ものいう音色 | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

リコーダーはすばらしい楽器だと思う。

同じ人が10回吹けば、だいたい同じ音が10回出る。

誰が吹いても、だいたい同じ音がする。

学校教育にはうってつけである。



吹けば、鳴る。

リコーダーでは当たり前のことが、

尺八ではどえらいことになる。

いつ吹いても安定して同じ音が出せるかどうか。

これが「音が出るのに数年かかる」の

本当の意味だったと思う。

さらに、その人独自の音色が出せるかどうかは、

また一段上の話だろう。



サザエさんのマスオさんのバイオリンがひどいことは、

ジャイアンの歌が凄まじいのとおなじくらい

有名な話である。

よく聞いてみると、

どちらも音色の問題であるように思う。

反対に葉加瀬太郎さんのようなバイオリニストが

一音弾いただけで人をうっとりさせるのは、

音そのものがよいからだろう。



メロディが弾けるかどうかは飾りみたいなもので、

大事なのは音である。

尺八は音が出にくいから、とてもよくわかった。