この兼任こそが、組織を運営する上で大きな間違いとなっている。
センターというのは、みんなの先頭に立ち、お手本として君臨する存在。後ろを振り向くことよりも、先へ進む役割を担う。間違っているかどうかよりも、自信家としてひたすら走らなければならないし、それを天性とする素質が必要だ。
リーダーは皆をまとめる存在。常に組織の状態を鑑み、極力脱落者を防ぎ、しかし組織運営で弊害になる場合には心を鬼にしてその分子を排除する勇気が必要である。更に、ある意味「ワル」であることも、皆を導く上では有効だ。
ドラクロワ【民衆を率いる自由の女神】
若い輩だけが集まっている組織は活気があって楽しいそうで良いが、仲良しクラブ的な組織は、実は粗結合であることが多い。構成している個人が成長しているかどうかは判り難いものだ。一方、組織の中に先輩といわれる人物がいる組織は、先輩という「自分を映す鏡」があるために、揉まれながら成長している自分の姿が見えるので、自分の成長度合いを客観的に見ることが可能となる。この先輩こそ、リーダーとセンターであり、組織運営には必要不可欠な存在である。これが欠如すると、先の「仲良しクラブ」になってしまう。趣味で集まるだけの組織であればともかく、敵がいる戦場では、リーダーとセンターのいない組織は排除されていくだろう。しかし、リーダーとセンターの役割は別々である。
ところが多くの組織ではこのリーダーとセンターが兼務となっているので、方向が間違っていても、それが見えにくい。いわば、脱落者へ気配りをすることなく後進たちの手を引っ張りながら先へと進んでいる状態。集団遭難はこういう事態で発生するのだ。
極地探検や冬山登山の様な危険を伴う集団行動を行う場合、このリーダーとセンターの役割を明確に分離し、各々の責務を全うすべく組織を作り上げることが必要だ。
組織運営はリーダーとセンターの役柄の定め方で、勝敗が決まる。
これは、会社組織にも言えることだし、AKB48だって同じだ。高橋みなみさんをリーダーとし、前田敦子さんをセンターとすることで組織が活性化した。この役割を一人が兼務する、或いは分けたとしてもキャスティングが逆だったら、組織としての運営は崩壊していたかもしれない(歴史に仮定はご法度だけどね)。
秋元康氏は、高橋さんに対して
リーダーたるもの、嫌われる勇気を持て
と激を飛ばしたと言う。けだし名言であるが、言う相手をキチンと見極めているところがスゴイと思う。
前田敦子さんが卒業した後、今後の組織で誰をどの様に配備するか。いま、大変興味深いゲームが始まった。