そろばん | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

そろばんを独学している。

じつはかつて1度挫折した。

そのときは足し算と引き算までで、

掛け算となるともうわけがわからず、

お手上げとなった。



今回はすでに掛け算を終了してる。

わずか1週間たらずで、である。

前回掛け算に手も足も出なかったわたしが

答えが6桁になるような問題を平気で解いているのは、

われながらすごいと思う。

でも、本当にすごいのはわたしではない。

前回と今回と何が違ったのか。

教科書である。

そう、本当にすごいのはこいつである。



子ども向けに書かれた本で、

これは大人が読んでもわかりやすいという

口コミを信じて買ったのが、

もう何年も前の話。

それからずっと本棚のすみに飾ってあった。

最近になってこれではいけないと

やっと重い腰を上げてみたところ、

めちゃくちゃわかりやすい本であることが

遅ればせながらわかった。



そろばん用語はほとんど使わない。

起こりうるパターンごとに

計算の説明と問題が用意されている。

説明はすべて図解。

ひとつひとつ追っていけば理解できるように

並べられている。

問題のひとつひとつには隙がない。

ちゃんと意図をもって用意された問題であることが

解きながらわかる。

だからその意図を読んで計算をする。

意図に沿って計算をするから飲み込みが早くなる。

わかりやすく説明するとはこういうことだ、

というのを形にしてみせた数少ない名著であると思う。



ところで、どうしてそろばんをやろうと思ったのかといいますと、

コンピュータを使う人ばかりの部屋で

そろばんをひとりパチパチと使えたらかっこいいなとか、

外国で働く機会があったときに、

おもむろにそろばんで計算をはじめたらかっこいいなとか、

ようはそんな動機です。

不純ですが、おかげさまで身につきそうです。