これは「CDに録音されているオーディオサウンドの周波数帯域の方がアナログレコードに比べて狭い」ということからそういわれているわけだが、確かにアナログレコードの場合には耳に聴こえる音、即ち鼓膜の振動を電気信号に変換して脳に伝えるという伝達系以外の非可聴帯域の音も録音再生されるので、空気振動を耳以外でも聞いているとすればアナログレコードの方が「体全体で聞き取る」という意味で、より良い音に聞こえておかしくない。
人間は、例えば骨伝導の様に耳以外の器官でも音を聞くことが出来るのだ。
楽器の音などを聞き比べてみるとレコードよりCDの音の方が硬く感じられるが、これはサンプリングによって高音域がカットされた結果として、要は歪んでいるということだ。音は正弦波より方形波の方が硬い音になる。
より原音に近い音、つまり本来のアナログ領域での音は、サンプリングせずにそのまま「すなお」に録音して再生した方が良いのはアタリマエ。大雑把に言えば、それに忠実なのがアナログレコードと言える。
ところで、拙宅にはアナログレコードがたくさんある。実はCDの枚数よりずっと多い。特に年配諸氏の中には、そういう人も多くいるだろう。幸い、拙宅には実に40年前のプレーヤがまだ現役で活躍しているが、プレーヤがないためにアナログレコードは持ち腐れとなっているとか、或いは既に処分してしまっているかも輩も多いのではないか。もちろん、アナログプレーヤは幾つかのメーカーから販売はされているのだが、選択肢は少ない。
アンプだってそうだ。オーディオアンプでないとPhono端子、つまりアナログプレーヤ用の端子は装備されていない。この端子は他のLINE端子とは異なり、RIAA特性という特殊な処理を施した信号の受信専用端子なので、この端子以外のところにアナログプレーヤからの出力を接続することはできないのだ。
この様に、アナログレコードを再生しようとすると以外と敷居が高い。いきおい、BGMとして流す程度であればCDで十分ということになる。しかし、大方のアナログレコードがCD化されているとはいえ、所有するレコードを総てCDに買い換えるというのは如何なものか。それに音質はアナログレコードの様が優れているのだから、好きな音楽を良い音で聞きたいという欲求は満たしたい。
こうしたことから、音楽ファンの間には、単にアナログレコードが再生できるというだけではなく、どうせだったら音質の優れたプレーヤが欲しいという要求が静かな訴えとしてずっと続いている状況にある。
パナソニックはそういう市場ニーズに答えるべく、今年のCEATECに於いてテクニクスブランドのひとつとしてアナログターンテーブルを開発していることを発表した。
そのことは以前のブログにも記しておいたが(http://ameblo.jp/millimeter-wave/entry-12082727221.html)、最近入手した開発趣意書によると、近年になってアナログレコードの持つ温かみあるサウンドへの関心が高まり、ターンテーブルの復活を望む声が大きくなってきているという。これがその趣意書の一部だ。本稿を起草した方から頂いたものなのだが、著作権問題があるとマズいので、一部だけお見せしよう。
さて、こうしたアナログレコードの音への回帰もさることながら、もうひとつアナログターンテーブルが欲しい理由がある。それは廃盤の再生だ。例えば下記のレコード。これは小生が学生時代に買ったマイナーレーベルのレコードで、一時CD化されたこともあったが、CDも廃盤となって久しいジャズのレコードだ。CDも既に入手不可能となれば、これを再度聞くためにはアナログプレーヤが必要となる。
こういったレコードを所有する諸氏にとって、ターンテーブルは必要不可欠な器材だろう。しかもどうせだったらCDよりも良い音で聞きたいはずだから、再生する音質にもこだわったプレーヤが欲しい。テクニクスからのソリューションはそういう要求への答えとして出されたものなのだろう。
ところで、アナログレコードの大きな問題点とそれに対する希望がある。それは、スクラッチノイズの除去だ。取扱い上、どうしても傷が付いたり、何度も再生していれば劣化もある。更に塵埃によるノイズ問題。これらのノイズ再生は、アナログレコードには付き物となっているのだが、これを何とかして欲しい。とはいえ、除去するにはデジタル化して信号処理を施し、クリーニングするしかない。となるとサンプリングされた音声しか再生できないCDとあまり変わらなくなってしまう。
そこで、サンプリング周波数を現在のハイレゾ領域ぐらいにまで追い込み、デジタル的にスクラッチノイズを除去する。そうやってクリーンなサウンドにしてアンプに送り込む、そういう仕組みがあれば、アナログレコードの敷居も低くなるし、手軽に良い音を楽しむことが出来る様になるだろう。
アナログレコードからノイズが消える。しかし音質はアナログレコードのまま。要はアナログとデジタルをトレードオフとさせず、いいトコ取りをする。そんな「虫のいい」プレーヤが出来たら嬉しいのだが。





















