詩的大和 -10ページ目

詩的大和

笑顔の中心に世界を叫ぶ

詩的大和-バイク.jpg

風が吹く
バイクにまたがり
スピードが加速する

海を走り
山を上り
高速を突っ切る

人々からは遠ざかり
気持ちよく
四季に身をまかせ

春には
桜並木を渡り
香りを嗅ぎ

梅雨には
雨に濡れて
雨合羽を着込んで

夏には
半袖で太陽を浴びて
夜の熱気を味方にして

秋には
長袖シャツがつつましく
肌寒さが気持ちよく

冬には
修行僧のように
凍りつき

それでも
存在することの快感よ
または少しの孤独

集まりの孤立からは離れ
一人でいる覚悟と
ポツンと流星のように

タイヤがパンクしたり
ガソリンがきれたり
バッテリーを交換したり

美しさと
はかなさの
両方のすきまから

のぞきこむ
死をまたいで
走りこむ

いつまでも
悲しくも楽しくもない
スピードそのものになり

人々は群れになり
光になりすまし
通りすぎるゆるやかに

孤独を友とし
風を相方にして
無限に連なる道

いつまでも回転する
タイヤと共に
生きるツラサと喜びと
詩的大和-女.jpg

昼はアイドル
夜はしょうふ
芸はみずもの
世はおかね
情けないけど
しかたない
腹がたつけど
小腹がすく

裏も表もありません
どちらもあたくし
ヘドをはく
きりきり舞いに
踊り狂い
くるっていったのに
来ないネと
イッタとしても
いいんじゃない

ビジネストークに
精をだし
性生活に背をむけて
お金の勘定にニンマリし
感情的に罵倒して
バッタリぐったりダイエット
チュウして悪魔に魂を売りこみ中

死者を切り刻み
ニュースペーパーに週刊誌
世間という名のマスメディア
メデューサみたいに
ヘビーな蛇を飼う
石になった意識は
いつになったら
医師を呼び
鈴を鳴らし
溶けだすんだろう
溶岩みたいに
水ものの水みたいに
箱入りの娘みたいに
詩的大和-BIRD.jpg

ハトがいたんだ
まだヒナだった
ボクの手にある
そのヒナはまるで日だまりのなかの
草原みたいに
ボクの心をあたためてくれた

ある日、ヒナが逃げて
ボクのカノジョのほうに行った
「つかまえて」
って言ったら
カノジョは怖がって
触ろうともしないんだ
「だってキミのほうが何倍も大きいんだよ」
ってボクは言ったんだけどね

その話しを
母さんに話したらね
「かわいそう」
とかいってたよ
「かわいそう?」
ボクには母さんのことが
いつもよくわからなかった
ボクは女の人のことがよくわからない
母さんもカノジョも

だけどなぜか
ヒナの気持ちだけはわかった
そうヒナを初めて抱き上げたときに
ピピってきたんだ
あの感覚
あのキモチ
「こわい」
ってそうヒナは思ってた
ちょうどカノジョがそうだったみたいに
すべて世界の
すべてを怖がっていた
まるで知り合いがいない外国みたいに

「じゃあヒナの友だちになろうよ」
って言ったのは
カノジョにヒナの友だちになってほしかったから
だけどカノジョはクビを振った
もちろんカノジョはわるい人じゃない
それはボクが保証する
保険会社みたいにお金もとらないよ
ただカノジョはこわがりなだけなんだ

それでも少しづつ
ボクとカノジョとヒナのキョリは
縮まっていった
ボクがヒナを抱いて歩いていくと
カノジョはトコトコと後ろを着いてきた
ボクのカノジョはこわがりやさん
だけど好奇心も人一倍

原っぱに着くと
ボクはヒナを放した
するとヒナはバタバタと羽をばたつかせる
でも残念なことにヒナは飛べないんだ
まだ羽が生えそろってないからね
でもホントのところ
ボクは少しうれしかった
だってヒナが飛べたら
ボクらの元をあっというまに
去ってしまうでしょ?

カノジョはポップコーンを取り出すと
ヒナに向かってそれを投げつけた
少し遠いキョリから
ヒナはヒナで警戒してる
その二人のキョリに笑っちゃったな
「もっと近づきなよ」
ボクが言ってもカノジョはクビを振って
ポップコーンを投げつづけた

風にのったポップコーンは
生まれ故郷に帰るみたいに
ヒラヒラ舞ってヒナの元に落ちた
ヒナはくちばしでそれをつつくと
パクリと飲みこむ

そのあと
しばらくして
ヒナが原っぱから消えた
ボクとカノジョは立ち尽くした
「どこに行ったんだろ?」
きっと飛んでいったんだ
ヒナは卒業したんだ
あらたな世界に向かったんだ
ボクは少し悲しい気分に襲われたけど
カノジョはポップコーンを食べながら
サクサクと歩いていく
そんなカノジョの後ろ姿を見ながら
ボクはたまに振り返る
ヒナの温かさを思い出しながら

いつかボクが
カノジョと巣作りをする日
あの日のヒナのことを思い出し
こどもたちに語るだろう
その時は
きっと悲しみを忘れて
いい思い出になっているだろう
きっと
そういうものなのだろう
感謝感動の詩的日々-FLY.jpg

あらたな自殺者がいる
彼は中央線の真ん中に飛び込んだ
ある晴れた日の午後
電車は遅れ、人々は困惑した
みんなは腕時計を見ながら
携帯で話しをしていた
誰も気づかなかった
電車の遅れた事実以外
人々の忙しい空間以外
世の中の経済的損失以外

しかし血肉はリンゴみたいに断片と化したというのに

あらたな自殺者がいる
女は薬を飲んだ
三人の子を育てたが
みんな独立していった
取り残された女は夫とも別れ
一人で暮らし
ある日息子に電話した
それからゆっくりと薬を飲んで
死んでしまった
息子が知らされたときには
もう女は病院の中で冷たくなっていた
息子は狼狽してパニックになった

しかし誰もそれには気づかなかった
まるで冷蔵庫の食べ忘れれたナスビみたいに

あらたな自殺者がいる
夫は旅に出ると妻に言って帰らなかった
二人の息子は大人になり
一人前になっていた
ぐでんぐでんに酔っ払い
男は自分の首を締めた
その前に妻に電話したが
彼女は忙しくて電話に出れなかった
何回目かに出たときには
すでに夫が何をしゃべっているのかわからなかった

しかし夫が死んだ朝
息子たちは女の子と寝ていてそのことに気づかなかった
生まれたばかりのヒナギクみたいに

あらたな自殺者がいる
20才になったある日、
ポックリと亡くなった
若い青年は裕福な家で育ち
恵まれていた
しかし何にも感謝できなかった
結果、母親は気が狂ってしまい
すべての財産を捨て
父親とも別れたが
もう何も失うものはなかった

しかも残念ながら
そのことに気づきさえしなかった
行き場を失ったアメンボみたいに

クソおそろしことに
これらは想像などではなく
すべて事実なのだ
すべて知り合いのことである
知り合いの肉親たちのことである

われわれは
新しい自殺者がでる前に
はたして何かに気づくことはできるのだろうか
それとも自分たちのことで精一杯なのか
あの日に見たくそ真面目なシロクマみたいに
感謝感動の詩的日々-猛暑.jpg

彼女に会った
それは100年ぶりという猛暑の夏だったんだ

それはコリアン・フードを食べているときに
おこった
奇跡みたいに起こったんだ

前触れはあった
それは夢の中だった
夢に彼女はあらわれた

100年ぶりでも彼女は
美しく
若かった

あっちの世界にいても
彼女は嫉妬してるようなそうでないような
表情をしていた
多分そこに別の女の子がいたからだろう

しかもなぜかトイレの便器が
あっちとこっちをつなぐ通路になっていて
そこを通り抜けないと下の世界に行けないってわけ

水っぽい
そんな雰囲気の中
手も握らずに
ただ横にいる彼女の愛おしさ?

しかし上の世界に戻ろうと
便器をはい上がると
あっというまに
現実世界に舞い戻ってしまう

そしてコリアン・フードを食べながら
ふと女の子を抱きたくなる
それで知り合いの女の子をウチに誘った
恥ずかしがるような歳でもない

女の子を抱いている
まさにその瞬間の感触から
肌の柔らかさから
すぐそこに彼女がいる感じがした
そのことに気がついた

便器が開いてたんだろうか?
バカだとわかっているけど
でも100年ぶりでもすぐに分かったのだ

男と女が出会い
恋に落ちる
唇を合わせ、体を抱き合い、唾を絡ませ、交わる
そのごく自然な流れ

また死を乗り越えるために
星になった彼女の
そこはかとない美しさを
感じながら

次はいつ会えるだろうか
それまでしばし
さぁ便器のフタを閉め
うだるようなこの夏の暑さとも

サヨナラ、サラヘヨ
感謝感動の詩的日々-SBSH0945.JPG

きみは
街に出る
外でご飯を食べる
のが好きだから

もともと
子供時代6人家族で
にぎやかだった
だからかずっと思ってた
一人になりたい
って

でも実際に
地元をはなれ
一人になる

学生時代とも関西圏ともちがってしまっていて
寂しさを
知った

あー苦難の日々
今はそれを乗り越えて
独り身の自由を味わっている
独り言の自由!

行きつけの店もでき
なじみの人とも出会い
知り合いが増えてきた
だから
あの日のような
にぎやかだが
鬱屈とした気持ちとは
もうおさらばだ

サヨウナラ
愛しの街
さようなら
懐かしい日

今こうしてきみは
東京のレストランにいる
目の前に座る若い母娘
さっきから
3才くらいだというのに
女の子は絶え間無くしゃべってる
もちろん東京言葉で
「これなに?」「なんで?」と連発している

しばらくすると
ワイシャツ姿の男があらわれる
「パパ!」
輝く笑顔と安心感

幸せが
そこにある
きっとある

今や家族生活は
こうして雰囲気だけ
楽しめばいいような
都会の幻影となり
窮々とした生活は
自分の感情と
波打つ激しいわがままと
対面する

逆に
今や必要なのは
前向きで自立した態度
経済と精神の肯定的な生活
円滑なコミュニケーション
そして
一歩踏み込む勇気
または
夢を現実にかえる創造力

きみならできる
きっとできる

以前なら
パパやママの助けてもらって
あらゆることを頼ってしまい
失敗や非難の反動に
怒り心頭、身を狂わせて
おしまい

しかし
今ならできる
きっとできる

街のにぎやかさが
肩代わりしてくれる
彼らは家族ではないけれど
今や
街自体がファミリーのようなものだから
昔より少しばかり
一歩だけ
外に出たのだから

そんな気がした

あとは
ちょっとした笑顔
相手への気づかい
そして
頭を下げること
を覚えさえすれば
感謝さえ口に出せれば

必ずきみは
幸せになれる
きっとなれる

そこがどこだろうと
間違いなく
中心にいるのは
きみなんだから
感謝感動の詩的日々-兄弟.jpg

兄弟はいないの?

「3人だね」
パイレーツが答える

「おれは一人っ子」
いないはずのストライク9の声

「TJは?」
ぼくは4人だよ
多いな
そうかもね

小さい頃はそういうもんだって
思ってた

四人で遊ぶことは少なかったけど
家はいつも
はちきれんばかりに
賑やかだったし

「あ、Oさんは?」
あたしは2人、お兄ちゃんがいるの
よくイジメられたな
今は結婚して優しいけど

「そっか‥」
なんだかさ、あの頃が懐かしいね
あの時にはわからなかったけど
今になってさ
兄弟って、不思議じゃない?

「そうだね。そういうもんだな」
ストライク9の声
パイレーツがバットを振りながら言う
「わかるわかる」

あの懐かしい日々の
濃縮された生活と
活気に満ちた夢の中で
ぼくらはどこに向かっていたんだろう

「その時にはわからなかったことって多いよな」
パイレーツがバットを置いて言う
Oさんはオレンジジュースを飲んで
幸せそうな笑顔
そして、消えてしまったストライク9

兄とぼくは手をつないで
父さんを追いかけて山道を
歩いていた
いつまでも蝉が鳴いていた
遠くまで来てしまった

おれたちもさ
ある意味で
「新しい兄弟みたいじゃないか」
ストライク9はかつて言った

そうだな
屋上ではいつのまにか
鳩が子供を産んでいた

ストライク9はいなくなったけど
ぼくとOさんとパイレーツは
ボールを追いかけていた
夕暮れになるまで
いつまでも
感謝感動の詩的日々-夢.jpg

なに見てたの?
ゆめ、
夢を見てた
ぼくの夢
あなたの夢
あたしの夢
あたしたちの夢
はてしない夢

アンネ・フランクや
カモメのジョナサンや
星の王子様の夢
悲しかったり
うるさかったり
嬉しかったり
はかなかったり
夢心地の夢
つたない夢
覚めない夢
強者どもの夢
なくした夢

いつまでも
ドリーマーだった
そんなうたかたの昼寝姿
愛らしいアイライン
パッチリまつげ
すいこまれそうな唇
女の子はそうやって
生活をエンジョイしてるけど
男の子の夢はいつしか
夢物語になりはてて
映画とか漫画の中でしか
冒険はなくなってしまい
夢は夢でしかなくなってしまい

赤い白昼夢
黄色っぽいインディアン
とに囲まれて
トッポイ服着た姉ちゃんと
イカシタ尻した兄ちゃんと
重なり合う3重奏の聖なる杯を
神様と一緒に飲んでみた
それで舞い降りるのは
汚いツラしたダテンシと
風呂上がりに勾玉みがいてる占い師
またはキリシタンになりそこねて
島流しにあった高山右近

彼らの夢が
ぼくらの夢と交わり
あなたの夢ともまじわって
ジトッとした湿気をはらんだ
可能性にあふれた
夢と現実の間で
天気予報にすべてを託す
明日には雨が降るだろう
明後日にはカラッと晴れるだろう
さすれば
飲みたいだけ飲めばよい
いつでも心はカラカラなのさ

きっとそうなんだ
だから夢も空回り
ユラユラと誘う過去と未来をまたにかける
まるで悪い女みたいに
まるで尻尾を巻いた犬みたいに
まるで真夜中に見る幻みたいに
いつまでも
追ってゆくんだ
感謝感動の詩的日々-夏空.jpg

その日は、お盆だった
「帰らないの?」
彼女がぼくに聞いた

ぼくの中で何かが
ひっかかる
空気が重くなる

あの日々
夏の空、汗、空気
墓石のあたたかさ

電話が鳴る
友人だった
「今年は帰らないのか」
ああ、ああ

じいさんは戦争で死んだ
負け戦における負け犬
そのときの日本人はみんなそうだった

では勝者は?
死者をともらうには
作法が必要だ

ああ
今年はやめておこうと思うんだ
「そうか」
地元の友人Kはそうとだけ言うと優しく笑った

「うん今年は帰らない」
それがいいよ
彼女が真剣に言うには訳があった

だって
一緒にいたいもん
そう言ってほしかったけど
彼女は下を向くと
無抵抗なムクドリみたいな顔をしただけだった

夏の色をした山
田舎の空気
親や兄弟の集まる家

「帰る場所があるって、いいね」
彼女がそういうには訳があった
「でもさ、あまり帰りすぎるのもね‥」

今年になり、もう8回も帰郷していた
友人の結婚式やばあさんのお葬式
そして夏の恒例行事

そのたびに友人のKにスーツを借りた
さすがに動物園襲撃とはいかないけれど
ぼくとKはドライブして
昔みたいに笑いあった

彼女には帰る場所がなかったのだ
「もう‥帰らない」
帰る必要もない?
「そうかもね」
彼女は寂しそうにうつむいた

彼女の唯一の肉親、叔母が亡くなったのは
昨年の夏だった
「どうしよ」
彼女の一声は声にならない声だった

ぼくだって
なんて言えばいいんだろう
ねぇキミだったら何て声をかける?
そんな人に向かってさ

地元のよく知る道を闊歩した
夏の暑い日で
悲しみも嬉しさもすべて
一緒に汗となり流れ出た

「またスーツ借りたいんだけど」
僕がKに言うと
今度は誰だよ、電話ごしにKはビールを口にした

彼女の悲しみ
優しさや笑顔
思い出はデジカメの中
「いつでも取り出せますから」
店員が言った

それから間もなく
僕は墓前に立つ
夏の空があまりに青色で
懐かしくて悲しくって
風が吹くと
彼女の声が聞こえた
「また来年、会いに来て」
ああ、ああ

だから今年の夏は地元に帰らなかった
来年はどうだろう?
「スーツ返せよな」
Kからメールがくる
それが奴の
ほんの少しの優しさだった
感謝感動の詩的日々-ストレート.jpg

大胆でストレート
それが自分のよさだと
ずっと思ってた

よく言えば
飾り気がなく率直
わるく言えば
不器用でボクトツ

自分を隠さないこと
ウソをつけないこと
笑顔でいること

いくつか信条があったけど
結局はそれも一つの考えでしかない
その根底にあるのが
愛ならばよかったかもしれない

でもそこにあるのは
自分のアピール
または「嫌われたくない」「ケンカしたくない」
という不安や恐れ

そうすると
ある者は繊細にその偽善を嗅ぎ取り
ある者は姑息にその仮面を剥ぎ取ろうとし
ある者は靴を履いたまま
やってきては部屋を荒らす

傷つく?
ほど弱くはないけど
君がそれで味方になるならいいけど
「なるほど~そんなもんか」って
言葉を投げかけて
自分の部屋の鍵はしっかりと握ってる

そんなあなたをこすいとか
ヤユしたくなる気持ちを
抑えてしまう自分もいる
裸が一番
とか言いつつ
ストレートだけでは全試合には勝てない

変化球を覚えることの必要を
女の子たちから学んだ
2才のときから
自分の身を守ることに長けていた彼女たちを
攻め落とすには
ストレートだけでなく
ドアをノックし、声をかけ
ゆるやかに介抱し
ジェントルマンに振る舞うことが必要

弱虫はもってのほか
勇気あるストレートに
洗練されたカーブやスライダー
時には気の利いたナックルやフォークがあれば
試合に勝つことができる

そしてそこに
愛があればこそ
その試合の後に
笑って抱き合うことや
握手してユニホーム交換もできるはず
丸裸の心の声は
そうやって初めて聞こえてくる