山深い湿地帯や沼地、或いは田んぼなどの水の淀みに、虹色に光る油の様なものが浮いているのを見たことはないだろうか?
田んぼだったら、近くに何かの工場があって、そこから廃液が流出しているのではと疑うし、山奥、例えば関東の場合であれば尾瀬沼の様な幽谷深山の中に工場なんぞないので、ひょっとすると不届モノが近場で唐揚弁当の様なものを食べこぼした跡では、などと思うだろう。
写真は拙宅に近い小川の淀みに浮かんでいる油の様な液体。見た目、いかにも廃油の様に見える。
この写真にあるのは、油ではなく、おそらく水に溶けている鉄イオンが酸化されて析出された酸化第二鉄か、若しくは、鉄酸化バクテリアがエネルギーを生成したときの副産物である酸化鉄と思われるが、実はそれとは別に、藻類が生成した油ということもあるそうなのだ。
現在、数十種類のオイル生成藻類が知られているそうだが、実は藻類のオイル生成能力は極めて高く、オイル生成として良く知られているアブラヤシや菜種、大豆などの単位面積当たり収穫量がそれぞれ1ヘクタール換算でアブラヤシが3.8トン、菜種が0.59トン、大豆が0.36トンといわれているのに対し、藻類の場合は年間約40~140トン程度のオイルを生成するのだそうだから、文字通り桁違いの生産量だ。
オイルといえば石油。しかしその石油も、そもそも藻類が生成したといわれているそうだが、いわずもがな、いずれ近い将来には枯渇する。それに比べて藻類オイルは、ある意味無尽蔵に工場製造が可能だろう。
先日、東京で開催された再生可能エネルギー展示会では、オイル生成藻類の一つであるボツリオコッカスの展示を行っていたが、この藻類による年間オイル生成量は、なんと1ヘクタール当たり115トンだという。
展示されていたボツリオコッカス
小生、この方面は専門外なので詳細は理解していないのだが、ボツリオコッカスの場合、水と空気中の二酸化炭素から光エネルギーを使って炭水化物を生成する光合成だけで石油を作り出すという。しかも多くの藻類が生成するオイルが植物系オイルであることに対し、ボツリオコッカスは石油系のオイルを作り出すそうなのだ。
現在の問題点としては、大量の「飼育」方法がまだ確立されていないことらしい。つまり、実験室レベルを超えた工場でのオイル製造となると、ボツリオコッカスのみでなく他の微生物が同時に増えたりと、幾多の問題がまだたくさんあるらしいが、研究は日夜進んでいると聞く。
このボツリオコッカスの繁殖域は汽水らしいので、山奥や田んぼで見られる藻類とは異なるのだろうが、今、田んぼや沼地で見ている藻類が、ひょっとするとこのボツリオコッカスよりも、もっと高効率で石油を精製する種かもしれないと思うと、ちょっとわくわくしてくる。
この方面での研究、日本でも盛んにおこなわれているというから、
いずれ日本は産油国になるかもしれない。

