知る人は言わず 言う人は知らず | 酒井ミキオオフィシャルブログ「raintree」Powered by Ameba

知る人は言わず 言う人は知らず

 近所の神社で見た言葉・・・「知る人は言わず 言う人は知らず」

 どうやらこれは老子の言葉らしい。「物事をよく知り抜いている人はみだりに口に出して言わないが、よく知らぬ者はかえって軽々しくしゃべるものである」とある。

 さて、自分を振り返ってみよう。今までの人生、むやみに軽々しく語ったことはないだろうか?・・・ありまくり(笑)。特に飲みの席!特に若い時!

 若い時は今より頭が硬かったんじゃなかろうか?と思えるほど自分自身を信じきっていたし周りの意見を拒否していた・・・というか、今考えれば虚勢を張っていた。自分が常に正しい!俺は天才!と。まあそれが若さであり、それがあるからこそ無知のパワーで行動出来たんだよね。だから今がある。あれは否定しちゃいけない。

 しかしあのまま突っ切ればそのまま孤高で孤独な自称天才アーティストとして場末の酒場でクダを巻いていたかもしれぬ。もちろん世間に認められることは無いパターンね。俺はゴッホだ!とか言いながら(笑)。

 話がそれた。実生活において「知った気」になることは危険がはらんでるね。うっかり落とし穴にはまるパターンです。「俺は知っている」という慢心が努力にブレーキをかけ、想像や創造に時として泥を塗る。

 「はったり」と「知った気」は違う。「はったり」は「知らない」ことを知っている人が取る行動。ソクラテスの「無知の知」みたいだね。ある意味「背水の陣」です。

 「知った気」はねぇ、特に現代人が陥りやすいところだね。毎日毎日インターネットで様々な情報に触れると、なんとなく「知った気」になっているんだよね。それが実に表面的で浅はかなものであることに気づかずに。

 ウィキペディアならぬミキペディアとか言われてちょっと嬉しくなってるそこの人、お前は全然浅はかだよ(にしおかすみこのSM嬢のように)! ・・・と、自戒を込めてみた。

 確かにその道の達人は多くを語らない気がする。要所でポロっと言う言葉に真理と重みがあり、その一言で周りの人が気づく。修行が足りない人は穴を埋めるように多くを語り、結局何を言いたいのかがボヤけてしまう。うーむ、俺のこと?

 よし!多くを語らぬ仙人のようにライブMCは安室奈美恵さんばりに全くしないぞ~!・・・なんてこと出来るか(笑)!! 黙っていようと心がけてもついつい話してしまうわ!! 俺は凡人で良か~!!・・・いや、自称天才でしたね(笑)。

 そういや一時、インタビューを受けるのが怖い、というかちょっと避けたいなと思ったことがあった。90年代の話ね。「Little Flowers」の頃かな?アルバムの取材等で色々話すんだけど、結局全ては楽曲の中にあるんだよなぁ、もう話すことなんて全然ないよなぁ・・・と思ってさ。

 それを女性インタビュアーに伝えたら「うん、それすっごくわかる!」と共感してくれたっけ。自分の仕事を軽く否定されたような感じになったのに。あの人、いい人だったなぁ。いや待てよ、あれ彼女の作戦か?(笑)。

 ということもあったけど、今の俺はやはり語らいを止められん。だって楽しいっしょや(北海道弁)! ←ちなみに「い」にアクセントがきます。

 ただ気をつけねばならぬのは自己顕示欲からくる「知った気語り」ね。お前は俺より知らないだろう、だから俺が教えてやる!的な小人気質の語りね。まあ言い方にも関係してくるんだろうけど。若き頃なばらまだしも俺の年でそれをやってしまうとねぇ・・・ちょいと恥ずかしくなる。

 そういう時は誠実に物事を伝える、もしくは届けるという姿勢でいないと結局は聞く耳持たれない。世に凄い人と言われている方々がいるが、総じて会話は穏やかである。もちろん会話には流れがあり、山と谷もあるので勢いづく時もある。情熱迸る会話には胸を打たれる。

 その背景には実直な夢と希望がある。自己顕示欲で去勢を張る必要もなく淡々と誠実に凄いことを語る。彼らにしてみるとそれが日常であり普通の行為なのだ。ビルゲイツが「俺ってすげーだろ!」って言いますか(笑)?

 僕の人を見る目は決して的確ではないけど、そこらへんは見ますよ。あ、この人今、自分を大きく見せようとしてるな~と。いや、飲み屋なら良いのです、別に。笑って話して楽しかった!で終わるので。

 仕事に絡んできた場合は注意です。実に怪しいですよ~。話を優位に展開するための虚勢ならまだしも、悪徳系の商売が背景にあるかもしれません。必要以上に著名人の名前を出すとか豪快伝説を自ら言い出すとかね。自慢多々な人に注意!そういう時は「知る人は言わず 言う人は知らず」を思い出しましょう。

 ちなみに全然別ベクトルの話ですが、故・赤塚不二夫さんが言っていました。「女性の前で自慢話をするな、失敗談をするもんだ」と。場も楽しくなり、かなりモテモテだったのでしょうね。得てして男は自慢話をしてしまうけどね。

 ということで今日も長々と書いてしまった。自戒を込めたブログでした。ではまた明日以降・・・。