中央アルプス千畳敷カール散策  - 「二人静」という名前の秀逸な旅館 | プロムナード

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中央アルプスのふもと、南信州・駒ヶ根高原の高台に位置し、南アルプスを正面に一望する絶好のロケーションにある中央アルプス千畳敷カールに最も近い旅館、「二人静」。

早太郎温泉、「二人静」

これまで色々なホテル、旅館、民宿、素泊、山小屋、そういったところに投宿してきたが、


この二人静の気配りや接客はこれまでの経験上では秀逸だった。最高位と言っていい。


この旅館のネーミングは元々野草の名前である「二人静」に由来している様だが、その花の印象にも似て、雰囲気が清楚で大変良い。
なんといっても、的を得た接客態度が秀逸だ。また、女性スタッフが圧倒的に多いからなのか、「いにしえ」の日本女性的な気配りがそこはかとなく感じられて頗る心地よい。

それと、ホテルや旅館などでよく見られる注意書きや説明書きの張り紙文章。言葉の使い方は、相手に対する印象の与え方として大変重要で、浴場の場所を示す壁の張り紙など、たった一文字の違いで読み手が受ける印象が異なるもの。例えば、廊下に段差がある場合などに、「段差があるのでお気をつけ下さい」と書いてあるのはよく見るが、「下さい」が「下さいませ」となっているのとでは、驚くほど印象が違ってくる。さすがに道路工事じゃあるまいし、「段差在り」としか書いていないというところは無いだろうが、

とにかく些細なことでも言葉遣いに気を配っているかどうかは、読む相手に与える印象として重要な分岐路となる。


そう考えると、日本の警告看板には、注意書きと共に漫画が書かれていることが大変多いと思うが、あれも相手を和ませるという役割をしているのだろう。考えてみれば、メールの顔文字も同じだね。

仕事で使うメールでも「何々して下さい」という文章が徘徊しているが、本来はこの「下さい」という表現は依頼というより「指示」であって、客や上司に対して使う言葉ではない。その辺りを履き違えている輩が多いと思う。

それはともかく、二人静は素晴らしかった。こんなこともあった。

夕食を摂りに部屋を空けている間に布団を敷いてもらったあと、下足箱にある靴に「お客様の人生がこれからもますます光り輝きますように、願いを込めて磨かせていたえだきました」と書いた小さな紙が置いてあったのだ。この際、どの程度磨いたのかとか、そういう問題じゃない。心意気の問題だ。この小紙を見て不愉快になる人は全くいないだろう。こういう小さな気配りとか心遣いが、旅の印象をよくするのだろうと思った。

下足への気配り


千畳敷カールに行くならお勧めの宿だ。部屋の窓から見える南アルプス連峰の眺望も絶景。


ただし、難点を言えば千畳敷カールの散策以外に目的地が少ないこと。それと、駒ケ岳ロープウェイの大混雑。シーズン中は、覚悟が必要だ。といっても、もし自然散策が好きなのであれば、待ち時間に近場を散歩すれば様々な発見があって、小生的には特に大きな問題だとは思わなかったけどね