田代万里生✖︎伊礼彼方
お二人とも、初めましてでした。実在のストーリーがあり、その内容と二人芝居ミュージカルという事で、興味をそそられ観に行きました。
あらすじをだいたい把握していたので、10分前に着席した銀河は、リピーターの皆様が醸し出す、いつもとは違う静寂な雰囲気。
これから始まるであろうただならぬ事件に私もひとりドキドキと、緊張感を持ちながら幕開けを待ったのでした。
しかし、舞台はもう見えるところに設置してあり幕もなにもない…よな
と！客席から万里生くん登場。
刑務所での因人として、語り出す…
おぉ、万里生くん、「私」と二役とはこの事なのね。
ピアノの旋律が静寂な劇場にこだまし、息を呑みながらスリルミーの世界へと引き込まれていきました。
万里生くんはテノールでお上手な事は有名ですが、ソロでしっかりと聴くのは初。
なんと耳に心地よい響きなんでしょうか。万里生さんの声、好きです。
ストーリーは犯罪色満載で暗く重い展開をしていくのですが、歌のもつ素晴らしさ、ピアノの旋律が美しいのです。この効果によって救われる感じです。
「彼」演じる、伊礼くん。ドS過ぎて怖かったです笑。でもまた彼も重厚感たっぷりな美声を聴かせてくれます。
万里生くんが一途に想う「彼」だけど、いつも突き放し冷たい。だか「私」を想う。そして共に犯罪に手を染める共犯者としても大切な存在。
先日のアフタートークに行かれた方のお話で興味深い事を聞きました。
「彼」はあくまで「私」の回想の中の姿で「私」が想う「彼」の姿なのだと…
「私」が「彼」を愛しているという事実さえあれば「彼」がどんな人間で「私」が「彼」のどこを好きなのかはあまり必要な情報ではなくなる…と。
これを万里生くんは見事体現してました！
「彼」に対する切なくもどうしようもない愛を…感じました。華奢な身体につぶらな瞳。ストーリーのキーともなるメガネ！が良くお似合いで…萌え。短髪がまた好き！
って、ちょっと脱線したので…戻らなきゃ
殺害場所でメガネを落としてきてしまった「私」。「彼」は完全犯罪にするべく必死にありばいを工作し、「私」に説得する。
なんとか切り抜けたかと思いきや…やはり警察の目は「私」へ…
追い打ちをかけるごとく「彼」は「私」に罪を被せようとする…なんと恐ろしい。
しかーし！話は大どんでん返し！なのです。99年という、今でも脳内リフレインする歌が全てを語ります。
「私」を陥れようとした「彼」も「私」の告白、自供により共に牢獄へ…
「彼」は同じ刑務所にいた因人に殺されてしまうという何とも皮肉な結末に終わりますが、「私」の欲望は満たされたのかなと…感じました。
実際に海外であった同性愛者による犯罪。
このような濃密空間でのミュージカルは初めてでしたが、いいものを観た…と大変満足しました。