコムX自伝」をベースに、1965年に39歳で暗殺された黒人解放運動の指導者・マルコムXの生涯を描く。


ボストンのスラム街で泥棒稼業に従事するマルコムは逮捕される(作中では白人女性を抱いた為と描かれている)。


刑務所内でネーション・オブ・イスラム(アフリカ系アメリカ人のイスラム運動組織)に出会った彼はイスラム教に改宗、マルコムXと改名する。


出所後は指導者イライジャ・ムハンマドのもとで黒人解放運動家として頭角を現していく。


しかし、イライジャの女性関係に失望したマルコムXはネーション・オブ・イスラムと訣別する。


対立が激化する中、ニューヨークのハーレムのメッカで凶弾に倒れる。



JFKが大統領に就任したのが1961年。暗殺されたのが1963年。


マルコムXが暗殺されたのが1965年。


キング牧師が暗殺されたのが1968年。


同年にJFKの弟・RFK(ロバート・F・ケネディ)も大統領予備選中に暗殺されている。


激しい時代だ。


202分ととても長いけど、一度は見ておくべき映画かと思う。





FLEE フリー ★★★☆☆

2021デンマーク・仏・ノルウェー・スウェーデン。90分。ヨナス・ポヘール・ラスムセン監督・脚本(共同)。


1980年代後半のアフガニスタン。

紛争により父は当局に連行され、戻ることはなかった。


アミン少年は、エージェントに高額な費用を払ってようやく生まれ育った国から脱出することが出来た。


デンマークにたどり着いたアミンは、長兄の助けで生来の嗜好を認められ、パートナーである男性と家庭を持つことを決意する。



紛争から逃れて亡命する話とLGBTQの話。

評価は高いようで、wikiを見るとたくさんの賞を取っている。

面白いとは言わないが、興味深く見た。




マン・オブ・スティール ★★★☆☆
2013米。143分。ザック・スナイダー監督。クリストファー・ノーラン他原案。ヘンリー・カヴィル。エイミー・アダムス。マイケル・シャノン。ケビン・コスナー。ダイアン・レイン。ラッセル・クロウ。

地球から遠く離れた惑星クリプトン。

ジョー=エルとララ・ロー=ヴァン夫妻はクリプトン星の滅亡が近いことを知り、生まれたばかりの息子カル=エルを宇宙船のポッドに乗せて地球に向けて発射する。

カル=エルは地球でケント夫妻に拾われ、クラーク・ケントと名付けられる。


スーパーマンの昔の話。

CGを駆使した映像が素晴らしい。

ただ、アクションはスパイダーマンの方が特長があって面白いと思った。

映像が進化したがゆえの贅沢な要望かもしれない。

話はだらだらしてる。

理屈っぽい語りも多い。まるで、バットマンの悪いところを取り入れたようだと思った。好みもあるだろうけど。




鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 ★★★☆☆
2023日。104分。古賀豪監督。水木しげる原作。関俊彦。木内秀信。種﨑敦美。小林由美子。古川登志夫。沢城みゆき。庄司宇芽香。野沢雅子。

昭和31年。

政財界を牛耳る龍賀一族の当主、龍賀時貞が死去。

東京で帝国血液銀行に勤める水木は龍賀一族の経営する製薬会社「龍賀製薬」の担当者で、龍賀製薬社長の龍賀克典とは懇意にしていた。

水木は一族が暮らす哭倉村を訪れ、龍賀時貞の跡取りに指名された時麿が殺される事件に遭遇する。

容疑者として村人に捕らえられた謎の男は、仮に「ゲゲ郎」と呼ばれる。彼は後の鬼太郎の父親だった。

水木は村に隠された恐るべき謎と怪奇に足を踏み入れてゆく。


「ゲゲゲの鬼太郎」のスピンオフ。

冒頭は犬神家の一族(横溝正史)かと思った。

こんな話があったとは知らなかった。

マンガで描かれているのかどうかは知らないけど、wikiを見たら水木しげる原作となっていた。

鬼太郎は最後に少し出てくる。





バトルフロント ★★★☆☆
2013米。100分。ゲイリー・フレダー監督。シルヴェスター・スタローン脚本・製作(共同)。ジェイソン・ステイサム。ジェームズ・フランコ。ウィノナ・ライダー。ケイト・ボスワース。イザベラ・ヴィドヴィッチ。

元麻薬潜入捜査官のフィルは、一人娘のマディのために危険な仕事を辞めて亡き妻の故郷であるルイジアナ州で娘と静かな暮らしを始めていた。

しかし、町を裏で牛耳る麻薬密売人のゲイターは偶然フィルの前歴を知ってしまい、フィルを付け狙う。



シンプルで分かりやすいストーリー。

ジェイソン・ステイサムのアクションは本作でもキレっキレで格好良い。

それっぽい演出で、ご都合主義ではあるけど、エンタメはそれでいい。そう思える佳作。

ジェイソン・ステイサムは滅茶苦茶強い設定で、見ていて気持ち良いくらい。

たまにはピンチも必要だってことで、中盤では敵に捕まるシーンもある。

それは分かるんだけど、やられ方が雑すぎる。

これだけ強いなら、あんな風に敵に近付かれて殴られはしないだろうっていう。

まあ、アクション映画でありがちな展開ではある。

しかし、こんなシーンを入れるくらいなら、例えば子供を人質にされる展開なんてどうだろうか。

強キャラがピンチに陥るパターンとしては超ありがちだけど、あんな風に殴られて倒れるよりいいだろう。

もしかしたら、子供が拐われるエピソードは描きたくなかったのか。

そしたら、クライマックスで娘はしっかり誘拐されていた。笑

そんな突っ込み所もありつつ、楽しませてくれる映画だった。


ジェイソン・ステイサムと言えばリュック・ベッソン。

本作はカラッと明るい雰囲気で、上記のようなお約束な展開もあり、リュック・ベッソン的な緊張感は全くなかった。

しかし、まさかシルヴェスター・スタローンの脚本・製作だとは。知った時にはびっくりした。

本作のベタなエンタメ振りがとても腑に落ちた。




モリー・シンガー “2度目”のキャンパスライフ 最高な大学生活の過ごし方を教えます!! ★★★☆
2023米。120分。アンディ・パーマー監督。ブリット・ロバートソン。タイ・シンプキンス。ニコ・サントス。

若手弁護士のモリー・シンガーは大学を卒業して10年も経つのに未だに学生気分。パーティー三昧の日々を送っている。

そんなある日、裁判に遅刻して敗訴したモリーは、弁護士事務所を解雇される代わりに母校バーネット大学に再入学して上司ブレンダのぼっちな息子で新入生のエリオットを助けるはめになる。

親友ポーリーを引き込み、昔の経験値を生かしてエリオットのサポートに取り組む内、彼は少しずつ成長する。

そして、モリーもまた変わっていくのだった。


売れない映画に何とか注目してもらおうと悪戦苦闘したような邦題。

とは言え、紹介文を読んで「ブリジット・ジョーンズの日記」のようなロマコメ的面白さを想像した。

中身はかなり違うけど、アメリカのコメディってことでどことなく似た部分もあった。

アメリカの大学が舞台で、楽しい映画だった。




パラレルワールド・ラブストーリー ★★☆☆☆
2019日。108分。森義隆監督。東野圭吾原作。玉森裕太。吉岡里帆。染谷将太。筒井道隆。石田ニコル。田口トモロヲ。

敦賀崇史はバイテック社で脳の研究に従事している。

ある時、崇史の親友で同じくバイテック社の研究者である三輪智彦から恋人を紹介される。

その恋人・津野麻由子は崇史が学生時代から思い続けていた女性だった。

ある朝、崇史が目覚めると麻由子が崇史の恋人として朝食を作っていた。

崇史は2つの世界を行き来する。一体この世界はどうなっているのか。


東野圭吾らしい話だった。

原作は未読だけど、たぶんもっと面白いと思う。

玉森裕太は好きな俳優で、期待したんだけど。

吉岡里帆は当たり外れが大きい気がする。




ジョーカー・ゲーム ★★★☆☆
2015日。106分。入江悠監督。柳広司原作。亀梨和也。伊勢谷友介。深田恭子。

仲間をかばい、誤って上官を殺してしまった陸軍士官の嘉藤次郎は、銃殺寸前で陸軍の結城中佐に命を救われる。

次郎は結城中佐が創設したスパイ組織・D機関で厳しい訓練を受け、スパイの素質を開花させていく。

参謀本部から結城中佐に新型爆弾の製造法が書かれた極秘書類・ブラックノートの奪取を命じられる。


冒頭は結構良かったんだけど、話がいささか安っぽい。

ルパンと峰不二子のパロディみたい。

映像は良かった。お金がかかっていそう。

亀梨和也は格好良く、深田恭子はきれい。2人のファン向けかも。

続編を匂わせて終わったけど、さすがに無理だろう。というか、無理だったようだ。

伊勢谷友介は良かった。もっと見たかった。




ストレイヤーズ・クロニクル ★★★☆☆
2015日。126分。瀬々敬久監督。本多孝好原作。岡田将生。染谷将太。成海璃子。松岡茉優。鈴木伸之。本郷奏多。黒島結菜。豊原功補。石橋蓮司。伊原剛志。

1990年代始めの極秘実験で誕生した特殊能力を持つ子供達は、リーダーの渡瀬を中心に政府から裏の仕事を請け負っている。

彼らはその特殊能力の代償として、若くして死んでしまう宿命にある。

ある日、渡瀬を狙う謎の殺人集団アゲハが現われる。

彼らもまた、実験で生みだされた特殊能力者たちだった。


原作小説は未読。

予算の少ないSF映画、といった感じ。

wikiを見たら製作費は載っていなかったので実際には分からないけど。

雰囲気は嫌いじゃないけど、ちょっと貧乏臭かった。




僕の初恋をキミに捧ぐ ★★☆☆☆
2009日。122分。新城毅彦監督。青木琴美原作。井上真央。岡田将生。杉本哲太。森口瑤子。窪田正孝。仲村トオル。

心臓病で入院していた逞(たくま)とその主治医の種田先生の娘・繭(まゆ)は結婚の約束をする。

しかし、やがて逞は自分が20歳まで生きられないことを知ってしまう。


原作の少女マンガは未読。連続ドラマは見ていない。

井上真央、岡田将生が若い。16年も前の公開だから当然か。

公開時は22歳と20歳だった。この頃からイケメン&きれい。プラス、可愛らしい。


内容は少女マンガらしさが随所にある。それも悪い意味で。女性目線すぎると言うか。

男性目線だと結構引く。気持ち悪いと感じたところも。

原作は読んでないので、映画だけの特徴なのかもしれないけど。

と言うよりむしろ、マンガは「少女コミック」連載だそうだから女性読者がターゲットだし、これでいいんだろうけど、映画はファンの女の子が彼氏や男の友達と一緒に見にくるんだから内容ももう少し考えた方が良かったと思う。

本作は高校生とかのカップルがデートで見ただろうけど、彼氏の方は結構困ったんじゃないだろうか。


後半の生と死に関わるエピソードは、前半とは別もの。

ダイジェスト版みたいに先を急ぐ展開だったのがちょっと残念だった。

それでも、繭が昴の両親に必死にお願いするシーンは泣ける。

昴の運命について考えさせられた。脳死は生か死か。

先日見た「人魚の眠る家」を思い出した。重いテーマだ。


wikiを見たら興行収入は21.5億円もあった。すごい。

映画単体の人気とは思えないから、原作がそれだけすごかったのか。

もしくは、岡田将生や井上真央の人気か。



【今回見た映画】

未来世紀ブラジル(1985英)

散歩する侵略者(2017日)

MONSTERZ モンスターズ(2014日)

LOOPER/ルーパー(2012米・中)

素顔のままで(1996米)


左きゝの拳銃(1958日)

エリン・ブロコビッチ(2000米)

帰ってきた あぶない刑事(2024日)

PLAN 75(2022日・仏他)

大いなる決闘(1976米)





未来世紀ブラジル ★★★★☆

1985英。122分。テリー・ギリアム監督・脚本(共同)。ジョナサン・プライス。ロバート・デ・ニーロ。キム・グライスト。マイケル・ペイリン。キャサリン・ヘルモンド。ボブ・ホスキンス。


20世紀のどこかの国。情報省のコンピューターで国民は厳しく管理されている。


ある時、コンピューターのトラブルで善良な靴職人・タトルをテロリストとする誤認逮捕が発生する。


情報省に勤めるサムは、上司の頼みでこの誤認逮捕の責任を回避するために試行錯誤していた。


サムはタトルの隣人で情報省に抗議に来ていた女性・ジルと行動を共にする。


しかし、ここまでの行動からサムはテロリストと判断され追われる身となってしまう。



SF。ディストピアもの。


ジョージ・オーウェルの「1984」、映画「ブレードランナー」等の影響を受けているそうだ。


ブラックユーモアが漂うところなんかは、確かに「1984」と通じるところがあるかもしれない。


皮肉屋で底意地の悪いイギリス人が考えそうな話に思える。


単なるイメージですが。


テリー・ギリアム監督はアメリカ生まれで、後にイギリス国籍を取った人だそうだ。


ここでイメージするイギリス人と言えるのかどうか。


ネットを見たら、皮肉屋な人ではあるらしいけど。


作風も、国より個人によりけりか。それはそうか。



内容はシュールで、話が特に面白いというものでもないので、122分※はちょっと長く感じる。


※テリー・ギリアム監督と映画会社が結末で揉めたため、複数のバージョンが存在する。122分はテリー・ギリアム監督の主張したバージョン。



映像はセンスがあって良かった。


個人的には「1984」もディストピアものも全く好みでは無いけど、この映像はまた見たくなる。


世間の評価はそれだけじゃないのは分かるけど、映像の魅力は大きいと思う。



テリー・ギリアム監督の映画はこれまで3作見た。


「ラスベガスをやっつけろ」

「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」

「ブラザーズ・グリム」


この内、「ブラザーズ・グリム」はちょっと印象が薄いんだけど(ブログを見返したら記述も少なかった。書きたいことがあまりなかったようだ)、あとの2つはとにかく映像が良かった記憶がある。





散歩する侵略者 ★★☆☆☆
2017日。129分。黒沢清監督。長澤まさみ。松田龍平。高杉真宙。長谷川博己。恒松祐里。前田敦子。満島真之介。児嶋一哉。光石研。東出昌大。小泉今日子。笹野高史。

数日ぶりに帰ってきた真治が別人のように優しくなっていて戸惑う妻の鳴海。


その頃、町では一家惨殺事件が発生し、不可解な現象が続発する。


そんな中、真治は鳴海に「自分は宇宙人で、地球を侵略しに来た」と告白する。



人気舞台を映画化した作品。


正直、かなり人を選ぶと思う。





MONSTERZ モンスターズ ★★★★☆

2014日。112分。中田秀夫監督。藤原竜也。山田孝之。石原さとみ。田口トモロヲ。落合モトキ。太賀。松重豊。木村多江。


視界に入った人間すべてを意のままに操ることができる“男”。


幼少時代に両親をその能力で殺害してしまった“男”は、必要な時だけ能力を使って金を盗み、自身の能力と世界を恨みながら孤独に静かに生きていた。


そんな“男”の前に“操れない男”田中終一が現れる。


“男”は、“操れない”終一を不快に思い、執拗に襲う。


終一は“男”を攻撃する術を持たないが、代わりに驚異的な回復力を持ち、粘り強く戦う。



2010年の韓国映画「超能力者」を原案とするリメイク作品。


オリジナル作品とは結末が異なる。(wikiより)



最初は、また“外れ”かと思った。しかし、不思議と引き込まれる作品だった。


テンポが良いのと、主役の藤原竜也、山田孝之がうまかった。


下手な役者だったら、とても見られなかったと思う。


ただ、話が単調すぎて後半は疲れた。112分と長い映画じゃないんだけど。


最後が良いだけに、もう一工夫あれば。


クライマックス。“男”が大切に持っていた「AKIRA」を見て、終一が「お前にもあるじゃないか、名前」って語り掛けるシーンが良かった。


“男”の中で何かが変わる。藤原竜也の表現も良かった。





LOOPER/ルーパー ★★★☆☆
2012米・中。119分。ライアン・ジョンソン監督・脚本。ブルース・ウィリス。ジョセフ・ゴードン=レヴィット。エミリー・ブラント。

タイムマシンの開発が実現するも、法律で使用が禁じられている近未来。2044年のカンザス州。

犯罪組織が違法なタイムマシンで消したい標的を未来から送り込み、「ルーパー」と呼ばれる殺し屋達に処理させていた。

ジョーはそんな「ルーパー」の1人だ。

ある日、いつものようにターゲットの抹殺指令を受けるが、未来から送られてきた標的は30年後の自分自身だった。


SF。タイムマシンと超能力、殺し屋の話。特に目新しさはない。

すべての設定(だったかな)はこれまでに出尽くしてる、みたいな話を聞くことがあるけど、こういう映画を見ると本当かもしれないと思う。

とはいえ、特にSFでは見たこともないような設定は理解が大変だろうし、そこそこ馴染みのある設定の方が良いのかも。

話は面白かった。馴染みのある設定だったお陰か分かりやすかった。

映画自体のテンポや見せ方も良かった。


最後はタイムパラドックスに入りかかっていたけど、無視して話を進めていた。

気にならないこともないけど、話を畳みかけたところで深掘りするとドツボにはまるので、無視したのは正解だと思う。


ブルース・ウィリスは歳を取っても独特の愛嬌があって魅力的だった。




素顔のままで ★★★☆☆
1996米。115分。アンドリュー・バーグマン監督・脚本。デミ・ムーア。バート・レイノルズ。アーマンド・アサンテ。ヴィング・レイムス。ロバート・パトリック。ポール・ギルフォイル。

FBIの秘書課で働いていたエリンは元・夫の窃盗で首になり、最愛の一人娘アンジェラの保護権まで奪われてしまった。

エリンはお金を貯めて弁護士を雇い、娘を取り戻すためにストリッパーに転職。

今では人気者で、彼女もこの仕事が気に入っている。

そんなある日、酔客が彼女に触ろうとしたところを、お忍びで店に来ていたディルベック下院議員が殴り付ける事件が起きる。


ユーモアミステリー。

デミ・ムーアがきれい。

セクシーなシーンはスタントウーマンを立てたんだろうか。

以前に「プリティ・ウーマン」の記事でそんなのがあった気がするけど、うろ覚え。

女優にそんな代わりはいらないか。




左きゝの拳銃 ★★★☆☆
1958米。102分。アーサー・ペン監督。ポール・ニューマン。リタ・ミラン。ジョン・デナー。ハード・ハットフィールド。

21才にして死んだ西部開拓史上名高い無法者ビリー・ザ・キッドの生涯を描く。

1880年代のニューメキシコ平原。

熱気と疲労でダウンしたビリーは牛商人のタントール老人一行に助けられる。

リンカーンの町では保安官のブラディ、副保安官ムーン、タンストールとライバルの家畜商ヒル・モートン等が結託してタントール老人の商売を阻止しようとし、老人を峠道で射殺する。

恩人を殺されたビリーは彼らに復讐する。一人ずつ襲って殺していく。

保安官殺しの罪でお尋ね者となったビリー。

一度は絞首刑の寸前で脱走したものの、自警団に追われ、遂に銃弾を受けて絶命する。


白黒。粗くて古さを感じる映像。まさに古典。

そんな昔の作品でも、モニターがあれば楽しめるのが映画の良いところ。


ビリー・ザ・キッドは実在の人物。

しかし、その生涯については不明な点も多く、エピソードも真偽が定かでないものが多い。

ビリーは右利きだが、唯一残っている写真が反転していたため左利きだと思われていた。


本作はアーサー・ペン監督のデビュー作。

マカロニ・ウエスタン、アメリカン・ニューシネマに影響を与えた作品だそうだ。

本人も後に有名な「俺たちに明日はない」(1967米)を製作している。

確かに、本作はそんな雰囲気の映画だった。ビリーは、いわゆる古き良き西部劇の主人公ではない。

実際の人物はどうか知らないけど。

個人的には、アメリカン・ニューシネマの祖先と言われるのが一番しっくり来る。

そのためか、本作は当時のアメリカでは受けなかった。逆にヨーロッパで受け入れられたそうだ。

その辺から、マカロニウエスタンにつながっていったということか。


ビリーは、冷静に考えれば恩赦の時点で手を引いておくのが妥当な落とし処だったと思う。

副保安官ムーンを追い詰めた時に仲間に制止されるシーンがあるけど、あそこで止めとけばその後は平穏に暮らせたのに。

ビリーはその後も復讐を止めなかった。

それほど強い思いがあったのか。平穏な生き方が出来ない人だったか。映画ではよく分からなかった。

ただ、こういう破滅型の行動はアメリカン・ニューシネマっぽい。

映画が進むにつれて、ポール・ニューマンが「明日に向かって撃て!」(1969米。ジョージ・ロイ・ヒル監督。ロバート・レッドフォード他)で演じたブッチ・キャシディのように見えてきた。

どちらのポール・ニューマンも格好良い。




エリン・ブロコビッチ ★★★★☆
2000米。130分。スティーヴン・ソダーバーグ監督。ジュリア・ロバーツ。アルバート・フィニー。

カリフォルニアの小さな町に住むエリンは、幼い子供を3人も抱えるシングルマザー。


仕事もお金もなく、おまけに車の衝突事故に遭って怪我をしたが使えない弁護士エドのせいで和解金も取れなかった。


困ったエリンは、弁護士エドの事務所に押しかけて強引に雇ってもらう。


不動産関係のファイル整理を任された彼女は、ある書類に不審を抱いて調査を始める。


やがてそれは大企業PG&Eがひた隠しにする水質汚染につながっていく。



これは良かった。傑作。

最初はコメディなのかと思ったら、社会派な内容だった。

実話ベースで、企業名も実名(PG&E)で出てくる。

もちろん、コメディとして見ても最後まで面白かったし、社会派なテーマは興味深く見られた。傑作たる所以だ。

ジュリア・ロバーツ演じる主人公のエリン・ブロコビッチがとてもいい。

裏表がなくて嫌みのない性格。無学であけすけ、ちょっと下品なところもある。

服装で周りから苦情が出たり、エドが仕事がうまくいった理由を聞いたら「おっぱいよ」と答えてしまったり。

3人の子供を育てる苦労や、隣人マスリーとの恋愛も描かれていて、親しみが持てるキャラ。


仕事は粘り強く、応援しながら見ていた。

最後に、634人の署名と内部書類を取ってくるところはスカッとした。


ジュリア・ロバーツは
第73回アカデミー賞で主演女優賞を受賞している。

(作品賞は「グラディエーター(リドリー・スコット監督。ラッセル・クロウ主演。ラッセル・クロウは主演男優賞。」)




帰ってきた あぶない刑事 ★★★☆☆
2024日。120分。原廣利監督。舘ひろし。浅野温子。仲村トオル。土屋太鳳。西野七瀬。鈴木康介。小越勇輝。ベンガル。長谷部香苗。岸谷五朗。杉本哲太。深水元基。早乙女太一。吉瀬美智子。柴田恭兵。

8年ぶりに横浜へ戻ってきた“タカ”こと鷹山敏樹と、“ユージ”こと大下勇次。

横浜で「T&Y探偵事務所」を開業した2人の元に、長崎から母親を探しにやって来た永峰彩夏という依頼人が訪れる。

その頃、横浜にカジノ誘致を進める巨大ベンチャー企業「ハイドニック」社長の海堂巧は裏社会と繋がりを持ち、連続殺人事件を引き起こしていた。

調査を開始した2人は海堂巧とぶつかってしまう。


舘ひろしと柴田恭兵を始め、主要キャラはさすがに歳を取ったが昔通り

県警上層部からタカ&ユージの嘱託契約を取り付け、さらにタカ&ユージのかつての愛車であるレパードの覆面パトカーと銃器類を「1日限定」で特別に供与する。


さすがに皆、歳を取ったけど「あぶない刑事」の魅力は変わらず。

タカとユージは格好良く、トオルはコミカル。薫に苦笑するのも昔と同じ。

土屋太鳳などゲストも良かった。

テレビドラマ版が久しぶりに見たくなった。

アナログ放送の頃だから、もう再放送はしないか。どこかのサブスクにあるんだろうか。




PLAN 75 ★★☆☆☆

2022日・仏・フィリピン・カタール。112分。早川千絵監督・脚本。倍賞千恵子。磯村勇斗。たかお鷹。河合優実。ステファニー・アリアン。


超高齢化問題の解決策として導入された、75歳以上の高齢者には安楽死する権利が与えられる制度。通称プラン75。


78歳の角谷ミチは夫を亡くして1人暮らし。身体は丈夫だが高齢を理由にホテルの客室清掃員を解雇されてしまう。


次の定職を見つけられず、住む場所も失いそうになったミチは、プラン75を申請する。


サポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、この制度に疑問を抱くようになる。



年齢で線を引くとはドラスティックな設定で、昔の星新一や藤子不二雄(異色短編集)が描きそうな話だと思った。


それを、予算をかけて2時間の映画にするとは。


よく企画が通ったものだけど、それだけ社会が高齢化して、需要が見込めるということか。



心が痛くなるような映画だった。


陳腐な言い方だけど、生きるということや、“終活”など色々と考えさせられる。





大いなる決闘 ★★★☆☆

1976米。98分。アンドリュー・V・マクラグレン監督。ジェームズ・コバーン。チャールトン・ヘストン。バーバラ・ハーシー。クリストファー・ミッチャム。


1909年、アリゾナ州で鉄道敷設に駆り出されていた囚人たちが監視役を殺して逃走した。


逃走犯のリーダーであるプロボは凶悪な殺人犯で、自分を逮捕した保安官のバーゲードに復讐するためにトゥーソンに向かう。


プロボはバーゲードの娘・スーザンを誘拐して彼をおびき出そうとする。



約50年前の西部劇。


スーザンの扱いなんかは当時なりに抑えた表現になっているけど、今ならもっと厳しいかと思う。


撃ち合いだけでなく、プロボとバーケードの知恵比べが特長で、その辺がタイトル「大いなる決闘」の由来か。