毎年1月に、米国ラスベガスでCES(Consumer Electronics Show:国際家電見本市)と言う展示会が開催される。世界規模の展示会でもあり、また正月早々の展示会ということもあって日本国内でもニュースで取り上げられるため、ご存知の方も多いと思う。一般客や20歳以下の入場はできないことも特徴だ。要するにプロによるプロのための展示会ともいえる。
小生はそのCES展示会には、これまで10年ぐらい連続で参戦しているが、今年の目玉商品である4k対応のTVや、今年になって台頭してきたHEMSなどをベースとしたECO商品展示内容の紹介についてはTVやWebでニュースとなっているので、ここでは流れとして感じられたことを紹介する。この展示会には、今年も15万人を超える来場者があり、相変わらず盛況であったが、実はそこには大きな流れの変化を感じさせるものがあった。
これまで、CESでのデジタル家電の花形であるAV機器展示の主役は日本製品であり、また、来場客のうちの東洋人が占める比率も日本人が最も多かった。その後、日本製品が主役である時代が暫く続いたが、来客の国別構成は少しずつ変わり、日本人に代わり韓国人が増え、その後中国人の比率が増えた。現在では中国人の比率がアジアの中で最も多い。
展示内容については、引き続き日本企業の出展規模は大きいものの、ここ暫く韓国勢の台頭が顕著であり、この数年の間に展示の主役は日本から韓国へと変わってきた。結果、かつては日本企業の展示が圧倒的だったCES展示は、現在は韓国企業の展示が最大規模となっている。つまり、
かつての日本のポジションを韓国企業が占めていると言うことになる。
小生はそのCES展示会には、これまで10年ぐらい連続で参戦しているが、今年の目玉商品である4k対応のTVや、今年になって台頭してきたHEMSなどをベースとしたECO商品展示内容の紹介についてはTVやWebでニュースとなっているので、ここでは流れとして感じられたことを紹介する。この展示会には、今年も15万人を超える来場者があり、相変わらず盛況であったが、実はそこには大きな流れの変化を感じさせるものがあった。
これまで、CESでのデジタル家電の花形であるAV機器展示の主役は日本製品であり、また、来場客のうちの東洋人が占める比率も日本人が最も多かった。その後、日本製品が主役である時代が暫く続いたが、来客の国別構成は少しずつ変わり、日本人に代わり韓国人が増え、その後中国人の比率が増えた。現在では中国人の比率がアジアの中で最も多い。
展示内容については、引き続き日本企業の出展規模は大きいものの、ここ暫く韓国勢の台頭が顕著であり、この数年の間に展示の主役は日本から韓国へと変わってきた。結果、かつては日本企業の展示が圧倒的だったCES展示は、現在は韓国企業の展示が最大規模となっている。つまり、
かつての日本のポジションを韓国企業が占めていると言うことになる。
技術訴求についても同様で、韓国勢による技術開発力はついぞ日本のそれを抜き去り、今回の展示内容を見ても日本企業による技術訴求が貧弱であることに対して韓国企業のそれは圧倒的なものとなっていた。実際、新技術の発表や訴求について韓国企業のそれは極めて攻撃的であり、素晴らしい成果が発表されている。恐らくリソースのかけ方もハンパじゃないのだろう。
下の写真は、失敗作ではない。韓国のSamsungが展示していた3D Multi Displayのデモを裸眼で見た場合という写真だ。よく見ると、2つの画像がダブっているのがわかる。このそれぞれが3Dとなっているので、シャッター式アクティブメガネをかけてどちらかの映像を選べば、選んだ映像が3Dで見られるというもの。当然のことだが、音声もアクティブメガネに付いているイヤホーンで選んだ映像に伴う音声を聞くことができる。
実はこの技術、別に目新しいものではないのだが、「ここまでできますよ」という訴求には十分なパワーがある。来場者をうならせることは可能だ。
CESとは、技術の訴求もさることながら、そもそもバイヤーとの商談の場であるわけだから「目を引かせる」、そういう演出の舞台なのだ。
演出面でも、日本は遅れてしまった。
一方、中国企業も負けてはいない。規模に於いても中国企業の技術開発は頭角を現しつつある。今のところ韓国レベルに追いついていないとはいえ、独自技術を磨き、追いつけ追い越せといった鼻息は十分に伝わってくる。即ち、中国企業の技術レベルも日本を抜きつつということだ。
この戦略変換の理由はどこにあるのだろうか?
小生は、デジタル家電の、特にTV関連製品については、市場投入されている製品が既に消費者が求める機能や性能に到達してしまっているからなのだ、と考えている。
かつて、消費者が考える「こうなるといいな」的な使用方法は既に現実のものとなった。従って、これ以上の機能を盛り込んだとしても一般消費者のニーズとは離れたものとなってしまうために、消費者が「欲しいとは思わない機能」に対価を払うということは考えにくいことになる。
つまり、今、セットメーカーが提供すべき商品は、今の機能を存続させたまま価格を落とすということしかないわけだ。これは利益を逼迫させ、いきおい、開発への投資を削減させることになる。このスパイラルから脱却するには、少なくとも体力勝負を避けたい企業にとっては、早い話「撤退」するしかないのである。
このエコへの転換が奏功するかどうかは未だ分らないが、AV機器での起死回生が困難と見られる状況下では、正しい選択であろう。但し、、これとて日本がリードをとり続けるという保証はない。韓国勢も同様にその分野にフォーカスしていることを忘れてはならないのだ。
CESとは、技術の訴求もさることながら、そもそもバイヤーとの商談の場であるわけだから「目を引かせる」、そういう演出の舞台なのだ。
演出面でも、日本は遅れてしまった。
一方、中国企業も負けてはいない。規模に於いても中国企業の技術開発は頭角を現しつつある。今のところ韓国レベルに追いついていないとはいえ、独自技術を磨き、追いつけ追い越せといった鼻息は十分に伝わってくる。即ち、中国企業の技術レベルも日本を抜きつつということだ。
一方、中国企業も負けてはいない。規模に於いても中国企業の技術開発は頭角を現しつつある。今のところ韓国レベルに追いついていないとはいえ、独自技術を磨き、追いつけ追い越せといった鼻息は十分に伝わってくる。即ち、中国企業の技術レベルも日本を抜きつつということだ。
この技術開発動向とCESの来客傾向との間には、実は深い相関関係がある。日本企業が大々的に出展していたころには多くの韓国人が訪れ、日本の技術動向を分析し、新たな技術開発に着手、その成果が現在の展示となっている。一方、現在多く来場している中国からの来客は、そういう韓国企業の技術をじっくりと分析しているわけで、今後数年かけて更なる技術開発に従事していくことだろう。
日本、韓国、中国それぞれの技術開発を波を考えると、それぞれの波はあたかも三相交流のそれぞれの波の様にも見える。日本の技術という波がピークを迎えた後、韓国の技術が現在最大値を取っており、中国の技術が次の最大値を取るという位置にいる。そして日本は既に最大値を経て下りの位置にいる。実際、かつて日本のTV技術者と面談した際に言っていたことは「なんとか韓国からの追随を振り切りたい」ということだったが、いまや完全に追い抜かれている。
一般消費者の目から見ても、米国の量販店に於いて韓国勢が優勢であることは既知であるが、今回の展示を見る限り日本の技術訴求が貧弱なものである以上、今後もビジネス的或いは技術的にも世界規模に於ける現在の韓国勢のポジションは変わることはないだろう。展示規模はおろか技術についても、もはや日本は主役でなくなってしまったのである。かつて日本勢がRCA、GE、フィリップスなどの欧米の家電企業を駆逐した様な大きなパラダイムシフトが、再び家電市場で発生しているということに他ならない。
こうした状況下、日本企業はCESで「デジタル家電からエコ関連商品へと車線変更する」という戦略に打って出た。小生が会場で見る限り、これまでは各社ともCEATECで展示されていた様なエコ関連商品の展示は殆どなかったが、今年、日本企業はこの分野での訴求に切り替えた。
この戦略変換の理由はどこにあるのだろうか?
小生は、デジタル家電の、特にTV関連製品については、市場投入されている製品が既に消費者が求める機能や性能に到達してしまっているからなのだ、と考えている。
かつて、消費者が考える「こうなるといいな」的な使用方法は既に現実のものとなった。従って、これ以上の機能を盛り込んだとしても一般消費者のニーズとは離れたものとなってしまうために、消費者が「欲しいとは思わない機能」に対価を払うということは考えにくいことになる。
つまり、今、セットメーカーが提供すべき商品は、今の機能を存続させたまま価格を落とすということしかないわけだ。これは利益を逼迫させ、いきおい、開発への投資を削減させることになる。このスパイラルから脱却するには、少なくとも体力勝負を避けたい企業にとっては、早い話「撤退」するしかないのである。
このエコへの転換が奏功するかどうかは未だ分らないが、AV機器での起死回生が困難と見られる状況下では、正しい選択であろう。但し、、これとて日本がリードをとり続けるという保証はない。韓国勢も同様にその分野にフォーカスしていることを忘れてはならないのだ。