【今回見た映画】

リトル・ミス・サンシャイン(2006米)

シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜(2012仏)

燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020香港)

斜陽のおもかげ(1967日)

ドラゴンロード(1982英領香港)


吸血鬼ノスフェラトゥ(1922独)

白河夜船(2015日)

ワンダフルライフ(1998日)

マッハ’78(1978日)

劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ(2024日)





リトル・ミス・サンシャイン ★★★★☆

2006米。100分。ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス監督。
グレッグ・キニア。スティーヴ・カレル。トニ・コレット。ポール・ダノ。アビゲイル・ブレスリン。アラン・アーキン。


アリゾナに住むフーヴァー家には、問題が山積み。


妻・シェリルの兄・フランクはゲイで学者。自殺未遂を起こした後、一緒に暮らしている。


前夫との子供であるドウェーンは15歳。空軍士官学校に入る夢を実現させるまで「沈黙の誓い」を立てていて、家族とは筆談で会話する。


夫・リチャードの父・エドウィンは老人ホームでヘロインを使用していて追い出され、それ以降同居している。


7歳の娘(エドウィンの孫)・オリーブとは仲良し。


そんなある日、オリーブがカリフォルニア州レドンドビーチで開催される美人コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」の予選に通過したとの通知が入る。


家族はおんぼろのミニバスを駆って一路カリフォルニアへ旅立つ。



第79回アカデミー賞では脚本賞、助演男優賞(アラン・アーキン)を受賞。


作品賞は「ディパーテッド」(2006米。マーティン・スコセッシ監督。レオナルド・ディカプリオ他)。


コメディ。ホームドラマ。ロードムービー。


車の故障とか、おじいさんの亡くなるところやオリーブに伝授したダンス、会場での顛末などドタバタ続き。


このハチャメチャさはアメリカ映画らしい。


問題だらけでうまく行かないことばかりなんだけど、みんな前向きで、支え合って進んでいく。


見ていると心が暖かくなって、元気が出る。





シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜 ★★★★☆

2012仏。85分。ダニエル・コーエン監督。ジャン・レノ。ミカエル・ユーン。サロメ・ステヴナン。


料理人のジャッキーは天才だがこだわりが強くてトラブルばかり。ついには料理人をやめてペンキ塗りの仕事をしていた。


パリの三ツ星レストラン「カルゴ・ラガルド」のベテランシェフ・アレクサンドルはスランプに陥り、星を失う危機に直面していた。


そんなある時、アレクサンドルはひょんなことからジャッキーに出会ってスカウト。


「カルゴ・ラガルド」を守るために奮闘する。



軽い感じのコメディ。85分と短めで、気軽に楽しめる。


以前にフランスのコメディを見たときに、笑いのセンス違いを実感したんだけど、本作ではそんなこともなく。これは面白かった。


ジャン・レノがベテランシェフの役。結構ハマってる。


さすがフランス人、おしゃれな料理も似合うと勝手なイメージながら思ってしまった。





燃えよデブゴン/TOKYO MISSION ★★★☆☆

2020香港。96分。谷垣健治監督。ドニー・イェン。ニキ・チョウ。テレサ・モウ。竹中直人。


香港警察の熱血刑事チュウ・フクロンは銀行強盗逮捕の騒動で責任を取らされ左遷。恋人で女優のソン・ホーイにも振られてしまう。


や自暴自棄になってやけ食いを続けたフクロンは激太り。6ヶ月後には120kgになってしまった。


強盗事件の容疑者を日本まで連行する任務についたフクロンは、ヤクザの麻薬抗争に巻き込まれ、日本警察と協力して捜査を進めていく。


「燃えよデブゴン」(サモ・ハン・キンポー監督・主演)のリブート作品(wikiより)。


アクションコメディ。


サモ・ハン・キンポーの体型と切れはすごかった、と本作を見ながら懐かしく思い出した。


本作も、アクションは良かったし、楽しい映画だった。


ドニー・イェンの体型変化はすごい。食べるの大変だっただろうな。


おデブの相方はいない方が良かったかも。


ドニー・イェンが太ったインパクトが薄れる気がするので、普通体型かやせ型の人でいいと思う。





斜陽のおもかげ  ★★★☆☆

1967日。92分。斎藤光正監督。太田治子原作。吉永小百合。岸田森。芦田伸介。檀一雄。


木田町子の母は作家・太宰治の愛人だった。


町子のことは太宰治「斜陽」に描かれ、世間の目に晒されてきた。


恋人・圭次の母に交際を反対され、就職試験で落とされる等、町子には宿命が重くのしかかる。


そんな時、圭次遭難の電報が届く。



重たい話。吉永小百合でこんな映画があったとは知らなかった。


幅を広げていたのかも。


原作は未読。興味深く、面白い話だった。


生まれということについて考えさせられた。





ドラゴンロード  ★★★☆☆

1982英領香港。95分。ジャッキー・チェン監督・主演・脚本(共同)。マース。


辛亥革命の頃。香港郊外のある村。


村の名士の御曹司であるロンとジムは大の仲良しで、サッカーに似た村のオリジナル球技に夢中になっていた。


ロンはシャオリーという村娘に一目惚れするが、彼女はつれない。


そんなある時、ロンとジムは盗賊団の企みに巻き込まれる。


カンフーに恋愛と球技を足して青春ものっぽくなってる。


ジャッキー・チェンが、そんな青春ものの雰囲気にも似合ってる。





吸血鬼ノスフェラトゥ ★★★☆☆

1922独。94分。F・W・ムルナウ監督。マックス・シュレック。グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム。グレタ・シュレーダー。アレクサンダー・グラナック。

1838年、北ドイツの港町ヴィスボルグに住むトーマス・ハッターは雇用主の命令で家を購入するためにトランシルヴァニアのオルロック伯爵に会いに行く。


そこでは謎の疫病が流行っており、ハッターはオルロック伯爵の正体が吸血鬼なのではないかと疑う。



白黒。無声映画。


製作は東西に分かれる前のドイツ。まさに歴史的作品だ。


今見ると、さすがに表現の制約(技術的な)が多すぎて分かりづらい。


しかし、昔の人の創作にかける情熱が伝わってくる。





白河夜船  ★★☆☆☆

2015日。91分。若木信吾監督・脚本(共同)。吉本ばなな原作。安藤サクラ。井浦新。谷村美月。紅甘。


眠り続ける妻を持つ岩永と、不倫を続ける寺子。


そんなある日、親友のしおりが亡くなる。


彼女は男に添い寝をする商売をしていた。



原作は昔、吉本ばななが流行っていた頃に読んだ。


映画は見ていなかったので、どんな映画だったんだろうと思って見てみた。


本の方が良かったかな。個人的に。


1時間半しかないのに、長く感じた。



それより、私は主役の女優さんがあまり好きじゃなくて、それを越えるほどには面白くなかった。というのが正直なところ。


これは、私の勝手な感想なので、ご本人のせいではない。


以前に「ブラッシュアップライフ」というドラマがあった。(2023年。日本テレビ)


面白かったんだけど、タイムリープを繰り返して過ちをやり直そうとする話だったので、同じようなシーンが何回も出てきて、後半は飽きてしまった。


主人公のモノローグがとても多いドラマで、もちろんこの話には主人公がそうやって視聴者に説明するのが必要なんだと分かってはいるんだけど、後半になるとドラマへの飽きも相まって、この女優さんの声と喋り方が嫌いになってしまった。


それならドラマ自体、見るのを止めればいいんですけど・・結末が気になって毎回見ていた。笑


なので、この映画を見ていると女優さんが喋るたびに「あのドラマ、しつこくてイライラしたなあ」と思い出してしまって。あまり楽しめなかった。


これもまた、見るのを止めればいいんですが。何となく最後まで見てしまった。


・・という、女優さんにも本作にも全然責任のない、八つ当たりみたいな話でした。


色んな方面に申し訳ないような、勝手な話。笑





ワンダフルライフ ★★★☆☆

1998日。118分。

是枝裕和監督・脚本。ARATA。小田エリカ。寺島進。内藤剛志。谷啓。伊勢谷友介。由利徹。木村多江。


天国の入口にたどり着いた人は、タイムリミットの7日間で大切な思い出を1つだけ選ぶ。


その思い出は、職員によって映画となって再現される。


記憶が頭の中に鮮明に蘇った瞬間、彼らはその「一番大切な記憶」だけを胸に死後の世界へと旅立っていく。



是枝裕和監督ということで、見てみた。


過去作品はあまり見ていなかったので。


キャッチーな始まり方で、引き付けられた。


ドキュメンタリー風に撮るとは、攻めた作り方だと感じた。


それでも、中盤では飽きてきた。意外と興味が持続しないテーマなのかも。


それか、話が地味過ぎるせいかもしれない。淡々としてる。


とは言え、生と死、残りの人生について、どう生きていこうか等々、考えさせる映画だった。


見る人や、同じ人でも時によって、色んな違うものが汲み取れる。





マッハ’78 ★★★☆☆

1978日。102分。スタンリー・ウィルソン、三保敬太郎監督。スタンリー・ウィルソン、三井優脚本。黒子昭企画・出演。大友千秋。


アメリカ人の父と日本人の母を持つ大友千秋は黒子昭率いるクロス・レーシングチームの一員としてアメリカへ遠征。


全米各地でアメリカのスタント・チームと熱い戦いを繰り広げる。



本作が公開された1978年は日本がスーパーカーブームだった頃。


スタントシーンは特撮やCG(この時代には無い)ではなく、全て実走。失敗シーンも多数。


引きの絵ばかりなのは仕方ないとしても、すごい迫力がある。


車好き、特に旧車好きな人なら今見ても刺さりそう。


と言うか、当時でも車に興味がないとさすがに無理かも。


デートで彼氏に付いてった車に興味の無い彼女とかいただろうな、と想像してしまった。逆もあるか。



ストーリーは添え物。ドキュメンタリー映像に後から付け加えたような印象。


主人公は金髪美人とデートしたり、恋愛要素も一応ある。


当時の不良少年たち(が主なターゲットだったと思う。ブームの頃だからもっと幅広いかもしれないけど)へのサービスかも。



後から知ったけど、あの怪作マンガ「邦キチ!映子さん」で取り上げていたそうだ。


これまで読んだ中にはなかったと思うので、探して読んでみたい。





劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ ★★★

2024日。111分。綾部真弥監督。市原隼人。大原優乃。いとうまい子。高畑淳子。小堺一機。石黒賢。


1989年・冬。北海道・函館の忍川中学に転勤した甘利田幸男は相変わらず給食のために学校へ通う日々。


生徒の粒来ケンは密かな食のライバル。


そんな中、忍川中学は給食完食のモデル校に選定される。町長選挙を前に甘利田の愛する給食が政治利用されようとしていた。


甘利田はおいしい給食を守るために立ち上がる。



元々はテレビ神奈川のドラマ。映画版第3弾。


キー局ドラマの再放送かと思っていた。tvkのオリジナルドラマだとは、今回wikiを見て初めて知った。


何度か見て、市原隼人の怪演振りに驚いた記憶がある。


こんなに続いているシリーズだとは知らなかった。


ちょっとテレ東的な、何となく見てしまうドラマ。


映画も何となく最後まで見てしまった。結構面白い。


低コストでも工夫次第で面白いものは生まれるんだと思った。コスパはものすごく良いかもしれない。


等々力町長に甘利田が語るセリフが印象に残った。


出された食事は食べろ

出された酒はのめ

個人の好き嫌いは許さない

そんなのは豊かな世の中とは言えない

豊かさとは個人の自由を尊重するということだ



私が子供の頃は給食の“完食”は当たり前に強制されていて、昼休みまで食べている子はたまにいた。


私も食べられなくてこっそり隠したり捨てたことはある。


あんな食事は二度とごめんだと思う。


もちろん、おいしいメニューもあって、良い思い出もあるけど。










【今回見た映画】

リボルバー・リリー(2023日)

空気人形(2009日)

ヤングマスター/師弟出馬(1980英領香港)

サリヴァンの旅(1942米)

奇蹟/ミラクル(1989英領香港)


やくざ先生(1960日)

ファイナル・ドラゴン(1977英領香港)

プロテクター(1985英領香港・米)

花ひらく娘たち(1969日)

シャーロック・ホームズ(2009英・米・豪)





リボルバー・リリー ★★★★☆

2023日。139分。行定勲監督。長浦京原作。綾瀬はるか。長谷川博己。羽村仁成(ジャニーズJr.※現ジュニア)。シシド・カフカ。古川琴音。清水尋也。ジェシー(SixTONES)。佐藤二朗。吹越満。内田朝陽。板尾創路。橋爪功。石橋蓮司。阿部サダヲ。野村萬斎。豊川悦司。


大正13(1924)年。


東京の歓楽街・玉ノ井でカフェを営む小曾根百合は、かつて「リボルバー・リリー」異名を取る腕利きの女スパイだった。


海軍の軍人・山本五十六宛ての極秘書類を持った少年を助けたことから、彼女は陸軍の精鋭部隊から追われることになる。



原作は未読。スケールの大きな話だった。


綾瀬はるかが格好良い。


恋愛ものを卒業(休憩?)しても、アクションで主役が張れるのはすごい。


欲を言えば、もっと見たかったくらい。


映像がきれいで、音も良かった。


銃の音が古臭く聞こえて、こんなところも工夫しているんだと思った。





空気人形 ★★★★☆

2009日。116分。是枝裕和監督・脚本。業田良家原作。ペ・ドゥナ。板尾創路。ARATA。高橋昌也。余貴美子。星野真里。柄本佑。寺島進。オダギリジョー。富司純子。


秀雄のラブドール・「のぞみ」は、ある日心を持ってしまい、街に出る。


虚しさを抱えた様々な人と出会う。



是枝裕和監督ということで見てみた。原作マンガは未読。


設定はちょっと気持ち悪いんだけど、ぎこちなく行動する人形はどこか愛嬌があって可愛らしい。


昔のロボットものに出てきそうなキャラ造形に見えた。


指先を傷つけてしまい、空気が抜けて動けなくなるところなんかも、エネルギーを失ったロボットのようだった。


鉄腕アトムとかのオマージュか?と思った。それくらい、既視感があった。


(この映画を見てる人で、アトムを見たり読んだりしてた人はさすがに少ないか。今ならサブスクとかで見れたりするのかもしれない。マンガはもちろんのこと、アニメもシナリオとテンポが良くて、白黒だけど今見ても十分楽しめる。もし、見れる環境にあればおすすめしたい作品だ。)


ペ・ドゥナの演技が良くて、話し方や動き方も上手かった。人形やロボットの、作り物のような動き。


以前にテレビドラマでやっていた「ボッコちゃん」も思い出した。ボッコちゃんの役は水原希子だった。これも良かった。



人形の「のぞみ」が出会う人たちは、リアルな人間の一部分を切り出して拡大・強調したみたい。


ビデオ屋の店長や純一、持ち主の秀雄とのやり取りから、「のぞみ」は「心を持たなければよかった」と悩む。


人形師・園田との会話は哲学的。「心」とか、「生きる」ことそのものを考えさせる。


「生んでくれて、ありがとう」


「こちらこそ、ありがとう。行ってらっしゃい」


という言葉は暖かい。


オダギリジョーがいい。



純一の望みは、「のぞみ」の空気を抜くこと。


これも、濡れ場ってことになるのか。セクシーだったけど、とてもシュールだ。


そして今度は、純一の番。グロさは押さえ目だったけど…。


こちらも、とてもシュール。


どこか心に残る、刺さる映画だった。





ヤングマスター/師弟出馬 ★★★☆☆

1980英領香港。106分。ジャッキー・チェン監督・主演・原案。ユン・ピョウ。ウォン・インシク。シー・キエン。


孤児のドラゴンとタイガーは名門の武術道場「金龍道場」に拾われて育った。


しかし、正月の獅子舞合戦でタイガーはライバルの「黒龍道場」に買収され、「金龍道場」を裏切ったために破門される。


強盗団に加わったタイガーを取り戻すため、ドラゴンは後を追って旅に出る。



ジャッキー・チェンがロー・ウェイからゴールデン・ハーベストへ移籍した後の第1作。


香港において興行収入1128万2026香港ドルと当時の史上最高額を記録した。(wiki)



移籍にあたってはトラブルがあったが、後に和解した。


ジャッキー・チェンのことをネットで見ていると、移籍でゴタついた話がよく出てくる。有名な話らしい。


「酔拳」「笑拳」(1978年)の2年後で、雰囲気も似てる。


格闘シーンはもちろん、冒頭の獅子舞のシーンなどアクションはジャッキー・チェン他の体術がよく分かって見応えがあった。









サリヴァンの旅 ★★★☆☆

1942米。90分。プレストン・スタージェス監督・脚本・製作(共同)。ジョエル・マクリー。ヴェロニカ・レイク。ロバート・ワーウィック。ウィリアム・デマレスト。


ジョン・サリヴァンはコメディ映画の監督として成功を収めるが、それに飽きたらず社会派映画を作りたいと浮浪者に扮して貧困層の取材旅行に出る。


スタッフたちはそんなサリヴァンをドキュメンタリーの題材にしようとカメラを手に尾行。

そうとは知らないサリヴァンは、途中で女優志望の美女と知り合い、意気投合して旅を続ける。



白黒。


スクリューボール・コメディと言うそうだ。


wikiを見ると、


1930年代初頭から1940年代にかけてハリウッドでさかんに作られたコメディ映画のサブジャンル。


常識にとらわれない登場人物、テンポのよい洒落た会話、つぎつぎに事件が起きる波乱にとんだ物語などを主な特徴とする。


「スクリューボール」は当時のクリケットや野球の用語で「スピンがかかりどこでオチるか予測がつかないボール」を指し、転じて突飛な行動をとる登場人物が出てくる映画をこう呼ぶようになった。


とのこと。初めて知った。


代表的な映画として「或る夜の出来事」(1934米。フランク・キャプラ監督)、「赤ちゃん教育」(1938米。ハワード・ホークス監督)が挙がっているので、これらを見た時に目にしていてもおかしくないんだけど、記憶になかった。



本作は確かに、「常識にとらわれない登場人物、テンポのよい洒落た会話、つぎつぎに事件が起きる波乱にとんだ物語」だった。


80年以上前の映画だけど、今見ても楽しめる。


映像はそういうものだと割りきるしかないけど、テンポが早いのが大きい。





奇蹟/ミラクル ★★★☆☆

1989英領香港。127分。ジャッキー・チェン監督・脚本(共同)。アニタ・ムイ。グロリア・イップ。ウー・マ。トン・ピョウ。リチャード・ン。


フランク・キャプラ監督「一日だけの淑女」、及びそのリメイク作「ポケット一杯の幸福」をリメイク。


舞台は20世紀初めの香港。


田舎から職探しに出てきた貧しい青年・コウは貧しい老婆から一輪の花を買ったところ、立て続けに幸運に恵まれ、ギャングのボスを助けたことからついにその後継者になる。


コウは老婆のもとへお礼に訪れたところ、老婆はピンチに陥っていた。


老婆は大学寮にいる一人娘に、自分は金持ちと結婚して裕福な生活をしていると嘘をついていた。


一人娘から、交際相手の貴族と一緒に帰省すると連絡があった。このままでは嘘がバレてしまう。


コウは老婆への恩返しに一肌脱ぐことにする。



人情コメディ。


「一日だけの淑女」、「ポケット一杯の幸福」は見ていない。


それでも、フランク・キャプラ監督らしいと感じられる話だった。


素朴な良い話。アクションは控えめ。





やくざ先生 ★★★☆☆

1960日。105分。松尾昭典監督。石原裕次郎。宇野重吉。新田昌玄。河上信夫。北原三枝。


戦災孤児を中心とした非行少年たちが30人ほど所属する厚生施設・愛隣学園に、この学園の出身で元不良少年の新田悠三が赴任する。


悠三は非行少年たちと正面からぶつかり合い、心を通わせていく。



青春もの。


元・不良少年が教師になって体当たりで生徒の心をつかんでいく。


割りとよく見る設定の、年代的に原点のような作品かと思う。


個人的には「GTO」の反町隆史やアキラを思い出してしまった。


本作の裕次郎は、いつもの“弟的”なやんちゃなキャラではなく、“兄貴分”としてみんなを引っ張ろうとするキャラになっている。


これもまた、とても魅力的だった。





ファイナル・ドラゴン ★★☆☆☆

1977英領香港。95分。ロー・ウェイ監督。ジミー・ウォング。ジャッキー・チェン。


侠客の梅星河は「天魔剣」で有名な花無病(ジャッキー・チェン)に会いに行くが、彼は病に伏せっていた。


梅星河は花無病から、自分に毒を盛った妻から解毒剤を奪い、更に彼女を殺してほしいと依頼される。


ジャッキー・チェン主演となっていたけど、全然出てこない。


有名になってからクレジットが変わったんだろう。


カンフーなどの、アクションシーンもなし。


肩透かしだった。





プロテクター ★★★☆☆

1985英領香港・米。87分。ジェームズ・グリッケンハウス、ジャッキー・チェン監督(複数バージョン有り)。ジャッキー・チェン。ダニー・アイエロ。ムーン・リー。ロイ・チャオ。


ニューヨーク市警の刑事ビリーはファッションショーの警備を担当するが、ショー主宰者の娘・ローラが誘拐されてしまう。


誘拐は香港マフィアのボス、コーによるものだと突き止めたビリーはローラを無事に救出する。


しかし、ビリーの相棒・ガローニが敵に捕まってしまう。



こちらは、若きジャッキー・チェンのカンフーもの。ジャッキーのアクションが堪能できる。


クライマックスの、高所での戦闘は手に汗を握る。


きっと、危険な撮り方をしてるんだろうと思うとハラハラする。迫力満点だった。



製作過程でジェームズ・グリッケンハウス監督と主演のジャッキー・チェンは考え方の違いで対立、アジア圏で公開するバージョンはジャッキーが監督となって撮り直した。


そのため、本作はグリッケンハウス版とジャッキー・チェン版が存在するそうだ。





花ひらく娘たち ★★★☆☆

1969日。83分。斎藤武市監督。石坂洋次郎原作。吉永小百合。和泉雅子。浜田光夫。渡哲也。杉良太郎。沖雅也。宇野重吉。


柿崎家の大人しい姉・民子と活発でボーイフレンドにはこと欠かない妹・加奈子は、弟・新助、大助がそれぞれ発案したお見合いをする。


偶然にも日にちが重なったお見合いの相手、一雄と忠吉は、高校時代の同級生だった。


紆余曲折を経て、民子と加奈子は一緒に結婚式を挙げる。



吉永小百合の映画は、本作に限らずよく際どい単語を言わせてる。


本作ではキスシーンも出てきた。


当時のファンに向けたサービス?なのかと思うけど、結構意外だった。


時代と、吉永小百合のキャラにそういうイメージがなかったので。


さすがに、露出の多い服装はあまり見ないけど。


と、書いたところで思い出した。そういえば一度、「あすの花嫁」で水着姿が出てきた。


あの時は少し驚いた。


(タイトルは覚えてなかったので、過去のブログを読み返しました笑)



それはともかく、本作の吉永小百合は可愛らしかった。前半の照れてるシーンとか。


出演作が多いだけに、全然可愛いorきれいに見えない映画もあるんだけど。あくまで個人的な感想ですが。


あと、隣にいるのはやっぱり浜田光夫より渡哲也の方が似合う。


この映画では恋人同士にはならなかったけど。



吉永小百合演じる民子とは対照的な、和泉雅子演じる加奈子のキャラも可愛らしく、こちらもきっと受けたんだろうと思った。





シャーロック・ホームズ ★★★☆☆

2009英・米・豪。128分。ガイ・リッチー監督。ロバート・ダウニー・Jr。ジュード・ロウ。レイチェル・マクアダムス。マーク・ストロング。


19世紀末のロンドン。


私立探偵・シャーロック・ホームズと医師・ワトソンは黒魔術で5人の女性を殺害したブラックウッド卿の逮捕に貢献する。


しかし、処刑されたはずのブラックウッドが蘇り、再び殺人事件が発生する。



「新解釈」と付けたくなるような、新しいシャーロック・ホームズ。


ガイ・リッチー監督らしいキャラ付けだとか。


おなじみの推理力とアクション性が合わさって、新鮮で面白かった。


テンポも早くていい。




【今回見た映画】

ワンダとダイヤと優しい奴ら(1988英・米)

バースデーカード(2016日)

SHAME -シェイム- (2011英)

ワイルドガン(2015加)

モネ・ゲーム(2012英・米)


男なら夢をみろ(1959日)

いぬのえいが(2005日)

野獣捜査線(1985米)

ロマンシング・アドベンチャー/
キング・ソロモンの秘宝(1985米)

サンダーアーム/龍兄虎弟(1986英領香港)





ワンダとダイヤと優しい奴ら ★★★☆☆

1988英・米。108分。チャールズ・クライトン監督・原案(共同)。ジョン・クリーズ。ジェイミー・リー・カーティス。ケヴィン・クライン。マイケル・ペイリン。パトリシア・ヘイズ。


ジョージは忠実な部下のケンと共にアメリカ人のセクシーな詐欺師ワンダ、ヒットマンのオットーと組んでロンドンの宝石店から1300万ポンドを盗み出した。


しかし、ワンダとオットーはジョージを裏切って警察に通報、ジョージは捕まってしまう。


ダイヤを持ち逃げしようとしたワンダとオットーだが、ダイヤはジョージによって隠し場所を変えられていた。


ワンダは色仕掛けでジョージの弁護士・アーチーからダイヤの隠し場所を聞き出そうとするが…。



コメディ。


イギリスの笑いはよく分からないところもあるけど。と言うか、笑わせたいんだろうけど面白くないなあ、と思うところがよくあった。


そういえば、以前にフランスのコメディを見たときも同じ様に感じた。タイトルは忘れてしまったけど。


あと、ワンダが全然魅力的に見えない。これは好みの問題か。


邦題が良かった。色々と想像が広がっていくようなタイトルだった。


実際の内容は、思ったのと大分違ったけど、それはそれで良いのだと思う。





バースデーカード ★★★☆☆

2016日。123分。吉田康弘監督・脚本。橋本愛。宮﨑あおい。ユースケ・サンタマリア。須賀健太。中村蒼。木村多江。


内気な少女・紀子が10歳の時に優しくて明るい母・芳恵は亡くなってしまう。


芳恵は亡くなる前に、子どもたちが20歳になるまで毎年バースデーカードを贈る約束をしていた。


約束の通り、紀子たちの誕生日に母からの手紙が届く。


そして20歳を迎えた最後の手紙には、紀子が10年前に尋ねた質問への答えが記されていた。



いい話。


とても地味。主要キャラに下手な人がいると壊れてしまいそうな感じ。


母が19歳の娘に手紙を書けなくなって、一方の娘は縛られたくないと読まずにいるところは見ていてリアリティを感じた。


実際に、こんな状況に出会ったことはもちろんないけど。



こういう、人の心の機微を描く映画は邦画が一番響く気がする。


海外の映画なら、欧米より東洋の映画。


出来の良し悪しより、受け手と感覚が近いのかと思う。こんなことを思うのは私だけかもしれないけど。



橋本愛は、出演作のイメージが何となく二階堂ふみと被る。


この映画も、二階堂ふみだったらどんな感じだろうと考えてしまった。


これも、こんなことを思うのは私だけかもしれないけど。


後半はもっと泣かせに来るのかと思ったら、意外とあっさりしていた。


結婚式のシーンはさすがにじーんとしたけど。


21歳の誕生日に、母・芳恵に代わって彼(純)が手紙をくれたのは良かった。


内容がシンプルすぎて、笑ってしまうのもいい。





SHAME -シェイム- ★★★☆☆

2011英。101分。スティーヴ・マックイーン監督・脚本(共同)。マイケル・ファスベンダー。キャリー・マリガン。ジェームズ・バッジ・デール。


ニューヨーク。


エリートビジネスマンで独身のブランドンはセックス依存症で、娼婦や行きずりの女性を求めたり、自慰に耽る生活を送っていた。


そこへ、恋愛依存症でリストカット癖のある妹・シシーが転がり込んでくる。


情緒不安定なシシーとの生活はうまくいかず、2人の関係は悪化していく。



依存症を抱える兄妹の話。


こういう題材は邦画だとあまり見ない気がする。



興味深い内容だった。出来れば、内面の悩みなどをもっと掘り下げてくれたらと思った。


映画だとこれ以上は難しいのかもしれない。


内面を描くならやっぱり小説が一番向いていると思う。



その代わり、本作では映像の力を感じた。


部屋に帰ったブランドンが血塗れのシシーを見つけるショッキングなシーンは、映像ならではだと思う。


言葉より強く響くこともあると、改めて感じた。





ワイルドガン ★★★☆☆

2015加。90分。ジョン・カサー監督。キーファー・サザーランド。ドナルド・サザーランド。ブライアン・コックス。マイケル・ウィンコット。アーロン・ポール。デミ・ムーア。


ガンマンのジョン・ヘンリー・クレイトンは母の死をきっかけに銃を捨て、牧師の父親が暮らす故郷へ帰るが、町では鉄道計画が立ち上がってギャングが立ち退きを強制していた。


ジョン・ヘンリーは町の人々を守るため、再び銃を取る。



西部劇。


内容は古き良き西部劇が好きな人向けな感じ。


感覚だけど、西部劇は1950~1980年代ぐらいまでの映画がたくさんある気がする。


wikiを見てみたら、全盛期は1950年代だそうだ。そんなに前だったとは。



サザーランド親子がそっくり。





モネ・ゲーム ★★★☆☆

2012英・米。89分。マイケル・ホフマン監督。コリン・ファース。キャメロン・ディアス。アラン・リックマン。スタンリー・トゥッチ。

ハリー・ディーン


メディア王ライオネル・シャバンダーに仕える美術鑑定士のハリー・ディーンは、彼が探し求める画家モネの幻の代表作「積みわら・夕暮れ」の贋作を使って大金を巻き上げることを計画する。


しかし、ハリーは悪知恵は働くものの、いざとなると実行ばかりで…。



コメディ。


コリン・ファースが真面目な顔で失敗ばかりしているのが楽しい。





男なら夢をみろ ★★★☆☆

1959日。90分。牛原陽一監督。芦川いづみ。葉山良二。滝沢修。川地民夫。


終戦直後。浮浪児だった夏雄と健太郎は親友同士だった。


離れ離れになって10年後、2人は再会する。


夏雄はヤクザになり健太郎は法学部の学生になっていた。



タイトルが「見ろ」になっているサイトもあるけど、「みろ」が正解らしい。


無国籍アクション風。


裕次郎がヤクザ役。若くてまだ細い。


スラッとして足が長く、一人だけ別次元のスタイルの良さ。これは大スターになった訳だと改めて思う。





いぬのえいが ★★★☆☆

2005日。96分。全11編から成るオムニバス。

「A Dog's Life」黒田昌郎監督。

「うちの子No.1」祢津哲久監督。

「CMよ、どこへ行く」黒田秀樹監督。

「ポチは待っていた」犬童一心監督。

「恋するコロ」佐藤信介監督。

 「犬語」永井聡監督。

「ねぇ、マリモ」真田敦監督。

他。

中村獅童。伊東美咲。天海祐希。小西真奈美。宮崎あおい。


CMプランナーの青年・山田はドッグフードのCMを手掛けたことから、彼が少年時代に可愛がっていた柴犬のポチを思い出す。



動物の映画ということで、泣きと感動の話か、あるいはほのぼの系か、と思って見たらとりあえずみんな入っていた。コメディ要素も多少ある。


結構しょうもない(良くも悪くも)内容で、肩の力を抜いて気楽に見られる映画。


共感できる部分も多々あった。


ただ、これを映画館で見たいかと言われたら、さすがに…。


オムニバスというより、寄せ集めに見えてしまう。


出演者は豪華なので製作費はかかっているだろうし、これで商売になったんだろうか。


伊東美咲、乙葉が出てきて懐かしかった。あとは小西真奈美も最近あまり見ないかも。





野獣捜査線 ★★★☆☆

1985米。101分。アンドリュー・デイヴィス監督。チャック・ノリス。ヘンリー・シルヴァ。バート・レムゼン。デニス・ファリーナ。ロニー・バロン。


シカゴ市警の部長刑事エディは、コマチョ率いるマフィア組織の麻薬取引現場を突き止めるが、そこにルナ率いる敵対組織が乱入して証拠となる麻薬と金が強奪されてしまう。


コマチョ一味は強奪をはたらいたルナの組織、家族を殺害。


エディはルナの娘を救いだしたが再び奪われてしまう。


相棒が負傷し、エディはたった1人で救助に向かう。


男くさい主人公。


捕らわれるヒロイン。


変な新発明(警察ロボット)。


アクションの数々も、全てが80年代を彷彿とさせる、古くさい映画だった。


だが、それがいい(この言い方も大概古いけど)。


今見ても楽しめる、良いエンタメだった。


さすがに、今見ると(当時から?)B級感が漂うのはしょうがない。





ロマンシング・アドベンチャー/
キング・ソロモンの秘宝 ★★★☆☆

1985米。100分。J・リー・トンプソン監督。

リチャード・チェンバレン。シャロン・ストーン。ハーバート・ロム。ジョン・リス=デイヴィス。


ジェシー・ヒューストンはソロモンの秘宝を探索したまま行方不明になった父・ヒューストン教授を探すため、冒険家アラン・クォーターメインと共にアフリカへ向かう。


しかし、そこには秘宝を狙うドイツ軍のボックナー大佐とトルコ人のドカディが待ち受けていた。



同じ時期(第1作は1981年公開)の「インディ・ジョーンズ」を思い出すような映画。


昔、テレビで見たと思う。


wikiを見たら何度も放送されていた。


内容は受けそうだし、シャロン・ストーンはきれいだし、で視聴率が取れたんだろうと思う。


「氷の微笑」や「トータル・リコール」とは違って可愛らしい役柄なのも新鮮味があったのかも。


本作も、今見ても楽しめる良いエンタメだった。





サンダーアーム/龍兄虎弟 ★★★☆☆

1986英領香港。98分。ジャッキー・チェン監督・主演。アラン・タム。ロザムンド・クワン。ローラ・フォルネル。


冒険家“アジアの鷹・ジャッキー”は、世界支配を目論む邪教集団に誘拐された親友アランの恋人ローラを助けるため、数千年前に世界中に飛び去った5種の“神の武器”を追い求める。



ジャッキー・チェンの映画って日本でも人気だったと思うけど、この映画は見たことがなかった。


1986年公開というと、何をしてた頃だろう。まあそれはいいか。


撮影中にジャッキーが大怪我を負ったことでも有名なんだそうだ。


エンドロール中のNG集に、救急車へ運び込まれるシーンが入っていた。痛々しい。



映画自体は他の有名作品と同様に面白かった。コメディあり、アクションあり。


特に、若い頃の体の動きは本当にお見事。見入ってしまった。


良いシーンがスローモーションになっていたけど、“しっかり見て”って気持ちもわかる。


一方で、通常通りに流してくれたらどうだったのかって好奇心もある。


ホテルでのすれ違いコントな展開は、昔のアンジャッシュを思い出した。


ローラ・フォルネルがきれい。