今回、カリフォルニアのベイエリア、シリコンバレーに出張して、思いのほか、電気自動車がかなり普及していることが分かった。
San JoseのSantana Rowという高級ショッピングモールにあるTESLA SHOP
これまでもプリウスの様なハイブリッドカーについては日本よりも見かけることが多かったのだが、こちらではLEAFはもとより高価格であるテスラモーターの電気自動車も走っていた。聞くところによると、テスラの株価が急上昇しているという。
ところで、電気自動車の普及について現地の何人かに聞いてみたのだが、どうやら彼らの意識の根底にあるものは、地球環境への配慮というよりもペイバックを鑑みて、というところが本音のようだ。つまり、太陽光発電などの方法で蓄電・充電することが前提であり、これまでのガソリン代と比較すると「おつりがくる」というそろばん勘定結果として購入したというケースが多そうなのだ。
これは、提供する側からすれば、市場の活性化に対する正しいアプローチでもある。
逆に言うと環境問題への配慮というのは、ある種、会社としての「CSR的な行動」であって、それが個人レベルの場合だと、環境に配慮するということは、ある意味見栄的な「綺麗ごと」であり、それが少しの出費であれば我慢できるとしても、少なくとも大多数が賛同するという様な社会現象が伴わない限りは個人としての投資対象として難しい決断となる。例えば、買い物でのエコバッグの使用といった草の根レベルの環境改善行動であれば大衆が賛同して共に行動することは可能であるが、もっと大きな出費を強いる環境配慮行動については、法規制でもされないと無条件に行動する様になるとは考え難い。
エネルギー問題もしかり。電気自動車がどんなに地球環境に良いかということを説得したところで、「その代りに個人の出費は多いです」では、個人レベルでの普及はあり得ない。
太陽光発電も同様で、導入した家庭における導入理由は、環境配慮というより売電による利潤という損得勘定に他ならないわけだから、電気自動車の導入についても同様のアプローチが奏功する。
要は、新技術を導入することで儲かるかどうか?が判断材料なのだ。
環境問題に関するメリットなどについては四の五の言う必要はない。ある意味アタリマエだろう。会社単位であれば、CSRとして社会的なインパクトが大きいから、その部分で損が生じたとしても見返りは大きなものが得られるわけだから、いきおいCSRもペイバッグの計算が伴うだろう。
まぁ、そういうつぶやきはともかく、現地で見る電気自動車、特にテスラのMODEL Sは相当にカッコよかった。
Winchester Garageにある充電スタンドのTESLA MODEL S
スポーツカーというと、派手にカラーリングされて、爆音を立てて疾走するといった、ある意味チャラチャラした車が多いのだが、MODEL Sの場合、なんというか、「大人のスポーツカー」といった風情が精悍だった。カラーリングも地味で音も静か、さりとて一度走りだせば、圧倒的な加速で疾走する。車に対して求められる本来の性能をすべて踏襲しつつ、環境への配備もされ、しかもガソリンに比べて出費が少ないとなれば、いうことなし、なわけだ。
スポーツカーというと、派手にカラーリングされて、爆音を立てて疾走するといった、ある意味チャラチャラした車が多いのだが、MODEL Sの場合、なんというか、「大人のスポーツカー」といった風情が精悍だった。カラーリングも地味で音も静か、さりとて一度走りだせば、圧倒的な加速で疾走する。車に対して求められる本来の性能をすべて踏襲しつつ、環境への配備もされ、しかもガソリンに比べて出費が少ないとなれば、いうことなし、なわけだ。
ただし、こういう車のオーナーは、ひょっとすると「アース・コンシャス」をステータスとして見せたがる様な、つまり見栄っ張りなIT系のCEO等が好んで乗っている様な気もする。というのは、すこしひがみっぽいかな?
テスラは試乗したわけではなく、走っている姿やSan JoseのSanta NarowにあるTESLA SHOPを見ただけの感想なのだが、LEAFについては、所有している現地の人のLEAFに試乗して運転させてもらったので、これまでのイメージを払拭するだけの運動性能を確認することができた。
これは、現地でLEAFに乗っている人に試乗させてもらったときのインパネ。
とにかく、「電気自動車は、ありだな」というのが感想だ。
ただし、充電インフラの整備が重要だろう。また、個人レベルでも太陽光発電による蓄電設備などの装備がないと、ペイバックを鑑みる上で導入は難しい。また、そもそも家の立地条件なども絡んでくるだろう。この辺りの諸問題をどのように解決していくかが電気自動車普及への関門だ。
当分の間、電気自動車は誰でも買える車ではない。それは車両価格の問題というよりも充電インフラの問題だ。その充電方法についても、非接触充電などの様々な方法が提案され、改善され、とどまるところがないから、技術革新を待ちたいという買い控えも普及を妨げる障壁となるだろう。
しかし、長いスパンで考えると電気自動車の導入は一つの大きな流れであると考える。小生の場合、仕事的にはこの非接触充電部分や車両の中のエネルギー変換効率改善などに関わってくることだろう。したがって、ここ暫くは動向についてじっくりと見ていきたいところだ。