共同の冷蔵庫 | 群衆コラム

群衆コラム

耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

冷蔵庫の電源を抜くと決めたのは、

冬のことだった。

冬は食べ物が傷みにくいから、

やっていける自信があった。

このころはロールケーキも買っていたし、

肉も3日くらいかけて食べていた。



でも、内心、

夏がきたらどうだろうと思っていた。

冷たいものが飲みたくなったり、

食材が傷んでしょうがない状況になり、

もはやこれまでと冷蔵庫の電源を入れることになるかもしれない。

これが当初の予想であった。



しかし実際に暑い季節を迎えてみて、

これはなくてもいけるかな、と思いはじめている。

暑さの本番はこれからだけれど、

冷蔵庫がないならないなりの暮らし方が

身につきつつある。



買い物に行っても、

これは日持ちがしないからダメ、

というのを自然に考えるようになった。

そういう目で見てみれば、

常温で数日もつものは探さなくてもいくらでもある。

冷蔵庫がないと置いておけないゼリーやアイスは、

食べたいときに買ってこればよい。



うちに冷蔵庫はないけれど、

歩いて数分のところにコンビニはあるし、

よいかどうかはさておいて、

自動販売機もそこらじゅうにある。

冷たいものが飲みたいならば、

ちょっと遠くの冷蔵庫に取りにいくつもりで買いにいけばよい。

それだけのことだった。



だから、厳密に言えば、冷蔵庫がない生活ではない。

共同の冷蔵庫がある生活、といったほうがいい。