超相対性理論 -自分で実験するしかなかった時代 | プロムナード

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小生が学生の頃、ちまたでこんな本が出版された。「超相対性理論」と題された極めて難解な書物。

 


それも朝倉書店とか岩波書店などから出版されるような大学課程としての教科書とか参考書ではなく、一般ものとして出版された本であったから驚きだ。しかも、出版元が大陸書房という、今は倒産してしまった出版社で、出されている本は大体がオカルト系やオドロキの科学系だった記憶がある。

理系の人間であれば、大学教程で必ず通る相対性理論。この本は、「それを越える」という衝撃的なタイトルとなっており、この衝撃に小生の友人も刺激され、結果、その余波で小生もこの理論に挑んだものだった。

しかしこの本は冒頭に書いたように恐ろしく難解な本であり、前半は殆どが数式で羅列、しかも参考書ではないから途中の計算過程が省略されており、導き出される結論があまりに唐突であって、殆どといっていいくらい理解できなかった。少なくとも小生程度のアタマでは理解は不可能なしろもの。
よって、ここでこの本に書かれている理論について検証するとか説明するとか、そんな意図は全く無い。というか、書けないっす、マジで。

但し、メビウスリングとクラインチューブについて書かれた内容は興味深かった。即ち、メビウスリングは断面積がゼロだからそこに磁束が発生した場合、磁束密度は理論上無限大になるという(だったかな?)内容。これは衝撃的だった。そういやそうだねと、バカな小生にもその程度のことは理解できた。

ところが、この本の凄さはそんなことじゃない


前半の数式説明が終わって後半に入ると、後半は唐突にも反重力とか重力発電機といったトンデモ科学へと話が展開し、果ては空飛ぶ円盤製作記事へと繋がる。前半と後半との間では、まるで脈絡が無くさえ思える飛躍ぶりだ。この不連続な飛躍も小生のアタマの限界を超えていた。さすが、大陸書房。こうでなくちゃ。

友人はこの後半の部分に大変興味を持ち、それならばということで、彼が作成した超光速発生装置の試運転に付き合うことになった。超光速といったって、なにが光速度を超えるのか釈然としないのだが、しかし、ひょっとするとホントに空飛ぶ円盤が出来るかもしれないぞ?そんな期待もあって、当時の仲間が集まり、その製作物を前に固唾を飲んで電源を投入した。確か高周波三相交流発生機とかそんなものだったと思う。電流が電荷の移動であることから、高周波の三相交流を生成してそれを中心に配置すれば、その空間に於ける電荷の移動速度は光速を超えるとかなんとか、だったと思う。今から思えば、はぁ?なんだけど。

結果、何も起きなかった。普通に考えて、そうだろうなぁ。。

そんな具合に思い出すと、なんか懐かしい思い出だ。とにかく新しいことに挑戦してみること。当時は今のように情報が幾らでも手に入る時代ではなかったから、何でも自分たちで試してみなければならなかった。今だったら、自分で何かしなくても「こうやればいいんだよ」とか、「それ、動かないよ」とか、そういう情報が瞬時にしてネットなどから入手可能だ。ネットでの情報伝達は本や雑誌などよりも飛躍的に早いし、ソースが複数に及ぶことも多々あるので、情報の信頼性も判断可能だ。

しかし、情報の迅速な流通化によって技術や理論に関する実証が簡便化したことは素晴らしいことではあるが、実際に自分で確かめるという基本的なことがおろそかになってはいないだろうか?

情報が安易に入手できるということは、科学を志す若者(だけに限らないかもしれないが)にとって、いいことばかりじゃないと思う。

ネットでの情報収集が当たり前になってくると、自分で試し、確かめることがおろそかになる。

ところで、この本、当時の販売価格は980円だったが、先ほどネットでみた古本の価格は3000円から6000円となっていた。希少価値ということだけなのかもしれないが、もし今でも欲しいと思う人がいるとすれば、それはそれでイイコトだなぁ。

それに、いつかきっと人類は重力を征し、円盤を空に飛ばすことが出来るようになると思っている。根拠は無いけどw