驚き桃の木カスターニャの木15☆樹木葬 | 星の輪ネットワーク

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金 銀花の独学パン工房 .
山ぶどうから生まれた自家製天然酵母で焼くパンを楽しみ、緑に囲まれて暮らすワンダーフルな日々の出来事を綴ります。

工場見学を終えて教会広場で

各々好きなアイスクリームを食べながらしばらくおしゃべりに花を咲かせたその後、

さあそろそろお父さんのお墓参りに行きましょうか、という事になりました。

時刻は午後四時半を回っています。

もうじき5時よ。

今からお墓参り?

またも私の心には幾つものクエスチョンマークがつきました。

しかし、日はまだ高くさっきまでの暑さが一段落して

実際戸外へ出るにはちょうど良いのかもしれません。

つれ合いのお父さんは一昨年の夏の終わりに亡くなりました。

その時に帰国出来なかったので

お墓参りをするのが今回の旅の目的でもあったのです。

それがもうあと少しで帰国するという今日の夕刻にやっと叶います。



家族は生前の父親の意志もあって樹木葬を撰んだそうです。


樹木葬。

聞いた事がありますか?


日本でも最近樹木葬が流行らしいよ、などと

しばらく前に耳にした事は有ります。

でも、実際にどんな風なのか想像するのがむずかしくて

上手くイメージ出来ずに居ました。

そんな話題の樹木葬を初めて目にする好奇心で胸はワクワク。

お墓参りにワクワクするって少し不謹慎?


そうこうしている内に車は共同墓地に到着。

墓地というより公園みたいです。





広々としていて大きな樹がいっぱい立ってます。

樹々の間には芝生が広がっていてその間を切り取った様に道が出来ています。

道を歩いて行くとその向こうには墓地がありました。

それぞれの家の墓地は区画で仕切られています。



日本のお墓の様に背が高くないので見晴らしが良いせいか

余計に広々として見えたのでしょう。

区画は大きくとっている人もあり大小様々です。

殆どのお墓は平たい石に名や生存期間を刻んであり、

その周りに花を植えたりモニュメントを建て,庭園の様にしつらえている所も有りました。


日本の墓地よりずっと華やかなイメージです。




そちらが一般的な墓地の風景だけど、

さて樹木葬とは一体どんな物なのでしょう。

興味津々です。

妹達が先に歩いてその場所に立ちました。

それは私が墓地の門を入って最初に目にした大きな樹が立ち並んでいる場所でした。

その中の大きく枝を伸ばした大木の下で立ち止った姉妹の足下には

一枚の石板が敷かれています。

名前と生存の年数が刻まれただけの一枚の御影石。

ひっそりと芝生に囲まれて置いてあるだけです。

これが樹木葬。

驚く程シンプル。

わずかにその石板の周りには家族が植えたインパンチェスの赤い花が

地面を撫でる風に揺られて咲いていました。

大木の根元から1メートルくらい離れた位置です。






この国でも樹木葬を撰ぶ人はまだ少なく、

義父の様にそれを選んだ人の石の板が芝生の中にまばらに見えました。

お墓参りにきたのでしょう。

一枚の石板に小さな花束が置かれその前で三人のご婦人が立ち話をしていました。




その姿を遠くから見ると、とてもお墓参りにきている人には見えません。

樹木葬など知らない人が見れば、

木の下で世間話をしているおばさん連中としか思えないでしょう。

私の目にももちろんなんだか奇妙に見えました。

亡くなった人の遺骨を埋めた事を示すポイントは地面の石板。

18センチ×25センチくらいだったでしょうか。

その側で立ちすくんで亡き人を偲ぶ人々。

そこに

区画とか、高いモニュメントとか、塚とか、十字架とか、

何かしらあると

その前に人の居る意味が誰から見ても判りますよね。

その違いを考えると面白いのです。

つれ合いの両親はシンプルな樹木葬を自分で選んだと聞いていますが、

その理由の一つとして

義母は姑と同じ墓には入りたくないと云ったそうです。

嫁姑の関係は何処の国でも難しい事があるのでしょうね。

離れて暮らしているので

彼の母親とその母親との関係性など想像もした事が無かっただけに

その事を聞いて少し驚きましたが、

全ての人にその人なりのドラマがあるのですから義母も

きびしい姑といろいろ難しい関係だったのでしょう。

幸いにも私は異国暮らしのおかげでこの問題に足を突っ込む事無く今日まで過ごせました。

ありがたいですね。

と云う訳で生まれて初めて知った「樹木葬」は

木の下に遺骨を埋めるって事そのものでした。

印は細長い石の板が地面に埋めてあるだけ。

墓地としての囲いは有りません。

石の周りに花壇を作ったり十字架を建てたりする事は出来ません。

飾りを付けたい人は墓地の区画を買って好きな様に飾ることができますよ。



樹木葬の実際を知って良かった事は、

自分はどちらを撰ぶか考えるきっかけとなった事です。

今の所、まだあまりに先の事に思えて、

自分に問いかけて見てもも実感が湧きません。


樹木葬。

あなたはどう思われますか?


つれ合いは亡き父を忍んでその大木の根元に座り、

しばし瞑想をしていました。




私も静かに張り出した枝の木陰に座り目を閉じて座っていました。

姉妹達は通路に備えられたベンチに腰掛け、

止めどなくお喋りの花を咲かせています。

この二人は本当に話し好き。


午後6時を過ぎてやっと涼しくなって来た墓地には

散歩がてらお墓参りに来たような人の姿がチラホラ伺えて、

本当に公園に居るような気になります。

お盆やお彼岸の時にしか賑わいのない日本の墓地とは対照的な感じですね。

お墓参りが終わると、

時刻は午後7時少し前。

墓地の前で兄妹は何やら相談しています。

どうもこれから遊びに行く先を決めているようでした。

今日はすでにフリーマーケット、工場見学、お墓参りと、

三つの行事をこなしています。

これからさらにそれを増やそうとしているのです。

恐ろしや〇〇兄妹。

私は黙ってついていくしか有りませんでした。

当然ですよね。

次なる目的地は相談の結果、サルバトーレへと決まったようです。

空には黒雲が集まり始め、ついに二日間続いた好天が崩れ始めそうな雰囲気でした。

場合に寄っては雨も降り出しそうです。

ところがこの兄妹はそんな事は一切お構いなし。

まだ日は高い、いざサルバトーレへと向かう私たち。

サルバトーレって?

それは次回のお楽しみ。ではまた。





































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