そのACアダプタ、使える?  ー 定格以外の注意点 | プロムナード

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ACアダプタ、一般的にはパソコンの電源装置とかスマホの充電器として知られている装置であるが、これが何をしているものなのかは意外と知られていないかもしれない。というか、知る必要もないのだろうが、なまじっかの知識があると却って使い方を誤って接続先の機器を破壊することがあるので、使用する上では十分な注意が必要だ。

 

例えばパソコンなどを接続させる場合、コネクタの形状が合うからと言って別の機種のACアダプタをそのまま流用した場合、供給電圧が異なると過電圧がパソコン本体に加わり、重大な故障をもたらす。或いは電源電圧が共通であってもアダプタからの供給可能電流値が異なればACアダプタが過負荷となって発熱し、

 

場合によっては発火することもあるので、大変危険である。

 

また、正負の極性についても注意が必要だ。現在国内で販売されている国産品は殆どがセンタープラスのプラグになっているが、中華製のものや国産でもソニー製の古いラジオなどではセンターマイナスが採用されているものもあるため、そのままつなぐと電池を逆につなぐようなものだから、保護回路がない場合には機器の破損をもたらすこともあるので十分に注意しなくてはならない。

 

 

写真はアダプタ本体に貼られたシールに書かれたACアダプタのプラグ極性で、この場合はセンタープラスを示す。この「+」の記号が「ー」だったらセンターマイナスのプラグで、極性は逆だ。

 

これのことは、少しでも電気の知識があれば事前にACアダプタに貼られたラベルなどに記載されている仕様、即ち電圧と電流の値を確認することによって事故は未然に防げるが、理解していない人は純正品か、それに準じて販売されている製品以外は接続させない方がよいだろう。また電気に関する知識のある人のアドバイスを得るべきだ。

 

ところで、ここまでのところはラベルに明記してあるので、若干でも電気を知っている人であれば注意出来るのであるが、これ以外にも接続機器に重大な故障をもたらす別の要素がある。しかもラベルには書かれていないのだ。それをまとめておこう。

 

写真はあるメーカー製品の付属品である3V出力ACアダプタだ。

 

 

定格として3V、500mAと書かれている。電気の知識がある人が見れば、「これは直流3Vが出力されるAVアダプタで、最大電流として500mA以上は取り出せない」ということは分かる。ところが、電圧計が示す様に7Vとなっている。

 

実はこのACアダプタ、安定化電源ではなく非安定化電源であり、3V出力は500mAが流れたときに得られるACアダプタでなのだ。

 

実測値を次に示す。

 

 

このグラフの様に、負荷が解放状態、つまり接続機器がつながっていない場合には、なんと7Vが供給されるのだ。この電圧は3Vを上限とする機器にとっては致命的である。もちろん安全設計として過電圧印加への対応はされていることは基本だが、それでも2倍以上の電圧印加までの耐圧設計はしていない場合が普通だろう。

 

このアダプタに電圧変動があるということは、ラベルのどこにも記載がない。

 

飽くまでもこのアダプタはある機器の付属品なのでその機器と共に使う上では問題ないからお咎めはないということだろう。このアダプタを別用途で使うとすれば、それは自己責任で、ということになるわけだ。 従って使用者は使用する前に十分な注意を払わなくてはならない。もしもこれを別の3V対応の機器につなげようとした場合、その機器に過電圧保護回路がなければ、重大な故障をもたらすかもしれない。

 

この様な非安定化電源タイプのACアダプタはトランス型の電源に多い様だが、いずれにせよ使用に当たっては、テスターなどを用いて出力電圧を確認することは必須だろう。十分にご注意を。