おうい雲よ ゆうゆうと 馬鹿にのんきさうぢやないか 

 どこまでゆくんだ 

 ずっと磐城平(いわきだいら)の方までゆくんか

            

               < 山村暮鳥 >

  

 2011年、写真家の長倉洋海さんは東日本大震災の被災地をまわり、悲しみのなかでも笑顔をみせる子どもたちと、それを見守る雲のすがたを撮って『『お ~ い、雲よ』という写真絵本を著わしました。

 

 つらい時、顔を上げてみよう。

 空は何でも聞いてくれる。

 雲を見てると、悲しいことをわすれることができる。

 

『お ~ い、雲よ』(長倉洋海、岩崎書店)

 

 当時、わたしも津波で何もかも流された被災地をまわって、何をすべきか何ができるのか必死のおもいでした。そんなときふと遠くを見渡すと、残酷だった海のうえに、ぽっかり浮かぶ白い大きな雲があり、自然のこわさとおおらかを不思議な気持ちでながめたものでした。

 

 だいもんさん、さいきん、ひっぱり凧ですね

 はい 糸がきれて とんでとんで 雲にのりたいです

 それはさぞかし、きもちがいいでしょう