長年使い続けていた松下電器産業(現:パナソニック)製のプラズマテレビがついに故障したので、同社の液晶テレビに買い替えた。若干の故障であれば自力修理もトライするところだが、表示ドライバの故障の様で、黒い帯が垂直に現れる。そうなると交換部品が入手できなければ文字通り手が出せないのでゲームオーバー。このテレビは2006年モノだったので、およそ15年以上使い続けていたことになる。HDMI端子搭載の初号機か、その辺りの「作品」だった。
ところが、いざテレビを入れ替えるとなると、テレビに接続されている機器とのインターフェースに様々な問題が出てきた。まず、CATVのセットトップボックス(STB)。現在使用しているSTB、相当古いタイプのものを使い続けているためにHDMI端子がなく、高解像度映像はD端子というレガシーなインターフェースにてテレビへと伝送していたのである。
D端子は解像度によっていくつかの規格があるのだが、いずれもアナログコンポーネント信号伝送の端子で映像のみの伝送であって音声は別経路で伝送する。通常は赤白のRCAコネクタで接続されるもので、HDMIがスタンダードとなった現在は、音声信号を映像信号に多重化して伝送可能なため、D端子を用意しているテレビは殆どない。ということは、テレビの買い替えに伴ってHDMI搭載のSTBに入れ替えする必要が出たということになるのだ。従って、ケーブル供給会社にSTBの交換を依頼しなくてはならない。
更にもう一つの問題が発生した。それはDLNAだ。
手持ちのSTBからレコーダに高画質ソースを伝送したり録画予約などの信号を伝送するインターフェースはiLINK(IEEE1394)ケーブルで接続されているのだが、入れ替えする新しいSTBにはこのiLINK端子がなく、LANでの接続となっている。iLINKに関しては、USBの性能向上が進んだことなどから現在では市場が衰退しており、伝送はLAN端子を通じて行われるのが普通となっている。
整理すると、これまでのセットトップボックスは、テレビとはD端子でレコーダとはiLINKで接続されているのでセットトップボックスを入れ替えると、テレビとはHDMIで、そしてレコーダとはLANによるDLNA方式でつながらなくてはならないということになる。
HDMIでの接続は問題ないはずだが、ケーブル会社によると、手持ちのレコーダがLDLNA方式で接続できるかどうかは、やってみなければ分からないということらしい。因みに、日本ケーブルラボの「DLNA認定製品リスト」には手持ちのプレーヤの記載はない...。もしだめなら、レコーダも買い替えとなる。思わぬ出費の可能性もあるということになるのである。
とはいえ、やらなければ話が進まないので、まずはケーブル業者に依頼して、セットトップボックスを交換してもらった。
その結果、ブルーレイレコーダとセットトップボックスとのDLNA接続は問題なく接続できたので、買い替えなくて済んだ。
セットトップボックスの入れ替えに続き、次はテレビを入れ替えたが、STBとの接続は問題なかった。更にブルーレイレコーダやAVアンプも結線し直しした。これも問題ない様に進んだが...。
ところが、AVアンプから音が出ないのだ。後から考えれば当たり前のことではあるが、HDMIポートが数個ある場合でも、通常AVアンプは一台だけしか接続しないので、ARC(Audio Return Channel)対応は1ポートのみだ。AVアンプを適当につないだあと、音が出なくて難儀したのだが、その理由だった。
また、マニュアルにある「電源切」と「電源を切る」の意味は違うことや、「スイッチオフでオンにする」などの表現をみて、あらためて日本語って難しいと思った...。
それと、AVアンプとの相性というか、電源投入シーケンスによっても音が出ないことも。HDMI‐CECによる機器連動制御も、異なるメーカー同士の接続ではやっぱクセモノ。かつてCEAが米国ミルピタスにあるEmbassy Suite Hotelで開催していた「Plug Fest」で、世界中のHDMI機器メーカーの技術者がホテルの中を走り回っていたのも、こんな問題の抽出のためでもあったことを思い出す。
【技術情報】
1. 日本ケーブルラボの「DLNA認定製品リスト」にパナソニック製ブルーレイレコーダDMR-BWT620の記載はないが、問題なく動いた。
2. 今回、37インチのプラズマテレビから43インチの液晶テレビに買い替えたのだが、テレビ、プレーヤ、STB、AVアンプ、更にケーブルモデムやルータを併せても、写真の様に実測電流値は1.5A以下である。プラズマテレビは描画する画像の明暗によって消費電力が異なるが、白っぽい画像の時には3Aを超えることもあったので、買い替えによって省エネにも貢献している。
仕様書によるテレビ本体の消費電力:
37インチプラズマ(TH-37PX60): 270W
43インチ液晶(TH-43JX850): 146W
3.テレビへのキーボード接続は、マニュアルには全く記述がないが、搭載されているアプリの一つであるブラウザを立ち上げるとGoogle Chomeが走るので、Android OSが搭載されていることが分かり、しかも外付けHDD用のUSBポートがあるので、試しにキーボードを接続したところ、思った通り動いた。更にUSBポートへUSB-HUBを挿し、キーボードと共にマウスも接続すると、両方とも動くことが分かった。キーボードは英文だけしか表示しないが、ローマ字読みで日本語も認識するので問題ない。
4.STBとのキーボード接続について、住友電工製SATV-STB(XA-401)の取説に書いてあるものの、JCOMによると「接続テスト結果は公表していないので、自己責任にて」とのことだったが、バッファロー製USBキーボードは接続できた。また、テレビ接続についてはマニュアル記載はないが、接続OK。ただし、両方ともローマ字変換は出来ない様だ。その点はテレビと同じである。
この様にして入れ替え作業は完了。思わぬ問題も発生したが、テレビやSTBにキーボードが使えるのは便利である。もう少しやってみたいこともあるのだが、取り急ぎこの状態で使い慣れてからやってみようと考えている。