「藤谷桃」 - 女性シンガーソングライターのこと | プロムナード

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「藤谷桃」という女性シンガーソングライターがいる。

自分が知ったのは、1年前の代々木公園で開催されていたラオスフェスティバルのミュージックステージだった。
その時は、ラオスビールを片手にステージを眺めていたのだが、彼女が歌い始めるや否や、そのまま文字通り釘付けとなってしまった。俗に言えば、「釣られた」という瞬間だった。

その歌声を例えて言うならば、空間を真っすぐに進む「小鳥のさえずり」の様な透き通る声。自分、一応それなりに歳も重ねているので、これまで色々な歌手の歌声は聴いてきているが、初めて聞く上品な歌声だった。

しかも、MCを聴いているとラオスの子供たちを支援すべく、CDなどの売り上げの一部を寄贈しているという。自分、これまで仕事の出張で東南アジア諸国には何度か訪問したことがあったが、ラオスに行った経験はない。なので遠い国の一つではあったが、80年代の初頭の頃、当時の鍾乳洞探検グループの一人がラオスの鍾乳洞を探検し、帰国後にインドシナ難民受け入れのための定住促進センターで活動していたので、自分にとってラオスは遠い国ではあったが、気持ち的には近い国でもあった。そのため、ステージ終了後の物販でCDを2枚ほど買って立ち話をしたのだが、これまでずっと日本・ラオス親善としても活動しているとのことだった。

そんな出会いが昨年の5月だった。

 



 

あれから1年が経ち、ラオスフェスティバルは今年も開催された。待ちに待った瞬間である。今年もあの上品な歌声をナマで聴くことが出来る。

ライブ当日、それまでどんよりとしていた天候だったが、幸いにしてその日は初夏を思わせる様な晴天となった。そして、ライブでは、今年は昨年にも増して更に上品にして爽やかな歌声を聴かせてもらうことが出来た。

 

 

 

当日の、カンボジアフェスティバルフライヤーに記載されている出演アーティスト紹介には、次の様に紹介されている。

「国立音楽大学器楽学科ピアノ専攻 卒業。シンガーソングライター藤谷桃の曲は、「愛」「夢」「希望」等、前向きに生きようとのメッセージが込められた歌詞と、 力強さと優しさが織りなすポップなメロディーが魅力。CMソング、ラジオ番組のテーマ曲、ゲームソフトの主題歌を担当。現在は2児の母として育児をしながら、イベントなどを中心にライブ活動し、FMラジオのレギュラー番組のパーソナリティーも務める。2007年第1回のラオフェスから毎年出演し、日本ラオス親善を応援している」

そうなのだ。しっかりとした音楽教育を受けているアーティストだからこそ、人の心を打つ曲と歌作りが出来るのだろう。言葉の選び方やメロディの付け方はもとより、発声についても、理論の裏付けがあるということだ。オーディエンスが感じる心地良さというのは、その様な水面下にある基礎のバックアップがあるからだと思う。歌に自分の気持ちを反映させている。そしてそれをメロディにも表している。文字通り、歌を作り曲を作り、自ら歌う。それがまさにシンガーソングライターなのだろう。

更に、前回も聴いていて感じたことなのだが、歌詞に出てくる英単語や、今回の英語の歌詞などの発音が良いのも特筆だ。自分の経験的には、米国西海岸系の訛りを感じさせる発音は懐かしくもあり、これもまた、聴いていて心地いい。

歌う声を聴いて、その心地良さに包まれながら、ふと、「至福のひととき」は、こう言う時間の過ごし方ではないかと思った。

思うに、いわゆる「至福のひととき」というのは、初めて出逢えた喜びというより、過去に楽しかったり嬉しかった経験や体験という記憶があり、その時の喜びに再び出会えた時、「待っていたあの喜びに再び逢うことが出来た、ホッとするひととき」ではないだろうか。

それがまさしく、今回代々木公園で彼女の歌を聴きながら感じた、というより分かった「至福のひととき」の意味だった。有難い事だ。

そんなひとときを過ごせる至福の時間。機会があれば是非一度聴いて欲しい。まだ先のことだが、来年も楽しみである。