全国をまわって、色んな人に会います。
つぎに会えるのはいつか。ひょっとしたら、もう会えることはないかもしれないと、ふと思うことも。
この杯(さかずき)を受けてくれ どうか並々、注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ
と、井伏鱒二がいうと、
さよならだけが 人生ならば また来る春は何だろう
はるかなはるかな地の果てに 咲いている野の百合何だろう
さよならだけが 人生ならば めぐりあう日は何だろう
やさしいやさしい夕焼と ふたりの愛はなんだろう
さよならだけが 人生ならば 建てたわが家は何だろう
さみしいさみしい平原に ともす灯りは何だろう
さよならだけが 人生ならば 人生なんかいりません
と、寺山修司が返しました。
寺山修司さんといえば、異色の絵本があります。
『踊りたいけど踊れない』 絵は宇野亜喜良さん。
もんだいは
海のなかに小さなもうひとつの海があるように
本のなかに小さなもうひとつの本があるのは
たのしいものです
しかも その本には不思議な絵がたくさんあって
あなたを待っている
もんだいは
あなたのなかに小さなもうひとつのあなたがいるかどうか
ということだけです
おとなこそ絵本を読もう。