12月26日。
クリスマスの翌日、英国ではボクシングデーにあたるこの日は
ピピ島とピピを取り巻く人々にとってとても重要な日である。
2004年のこの日、あのスマトラ沖地震がこのピピ島も飲み込んだ。
現在コピピでパン屋を営むタイ人の友人は
この日、家族数人と彼女のレストランを失った。
この友人の招きで2009年津波セレモニーに参加したので
レポートも兼ねて記しておこうと思う。
暗くなりがちなトピックだけに
迷ったんだけれど
今のピピを訪れたのも、この日にこの時を過ごしたのも
縁だから‥。
島中のグルメ集合!全部無料奉仕。
朝9時過ぎ、友人に連れられて島の中心にある広場に向かう。
いつもは殺風景な野原にはすでに会場が設置してあり、
ずらりと並んだテーブルには島中の店舗、
リヤカーのドーナツ売りから、高級リゾートホテルまでが
ご馳走や飲み物を並べている。
これがすべて無料で振舞われる。
中には津波追悼行事と知らずにやってきて
「えーーーただで良いの!ラッキー」ってな白人観光客も。
筆者も黙祷 いつもオキャンなレディーボーイも今日は神妙です
お決まりの各行政、政治家、地元有力者の挨拶が続く中、
会場に設置された4つのお祈り用テント(タイ仏教、中国仏教、キリスト教、ムスリム教)
では粛々とそれぞれの流儀で追悼が進んで行く。
確か9・11の時も3宗教の合同葬儀だったなあ‥などと思いながら
異国の地で、しかもハッピーなクリスマスホリデーで災難にあった各国の人々と
帰らぬ家族や友人を毎年ここで悼しむ各国の人々の魂が
この広場に行き来するのを感じていた。
基本的に自然崇拝の私も、祈りを捧げたい訳で、
しかし、どのテントで祈るか?
さて、どうしたものかと
4っのテントを一巡してみる。
南無阿弥陀仏の垂れ幕を中国系仏教のテントで見つけ、
ともあれ一番身近な祭壇なのでここでひとしきり手を合わせる。
祈りの後に友人に手を引かれビーチに設置された献花台へ向かった。
ここはぐっと地元寄りで亡くなった家族の遺影をそれぞれ並べ、花を手向ける。
いつも明るく元気な友人の眼から涙が溢れるの見て
残された人々は未だその悲しみを携えているのだと思うと
行きがかりでここに立っている自分には
安らかな冥福を祈ることしか出来ない訳だが
これも縁と一身に祈る。
ひとしきり厳かな時間を過ごすと
友人が「これからアンダーウオーター追悼の船が出るから一緒に行こう」という。
海から帰れなかったダイバーを含む人々のために
海底に墓標が設置してあるのだという。
ダイバーの端くれとしては参加しない訳にはいかないではないか。
海上警備隊と海軍の船、それから追悼者を乗せた遊覧船でポイントに向かう。
残念ながら突然参加の私には装備が無いので潜れず!
船上から花を手向け、祈る。
墓標は各国別に数十基あるのだとキャプテンが教えてくれる。
ハート型の花飾りが海上警備隊のダイバー達の手で海底へと運ばれて行った。
会場に戻ると、あのご馳走がもう跡形もなくなっているじゃあないの

(なんも食べてないのに~~~)
ほんの数時間でお祈りテントも消え、まるで何も無かったかのようである。
後日、馴染みのダイブショップのオーナーから話しを聞くと‥。
津波のときに、彼もピピで店と従業員と失い、本人も大怪我をした。
その後、サバイバーの半分はこの島を去り、後の半分が戻ってという。
中にはトラウマのため数年かけてやっと戻ったのだそうだ。
津波後、この島は大きく変わったんだよと、
津波前の写真と津波直後の写真を見せながら彼は言う。
景観も、人も、ビジネスも大きなダメージを受けた。
「正直なところ、もう人の記憶から消し去ってハッピーアイランドとして売って行きたい」
のがほとんどの事業主(と行政)の願いだと語る。
現在ここでビジネスをしている多くの人は
セレモニーさえ止めて欲しいと思っているのだそうだ。
国からの援助も行政(や地元有力者)の都合の良いように使われ、
この時とばかりにやって来た資本家や事業家によって
リゾート化が進み、高級行楽地計画が着々と進行しているのだという。
プアな地元民は現在の一等地から津波ビレッジと呼ばれる
国が立てた住宅地のある山の上へ移住。
綺麗なセミデタッチの新築戸建だが未だ電気が通っていない。
しかもはるか山を越えた上なわけで
不便極まりない。
箱型行政よろしくまったく使われていない津波関連の建物が
あちらこちらに点在していたりもする。
経済優先、お金が何より大事としか感じさせない観光地のタイ人を
毎日見ている私としては
実に納得な話。
が、なんかやっぱり解せないわけで‥。
振り返れば日本も戦後そんな道を辿っているのではないか??
と、他人の振り見て我が振りを見直す
アフタークリスマス。


























津波に対する対処があちらこちらに見られます





