「春は名のみ」なのか、ここしばらくは冷たい雨が降り注いでいるノムノム地方(先ほどなど雷が…)。


しかし、一気に春らしい気分になれる一冊が届きました!


「AERA臨時増刊号・サザエさん 2024春」




こちらは季節毎に出版される「サザエさん」を始めとした長谷川町子作品をテーマ別に選りすぐった週刊誌スタイルの雑誌であります。


私など「サザエさん」や「いじわるばあさん」など長谷川町子作品をほぼ全巻持っているのに(文庫版ですが)、こちらも発売される度に買ってしまうという…(「サザエさんをさがして」というコラムや付録のポストカードが目当てでもある)。


さて、2024春号である今回のテーマは「桜と里山」。

サザエさん一家の春のお出かけやお花見やお節句という季節の行事に関した作品が掲載されています。


そして、春と言えば旅に出かける人が多い季節でもあります。

長谷川町子作品でも旅を楽しむサザエさん一家やいじわるばあさんの姿を見る事が出来ます。


行き先は国内である事も多いのですが、何と海外へも!


サザエさんやいじわるばあさんの海外旅行エピソードが描かれたのは昭和30〜40年代の事です。それってすごくない?


「サザエさん」では福引の特賞に当選したサザエとマスオが、何とヨーロッパ一周の旅に出かける事に(文庫本28巻)!

文庫本28巻のラストでヨーロッパへと旅立つサザエとマスオ。

そして続く29巻ではヨーロッパ周遊の様子をレポート(漫画ではなくイラスト+エッセイ)しております。

実際には長谷川町子さんが行かれた旅の様子でありますが、とても興味深い内容となっています。



いじわるばあさんはその旅より少し後にまたまたヨーロッパ周遊の旅へと出かけます。

その頃の旅と言えば団体で行動するツアー旅行がメインだったらしく、航空会社のロゴがデカデカと入ったバッグ(今見ると逆にかわいい?)を参加者全員が携えて海外の街を闊歩していたようでした。

いじわるばあさんと同じツアーに参加した人たちがばあさんのいじわるの犠牲となった事は簡単に想像がつくと思いますが、ああいった旅もまた楽しいものかも知れません(ばあさん的な人がいない事を祈らずにはいられませんが…)。


長谷川町子さんの海外旅行話は「サザエさん旅あるき」という本でも読む事が出来ます(国内旅行などについても描かれています)。



長谷川町子さんはかなり旅がお好きだったようで、ヨーロッパやアメリカ、中東の国々、ニュージーランドなど様々な国や地域を訪れていらっしゃいます。


↑長谷川町子さんの海外旅に特化した単行本も昨秋発売になりました。

残念ながら私はまだ読んでないのです…(でも近々読むぞ!)。


長谷川町子さんの作品と言えば現在では遠くなってしまった昭和の日常を描いたものでありますが、海外旅行に関しても「あの頃はそうだったのか」「あの国はこんな感じだったんだ」と知る事が出来る、貴重な資料でもあるでしょう。


という事で、子供の頃から長谷川町子作品のファンである私は旅先で長谷川町子の聖地巡礼をしたりもしております。


まずはやっぱり東京は世田谷区・桜新町にある長谷川町子美術館!



2020年に美術館に加えて記念館が誕生し、ますます見逃せなくなった聖地であります。

かつて学生時代に東京に住んでいた事がありますが、2年の間に東京ディズニーランド(当時はランドしかなかった)には一度も行かなかったくせに、長谷川町子美術館へは度々訪れておりました。


↑すんごい楽しい!

まだ行かれた事がない方はぜひ行ってみて頂きたい…(写真は記念館)。


そして、福岡県の「サザエさん通り」にも聖地巡礼。



こちらは銅像がある程度(って言っちゃ失礼だな…)ではありますが、かつて長谷川一家が暮らした街であり、「サザエさん」が誕生した場所というエモい聖地なのでございます。


という事で、今回は「サザエさんと旅」について語らせて頂きました。

改めて読み返してみても、長谷川町子さんのアグレッシブ(?)な旅のスタイルには驚きを憶えます。

昭和という時代にあれほど世界の国をあちこち訪れていたのはすごい!


昭和はすっかり遠くなり、今や令和となりましたが、長谷川町子作品を読めばすぐに昭和の空気を感じる事が出来るのです。

そんな「時間の旅」が出来るのも「サザエさん」の素晴らしさだと思います。