【今回観た映画】

梅切らぬバカ(2021日)

博士の異常な愛情(1964英・米)

メン・イン・ブラック:インターナショナル(2019米)

フォーリング・ダウン(1993米)

ラチェット&クランク THE MOVIE(2016香港・加・米)


地底の歌(1956日)

名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)(2023日)

ミセス・ダウト(1993米)

レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い(1994米)

ナバロンの要塞(1961英・米)





梅切らぬバカ ★★★☆☆

2021日。77分。和島香太郎監督・脚本。加賀まりこ。塚地武雅。渡辺いっけい。森口瑤子。斎藤汰鷹。徳井優。林家正蔵。高島礼子。


占い師で生計を立てる山田珠子は、自閉症の息子・忠男と暮らしている。


珠子は50歳になった忠男の将来を考え、知的障害者が共同生活を送るグループホームに息子を預ける。


しかし、忠男はホームを抜け出して厄介な事件に巻き込まれてしまう。


タイトルは、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざから。 


意味は、「個性に応じた手の掛け方をすることが大切。」 


桜の場合、枝の切り口から菌が入りやすく腐りやすいためむやみに剪定してはならず、一方梅は無駄な枝を切ってやらないと樹形が崩れてしまいよい花や実がつかなくなってしまいます。(Google検索より)


興味深く、考えさせられる話だった。


加賀まりこ、塚地武雅が上手だと思った。





博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか ★★★☆☆

1964英・米。93分。スタンリー・キューブリック監督・脚本(共同)・製作(共同)。ピーター・セラーズ。ジョージ・C・スコット。スターリング・ヘイドン。スリム・ピケンズ。


アメリカ空軍のリッパー准将は精神に異常をきたし、ソビエト連邦に向けて核攻撃開始の指示を下す。


イギリス空軍のマンドレーク大佐が爆撃機の撤退を進言するが、逆に監禁されてしまう。


一方、アメリカ大統領の連絡を受けたソ連首相は核爆発によって誘発される地球破壊装置の存在を明らかにする。



白黒。


シニカルで皮肉な、ブラックユーモアたっぷりの映画。


邦題は誤訳か意訳か?という話題でも有名。


東西冷戦時代らしい作品。





メン・イン・ブラック:インターナショナル ★★★☆☆

2019米。115分。F・ゲイリー・グレイ監督。クリス・ヘムズワース。テッサ・トンプソン。レベッカ・ファーガソン。リーアム・ニーソン。


地球に生息するエイリアンの監視・取り締まりを任務とする最高機密機関「MIB」のロンドン支局。


新人女性エージェントMは先輩エージェントHと活動を開始するが、内部に情報漏洩者がいることに気付く。


シリーズ第4作。前作メン・イン・ブラック3から7年ぶり。


トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスのコンビからキャストが変わったが、世界観は継続している。


映像は本当にきれい。近未来な感じがする。


実際にはこんな風に進化することはないだろうけど。笑


エンドロールが10分近くある。確かに大作だった。





フォーリング・ダウン ★★★★☆

1993米。118分。ジョエル・シュマッカー監督。

マイケル・ダグラス。ロバート・デュヴァル。バーバラ・ハーシー。レイチェル・ティコティン。チューズデイ・ウェルド。


ロサンゼルス。真夏の太陽にさらされた灼熱のハイウェイで交通渋滞が発生。


几帳面で物静かな中年男・ウィリアムの車はエアコンや窓の故障、車内に入り込み飛び回る蝿にイライラを募らせ、遂に車を乗り捨てて立ち去ってしまう。


問いかける他のドライバーに対して「家に帰る」と言い残して。


ウィリアムの暴走が始まる。



サスペンス・スリラー。


シュールな展開だけど、話もテンポも良くてとても面白かった。


評価が高いそうだけど、よく分かる。


マイケル・ダグラスが良かった。最初は誰だか分からなかった。笑





ラチェット&クランク THE MOVIE ★★★☆☆

2016香港・加・米。

ケビン・マンロー、ジェリカ・クレランド監督(共同)。ジェームズ・アーノルド・テイラーデビッド・ケイ。ポール・ジアマッティ。ベラ・ソーン。ロザリオ・ドーソン。シルベスター・スタローン。ジム・ワード。アーミン・シマーマン。ジョン・グッドマン。


レンジャーになったラチェットは、相棒のクランクと共にドレックの惑星破壊を止めようとする。



ゲームが原作の3Dアニメ。


きれいな絵だった。


昔のクレイアニメみたいな質感があって、本当におもちゃか何かがそこにいて動いているみたい。


サイトを見たら、本作はPS4のゲームが元になっているらしい。


私も昔このシリーズは遊んだことがある。 PS4のとは少し違うけど、世界観には馴染みがあった。





地底の歌 ★★★☆☆

1956日。90分。野口博志監督。平林たい子原作。名和宏。石原裕次郎。二本柳寛。坪内美詠子。美多川光子。


山田花子は友人でヤクザの娘、伊豆トキ子と彫物師の見学に行き、ダイヤモンドの冬と知り合う。


花子はその後、びっくり鉄というヤクザに唆されて飲み屋に売られてしまう。


鉄を叱って花子を取り戻しに行った鶴田はイカサマ博打で用意した金を擦ってしまう。


鶴田、冬はヤクザの抗争に巻き込まれて行く。


タイトルに「朝日新聞連載」と大きく表示される。今よりずっとステイタスがあったんだろう。


話は纏まりがなくてさほど面白くもなかったけど。原作はまた違うのかもしれない。


石原裕次郎が若くてスマート。足が長くて、スタイルの良いこと。


昔の錦糸町、成田駅が出てくる。こんな感じだったのかと興味深い。


以前に忠犬ハチ公の映画で見た昔の渋谷駅を思い出した。





名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)

2023日。109分。立川譲監督。青山剛昌原作。高山みなみ。林原めぐみ。池田秀一。古谷徹。山崎和佳奈。小山力也。山口勝平。沢村一樹。


八丈島を訪れたコナンたち。


そこで、ユーロポールの職員がドイツのフランクフルトで黒づくめの組織・ジンに殺害されたと知らせが入る。


コナンは事件の真相を追うため海洋施設「パシフィック・ブイ」に潜入する。


アニメ。


最新作「100万ドルの五稜星(みちしるべ)」も好調みたいだし、最近ますます人気が上がっている印象を受ける。


今や「ドラえもん」や「ポケットモンスター」にならぶ定番か。


そういえば「ドラゴンボール」「ワンピース」も定番と言えるか。


「クレヨンしんちゃん」もあった。


他にもあるかもしれない。やっぱりヒット作は続けたいんだろうな。


ハリウッド大作と同じか。





ミセス・ダウト ★★★★☆

1993米。126分。クリス・コロンバス監督。 ロビン・ウィリアムズ主演・製作。サリー・フィールド。ピアース・ブロスナン。ハーヴェイ・ファイアスタイン。


離婚によって子供たちと引き離されてしまった彼は売れない役者のダニエル。


友人の特殊メイクで老婦人に変身し、その姿で家政婦として家に潜入する。


コメディ。


開始30分ぐらいで、ロビン・ウィリアムズが女装して“ミセス・ダウト”が誕生する辺りから俄然面白くなる。


絵的には、テレビドラマの「家政夫のミタゾノ」を思い出す。


本作の方が古いけど。


あと、こちらの方がミタゾノより更にゴツい。



ロビン・ウィリアムズが上手。


カトゥーン的なドタバタなギャグも、つい笑ってしまう。


家庭訪問員のセルナーさんが来た時、ミランダの誕生日用に服を選ぶ所、スチュワートの料理に唐辛子を入れる騒動とか。


他にも、「ビール運搬車に轢かれて」っていう会話にはクスッときた。


その誕生日と、ダニエルと社長の約束が重なってしまう。


ありがちな展開なんだけど、テンポも良くてよく出来てると思った。


徐々に家族の絆が戻って行くのが良かった。


ピアース・ブロスナンはジェームズ・ボンドの時はそれほどに思わなかったんだけど、さすがにイケメンだと思った。


本作は、他にイケメンがいないから際立つのかも。





レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い ★★★☆☆

1994米。132分。エドワード・ズウィック監督・製作(共同)。ブラッド・ピット。アンソニー・ホプキンス。エイダン・クイン。ジュリア・オーモンド。ヘンリー・トーマス。


戦いの記憶から逃れる為に深い山奥の牧場で暮らす元騎兵隊の父・ラドロー大佐と3人の息子アルフレッド、トリスタン、サミュエル。


彼等の穏やかな生活は第一次世界大戦の勃発を契機に大きく変わっていく。



第一次世界大戦から禁酒法の時代を背景に物語が進む。


父親のラドロー大佐が息子たちの軍への志願を止める理由が南北戦争に従軍した自らの記憶であったりと歴史的な話だ。


アルフレッドとトリスタンの関係は、神話のカインとアベルを思い起こさせる気がする。


本作のジャンルは西部劇になるらしい。


壮大な話だった。





風とライオン ★★★☆☆

1975米。119分。

ジョン・ミリアス監督・脚本。ショーン・コネリー。キャンディス・バーゲン。ジョン・ヒューストン。


1904年、仏領モロッコのタンジールで、アメリカ人女性イーデンとその子供たちがリフ族の首長ライズリによって誘拐されるという事件が起こる。


彼は自治国であるモロッコから列強の介入を排除したいと考えていた。


アメリカ大統領ルーズベルトは政治的思惑から母子救出のために大西洋艦隊のモロッコ派遣を決定。 戦闘が始まる。


一方で、苦しむ民衆を救うために誘拐を図ったライズリとイーデンは次第に心を通わせていく。


そしてライズリとルーズベルトの間にも尊敬の念が生まれる。


ライズリは実在の人物で、モデルになる話はあったそうだ。


血生臭さもあるんだけど、どこかロマンを感じる話だった。


ライズリのキャラが魅力的。演じるショーン・コネリーがとても良かった。


この人は声も良い。





ナバロンの要塞 ★★★☆☆

1961英・米。157分。J・リー・トンプソン監督。グレゴリー・ペック。デヴィッド・ニーヴン。アンソニー・クイン。アンソニー・クエイル。イレーネ・パパス。


第二次世界大戦中、1943年。イギリス軍の将兵2,000名が、ギリシャのケロス島で孤立してしまった。


脱出にはナバロン島に据えつけられた2門の大砲を破壊するしかない。


6人のメンバーからなる特殊部隊が結成され、400フィートもの絶壁のため見張りの歩哨がいないナバロン島南側から侵入を開始する。



大作。


エーゲ海の景色が美しい。映像はアナログで粗いけど。


会話シーンが多く、今の映画と比べるとカット割なんかもシンプルなので単調に感じる。


逆に、今の映画が進化してると実感した。


南側の絶壁から侵入するシーンでは台詞なしの映像が続く。


10分ぐらいかと思って後で調べたら13分もあった。









【今回観た映画】

エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事(1993米)

ミスター・ベースボール(1992米・英)

フィラデルフィア(1993米)

限りなき追跡(1953米)

弾丸を噛め(1975米)


すずめの戸締まり(2022日)

サボタージュ(2014米)

キャノンボール(1981米・香港)

スノーホワイト/氷の王国(2016英・米・中)

名探偵コナン 紺青の拳(2019日)





エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事 ★★★☆☆

1993米。139分。マーティン・スコセッシ監督。
ダニエル・デイ=ルイス。ミシェル・ファイファー。


1870年代、アメリカの上流社会。


弁護士のニューランドは、メイという婚約者がいたが幼馴染みで伯爵夫人となっているエレンと不倫の恋に落ちる。


若くて素朴なメイと知的なエレンの間で自責と葛藤に悩まされる。


美しい映像と恋の話。不倫だけど。


1993年というと、石田純一も元気で不倫も今ほど叩かれていなかった記憶。叩かれてはいたけど、程度問題として。


アメリカではどうだか知らないけど。


色んな価値観というか規範みたいなものが、この数年で大きく変わっていると思う。


今こういう映画を公開したら、日本では受けないんだろうと思う。


それが良いことなのか悪いことなのか、一概には言えないけど。


そんなことを思いながら観ていた。


あと単純に、ニューランド止めとけメイは良い人じゃないの、とかエレンが魅力的なのはまあ分かるけどさ…なんて思っていた。笑



日本語タイトルが、格好つけようとして結果下品になってる。





ミスター・ベースボール ★★★☆☆

1992米・英。110分。フレッド・スケピシ監督。トム・セレック。デニス・ヘイスバート。高倉健。


メジャーをお払い箱になった元スター選手のジャック・エリオットが日本の中日ドラゴンズへ入団する。


しかし、日本の生活や野球に戸惑い、内山監督とも対立して不振に陥ってしまう。


恋人で監督の娘であるヒロ子の仲介で監督と和解し、二人で特訓を開始。


ついに復活したジャックの快進撃が始まる。



昭和の日本プロ野球にやって来たガイジン助っ人の話。


昔はこういう、ピークを過ぎたメジャーリーガーがよく日本に来ていた。


今は給料格差が広がったせいか、ランクがもう少し落ちる安い選手しか取れなくなってるらしい。


ちなみに、彼ら外国人選手は「ガイジン」呼びを嫌うが「助っ人」は敬意を感じるから良い。と、何かで読んだ。


本作が作られたのは、まだ野茂英雄がドジャースに入団する前。


メジャーは、今とは比較にならないぐらい遠かった。



本作の、日本の社会や野球の描き方は、故意かそうでないのか不明だけど、たぶん故意だと思うけど偏見に満ちている。


ロッカーやお店の狭さはことさらに強調されているし、内山監督の家ではそうめんを派手な音ですする。


昔の、「ゲイシャ」「ハラキリ」って言葉を思い出した。



加えて、本作の映像で見られるバブル期のファッションと球場のボロさや街の古さはアンマッチで、今見るととても変。


これは、外国人の視点とは関係なく今の社会から約30年前のこの時代を見ると、とても変わった、異質なものに見える。


(バブル景気は1986年12月から1991年2月頃とされている。本作は1992年公開だから、厳密には弾けた直後ぐらい)


結果的に、外国人が解釈した日本、約30年前のバブル爛熟期を迎えた日本、本作では2つの変な日本が楽しめる。



昔、巨人で長く活躍したウォーレン・クロマティとロバート・ホワイティングの共著「さらばサムライ野球」を読んだことがある。


書かれているのは本作と同じ頃の話で、クロマティも元メジャーリーガー。境遇はよく似ている。


共通する部分が多くあった。映画を観て思い出した。


ジャックが日本で最初に参加した練習で、中日の選手は一列に並んでうさぎ跳りをしている。


しかも、両手にバットを持って。


さすがに当時もこんな練習はしていない(と思う)が、彼らには日本の練習がこれぐらい奇異に見えるんだろう。


(ただ、日本の監督やコーチは時々変な練習を思い付くからやってないと断言は出来ない)



高倉健演じる内山監督は当時の中日監督である星野仙一と、広岡達朗がモデルになっているそうだ。


高圧的で、規律を重んじる。


現役時代はホームランバッターだった設定で、この辺は現ソフトバンクホークスの王貞治会長が入っていると思う。


ジャックの背番号が54なので、ずいぶん意味深だと思って観ていたら、復活したジャックはホームランを打ちまくって内山監督の記録を塗り替えそうになる。


それが7試合連続ホームランの記録なのは、シーズン本数55本の記録にすると生々し過ぎるからだろう。


巡り合わせが悪いのか、王さんが監督をしている時にこうした場面は何回かあった。


阪神のバースとか、近鉄のローズとか。


記録を前にしたジャックは、彼らと同様に敬遠される。


しかし、最終打席で満塁になり、相手はついに敬遠出来なくなる。


内山監督は思い切りスイングしろと指示するが、ジャックは自分の判断でバントし、得点したチームは悲願の優勝を遂げる。


ここは、ホームランを打って終わって欲しかった。


でも、当時の日本ではこの結末の方が受けたのかも。


(本作はアメリカの映画だけど、内容から当然日本市場がターゲットだろう)



メジャーへ復帰したジャックが監督の娘・ヒロ子を連れて帰国しているのはいかにも映画的なハッピーエンド。


恋愛自体は、時間を割いてる割に面白くはなかった。お色気を添えた感じ。



特訓も中途半端だった。


ジャックは序盤で右投手の逃げるシュートに苦しめられる。


内山監督はバッティングをさせずに走り込みとノックに取り組ませ、いつの間にかジャックは復活する。


下半身を鍛える、緩んだ身体を締め直すという目的だろうとは思うけど、特訓の描写はそれだけ。


アメリカ人の製作者としては、日本人に技術指導を受けてメジャーの元スター選手が復活するシーンなんて描きたくないんだろう。と、勘ぐってしまう。


恐らく、日本独特の配球かあるいは変化球でジャックは苦しんだんだろうから、攻略法を日本人が教えてもおかしくはないんだけど。


シュートと言ってるから、球種自体は日本独特ではないか。



長々と書いてしまった。B級だけど、野球好きなら珍味として楽しめる映画だと思う。





フィラデルフィア ★★★☆☆

1993米。125分。ジョナサン・デミ監督。トム・ハンクス。デンゼル・ワシントン。ジェイソン・ロバーズ。

一流法律事務所に勤務する弁護士ベケットは、HIVに感染したことを理由に解雇される。

ベケットは事務所を訴える。


トム・ハンクスは第66回アカデミー賞で主演男優賞を受賞している。


HIVへの理解が進み、多様性が謳われる今観ると、隔世の感…とまではいかなくても、社会の変化を感じる。





限りなき追跡 ★★★☆☆

1953米。82分。ラオール・ウォルシュ監督。ロック・ハドソン。ドナ・リード。フィル・ケリー。


南北戦争が終わり、ベン・ウォレンは、テキサスから彼に会いに来た許婚のジェニファーを迎えに行く。


しかし、駅馬車はスレイトン一味に襲われてベンは重傷をおい、ジェニファーは彼らに拉致された。


傷の癒えたベンはスレイトンを追う。



西部劇を観る度に、アメリカの広大な大地には夢とロマンを感じる。


同時に、危険も。


物語の舞台としてはとても魅力的で、西部劇がたくさん作られたのも分かる。



本作は南北戦争後の殺伐とした南部が舞台。


当時の雰囲気が伝わってきて興味深い。


ストーリーは盗賊から婚約者を取り戻そうとする個人の話で、難しいことは何もなくて分かりやすい。


追いついてからスレイトンと戦う流れが今の映画と似ていて、既視感があった。


既にこの頃から、今のハリウッド映画の原型があると実感した。


(ジェスとジェニファーの交換→スレイトンが裏切ってジェスを撃ち、逃げる→怒りのベンが追う→追い付いて撃ち合い→スレイトンが一人脱出→格闘→ベンがピンチに陥るが仲間の助けで仕留める→ベンとジェニファーがハグしてTHE END。)





弾丸を噛め ★★☆☆☆

1975米。131分。リチャード・ブルックス監督・脚本・製作。ジーン・ハックマン。キャンディス・バーゲン。ジェームズ・コバーン。ベン・ジョンソン。


1906年。アメリカ西部。


新聞社ウェスタン・プレスが主催する2,000ドルの賞金をかけた西部横断レースが開かれることになった。


カウボーイのクレイトン、一攫千金を狙う旧友のマシューズ、唯一の女性出場者ケイト等は総距離700マイル、制限日数は6日半、馬の乗り換えは禁止という過酷なレースに挑む。


タイトルの「弾丸を噛め」とは“苦しみに耐えてやりぬけ”という意味。


え西部開拓時代、負傷した男が麻薬のかわりに弾丸を噛んで手術の苦しみに耐えたという故事に由来する。


設定は魅力的で、大筋も良いんだけど、間延びしてるので所々退屈なのが惜しいところ。


結果として今一つの出来になってる。


ジャッキー・チェンの「キャノンボール」を思い出した。


その西部劇版のような映画。こちらの方が数年古いけど。





すずめの戸締まり ★★★☆☆

2022日。122分。新海誠監督・脚本・原作。

原菜乃華。松村北斗。深津絵里。染谷将太。伊藤沙莉。花瀬琴音。花澤香菜。神木隆之介。松本白鸚。


九州で暮らす17歳の岩戸鈴芽(すずめ)は、ある時山の中で不思議な扉を見つける。


やがて、日本各地で次々と扉が開き始める。


扉が開くとその向こう側からは災いがやって来るという。


すずめは扉を探しているという旅の青年・宗像草太と共に扉を閉める「戸締りの旅」に出る。



アニメ。


「君の名は。」の監督。ジブリかと思ったが違うそうだ。


正直、本作も「君の名は。」も面白さがよく分からないんだけど、絵はきれいでアニメって進化しているんだと実感した。


余談ながら、「天気の子」は面白かった。あくまで個人の感想ですが。


(それを言えば、このブログは全部そうですが)





サボタージュ ★★★☆☆

2014米。109分。デヴィッド・エアー監督・脚本(共同)。アガサ・クリスティ原作「そして誰もいなくなった」 。アーノルド・シュワルツェネッガー。サム・ワーシントン。オリヴィア・ウィリアムズ。ミレイユ・イーノス。


DEA(麻薬取締局)捜査官のジョン・ウォートンは、8人の部下から成る特殊部隊を率いる。


ある事件の失態で内部調査を受けていたが、久々に再結集した。


しかし、メンバーは謎の猟奇殺人犯に狙われ1人また1人と消されてしまう。



麻薬組織の復讐はエグい。反撃も。


シュワルツェネッガーも歳を取った。今も年齢なりに格好良い。





キャノンボール ★★★☆☆

1981米・英領香港。95分。ハル・ニーダム監督。バート・レイノルズ。ジャッキー・チェン。サミー・デイヴィスJr.。ロジャー・ムーア。


アメリカの東海岸から西海岸へ5000キロを走破するレースが開催された。


資格や乗り物の制限なし、交通ルールは無視。お互いの妨害あり。


運送会社を営むJ.J.マクルーア。


フェラーリに乗る元F1レーサーの神父。


財閥家の御曹司で俳優の“007”シーモア・ゴールドファーブJr。


ハイテクマシンに改造したスバルに乗る“日本人コンビ”ジャッキー・チェン。


ロールス・ロイスで参戦する“世界最速の王家”ファラフェル王家。


ランボルギーニを駆るセクシー美女コンビ。


等々、全米から集まったドライバーたちが予測不能のレースを繰り広げる。



「弾丸を噛め」を観て思い出したので、久々に観てみた。


コメディ。


実際に、北アメリカ大陸を市販車でどれだけ速く横断できるかを競う非公認レースがあって、モチーフにしている。


本作の監督と脚本家は映画の製作前に参加したそうだ。


ジャッキー・チェンはまだブレイク前。懐かしい。





スノーホワイト/氷の王国 ★★★☆☆

2016英・米・中。113分。セドリック・ニコラス=トロイアン監督。クリス・ヘムズワース。シャーリーズ・セロン。エミリー・ブラント。ニック・フロスト。ジェシカ・チャステイン。


「スノーホワイト」の続編。


前作でスノーホワイトとエリックによって滅ぼされた女王ラヴェンナには、「氷の女王」と呼ばれる妹・フレイヤがいた。


凍てつく北の大地で「氷の王国」を築いていた彼女は、姉の死を知って配下の軍団に「魔法の鏡」を奪ってくるよう命じる。


前作と同様に寒そうな舞台のファンタジー映画。


「白雪姫」といっても色々あるけど、本作にはディズニー映画やアンデルセン童話の暖かな感じはなく、グリム童話のちょっと怖くて残酷な雰囲気がある。


話はどうということもないけど、映像はさすがに最近の映画だと思った。





名探偵コナン 紺青の拳 ★★★☆☆

2019日。109分。永岡智佳監督。青山剛昌原作。

高山みなみ。山崎和佳奈。小山力也。山口勝平。松井菜桜子。山崎育三郎。河北麻友子。


舞台はシンガポール。


19世紀末に海賊船とともにシンガポールの海底に沈んだとされるブルーサファイア「紺青の拳」を巡って怪盗キッドとコナンたちが対決する。



怪盗キッドとコナンが直接話をする間柄になっていたとは知らなかった。


さすがに緊張感がなさすぎかも。








君たちが知っておくべきこと-未来のエリートとの対話- 佐藤優

兵庫県の有名な進学校である灘高校の生徒たちから寄せられた質問に、著者が答える形で講義が進む。

授業というよりはゼミのような形だったとか。

灘高校というのはすごくて、偏差値では上位0.1%に入るそうだ。

内容はとても興味深い。こんな本に、高校生の頃に出会いたかったと思った。

私はこんなすごい進学校の生徒ではなかったけど、学ぶことは多かっただろうと思う。

もちろん、大人になってから読んでも学びはある。

著者の外務省時代の話やエリート論、人生の先輩としてのアドバイス等が印象に残った。


その他

・ヨーロッパ的な学問というのはごく大雑把に言って、ユダヤ・キリスト教の一神教の伝統と、ギリシャの古典哲学のえ伝統とローマ教皇の伝統、その三つが合わさってできたものです。

・(略)ロシア語では「イエズス会」っていうとペテン師とか嘘つきという意味になったんだ。

・偏差値が高いとは(中略)ボリュームゾーンから外れているということだ。

・(略)心得ておいてほしいんだけど、ボリュームゾーンであるところの大衆を完全に敵に回した場合、エリートは敗れます。

・あと皆さんに重要なことは、やっぱり頭のいい人が書いたものを読むことです。(浅田彰「構造と力」等、何冊か例が出される)


巻末に「それでも日本人は「戦争」を選んだ」の加藤陽子教授と著者の対談が収められている。

「オシント(オープン・ソース・インテリジェンス:一般に公開された情報をもとに多様な情報を組み合わせて分析すること)」だけで、「ヒューミント(ヒューマン・インテリジェンス:人が直接観察、判断したり、人との接触で得られる情報全般)」は無くても物事を理解出来ると言って欲しい、という生徒の話はとても良く分かる。

それに対する著者の答えは説得力があり、更に加藤教授の指摘やそれに答えて著者の思いが語られる。

本書の内容を加藤教授が鋭く突っ込んでいて、とても面白い対談だった。

以前にこの「それでも日本人は~」も偶然読んでいたのだけれど、こちらは加藤教授が神奈川の栄光学園という進学校の生徒たちに講義をした本。

栄光学園は、神奈川県のとても偏差値の高い進学校だそうだ。




国家の罠 佐藤優

著者の本はこれまで何冊か読んだけれど、まだ最初の本(だと思う)である本書を読んでいなかったので読んでみた。

ぎっしりと字が詰まっているので、ページ数以上にボリュームを感じる本だった。

文章はとても読みやすい。

外交官の仕事振りや、外務省内部の問題、国策捜査の怖さなどがよく伝わってきた。

自身の逮捕がなぜ発生したか、国のレベルにまで及ぶ分析は読みごたえがあった。

学びの多い本だった。


以下、印象に残った点(意訳なのでひょっとしたらニュアンスの違うところがあるかも)

・ロシア人は原理原則を譲らない外国人を尊敬する

・利害が激しく対立するときに相手とソフトに話ができる人物は手強い

・日本人の実質識字率は5%だから、新聞は影響力を持たない。

・私が鈴木氏を裏切れば、ロシア人は今後、日本人外交官がどのような政治家をキーパーソンだと紹介しても信用しない。

・私が最期まで鈴木氏と一緒に沈めば、ロシア人は日本人外交官がこの政治家は信用できると言って紹介しても裏切られることはないと信用してくれる。


・これがロシア人の常識なのだ。

・ロシアはユーラシア国家で、西に向けた顔と東がある。
欧米のロシア専門家は、ロシアの東に向けた顔に関心がない。

・ロシアは欧州でもアジアでもない。

・ロシア人は酒の席でいつも人相見をする。

・旧ソ連時代から生き残っている政治家は例外なく酒が強い。

・外交官や特殊情報の参考書として弁護団に「スパイのためのハンドブック」ウォルフガング・ロッツ(他2冊)を推薦した。

※この本は昔、エンタメとして楽しく読んだことがあったので、こうした場で真面目な難しそうな本と一緒に出てきたのは意外だった。とても懐かしかった。

・政治家(を逮捕すること)に対するハードルは昔と比べて低くなっている。

・鈴木宗男氏は、日本がケインズ型の公平分配の論理からハイエク型の傾斜配分の論理への転換を実施する中で排除された。

・日本は「国際協調的愛国主義」から「排外主義的ナショナリズム」へ転換しつつある。

・ナショナリズムにはいくつかの非合理的要因がある。

「自国・自民族の受けた痛みは強く感じ、逆に与えた痛みはあまり強く感じず、すぐに忘れる」

「より過激な主張がより正しい」

・できることと好きなことは違う