おはようございます。
今日は良い天気、久しぶりに太陽にお目にかかるような気がします。
実はまた、熊の話なんですが、
近隣の村で熊が罠にかかったと聞きました。
捕まえた人はどうしたかというと、
熊が怪我をしていたので、殺したそうです。
その傷がどれほどのものだったのか、
はっきりしない限り、何もいえませんが、
手負いの熊を放す危険性を考えてのことではなかったでしょうか。
その話を聞いて、
私が思い浮かべたのは、
子供の頃読んだ数々のお話でした。
お話の世界であれば、
熊は必ず助けられるでしょう。
お腹を空かせた熊が誤って罠にかかってしまいました。
熊は頭のいい動物ですから、
普通なら罠にかかることはめったにありませんが、
この熊はよほどお腹が空いていたのでしょう。
罠を仕掛けた人が行って見ると、熊はどうにかして脱出しようと、
必死でもがいたのでしょうか。
体の一部からたくさんの血が流れ出ていました。
しばらくして、
捕まえた熊をどうするかということが話題になりました。
このまま山に帰すわけにはいきません。
傷を追った熊を野放しにするのは、熊にも人にもいい事はないのです。
村の人は、
熊の傷の手当てをしてあげることにしました。
熊のことを恐れない人が世話をすることになり、
薬草を飲ませたり、
眠り薬で眠らせて傷の洗浄をしました。
熊は日ごとに回復の兆しを見せるとともに、
気持ちが落ち着いていく様子でした。
一週間もすると、
食事のときなど、とても嬉しそうな顔をするようになりました。
なにより、
熊は人が自分の手当てをしてくれた事を知っているかのようでした。
10日もすると、
熊はすっかり元気を取り戻しました。
毎日、熊に話しかけ、
山に帰るようにいい続けていましたから、
そろそろ放してやろうという事になり、山に連れて行きました。
熊は知っていました。
人間が自分を助けてくれた事を。
それから後、もしも人間が困っているとき、
その熊が居たら、
いやその子孫でもいい、
いつかの恩返しに、きっと助けに来てくれるに違いないのです。
私達は、
こんなストーリーをいっぱい読んで育ったのではないでしょうか。
人間として、優しい心を育てるための情操教育です。
大人は、人間であるならば、
動物といえども困っていたり、傷ついていたりする時には、手を差し伸べましょう。
と、教えます。
教えるだけは教えておいて、
自分が実際にやることはなんでしょう。
手負いの熊は危ないから、
殺すんです。
教えられる者は矛盾を感じますよね。
教えられる事と、目の前で起きていることが違うのですからね。
傷を負って、
罠の中で震えている熊を見て、
傷を治してやろうと考える人が、唯の一人もいなかったとしたら、悲しいですね。
熊の話から、
いろいろと社会の問題まで見えてくるような気がします。
どうぞ皆さん、
自分には関係のないことと思わず、
熊がいるという事はどういう意味があるのか、
居ないという事はどういう意味をもたらすのか。
ほんのたまにでいいですから、
熊の事を思ってみてください。
お願いします。